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更新日:2024年09月17日
「無知の知」という言葉を知っていますか。この言葉は哲学者ソクラテスが言った名言として有名ですが、詳しい意味や使い方を知らないという方は多いでしょう。ここでは、「無知の知」の意味や使い方、例文、類語、対義語などについてみていきますので、ご参照ください。
目次
ソクラテスは「無知の知」をはじめとした多くの名言を残しました。しかし、ソクラテスは古代ギリシャの哲学者で、紀元前469年から紀元前399年頃までに生きたとされる方で、ソクラテス自身では一切書物を残していません。 では、どうやって「無知の知」のようなソクラテスの名言は2500年近く後の現代まで残ったのでしょうか。それは、ソクラテスの弟子であるプラトンなどによって記されたからです。その著書が、前述で紹介した「ソクラテスの弁明」です。
ソクラテスが「無知の知」を知るに至るために、賢者と呼ばれる人たちの無知を証明していくのですが、ソクラテスはどういった方法で賢者と呼ばれる人たちの無知を証明したのでしょうか。その無知の証明方法についてご説明します。
ソクラテスは、賢者と呼ばれる人たちとの対談で、基本的にはテーマを与え、それについてその賢者と呼ばれる人たちに考えを述べさせます。その考えに対して、ソクラテスは矛盾点や曖昧さを指摘します。この矛盾点や曖昧さの指摘のような反論をエレンコスといいます。それは、以下のような手順で進められていきました。 1.ソクラテスが賢者たちに問題を出す 2.相手が上記1.の問題についての答えを出す 3.ソクラテスが賢者たちにさらに問題を出す 4.相手が上記3.の問題について答えを出す 5.ソクラテスが上記2.の答えと上記4.の答えの矛盾点や曖昧な点を指摘して反論する。
では、実際にソクラテスの反論はどのような形で行われたのでしょうか。以下の例をみていきます。ここでは、Aをソクラテス、Bを賢者(と呼ばれる人)とします。
(例) A:「勇気とは何ですか」 B:「敵と戦い逃げ出さない人こそが勇敢な人です。」 A:「では、逃げながら戦う人はどうなりますか。それに、戦場で戦う人以外にも勇敢な人はいますが。わたしが聞いているのは、どのような人が勇敢であるかではなく、そういった人たちが持つ勇気とは何かです。」 B:「勇気とは忍耐のことです。」 A:「勇気とはすばらしく、称賛に値するものですが、目的のない忍耐は全く称賛には価しません。」 B:「思慮のある忍耐ではどうですか。」 A:「思慮のある忍耐といっても、さまざまあり、例えば敵に囲まれてもすぐに援軍が来るとわかっているときに堪える忍耐とは勇気があるとはいえません。」
前述のようなソクラテスの反論を見てわかるように、このような反論を繰り返して「無知の知」を説いたソクラテスは賢者と呼ばれる人たちや権力者に疎まれることになります。その結果、ソクラテスは神を冒涜しているという無実の罪をきせられ、裁判を受けることになります。そして、裁判の結果、死刑宣告を受けます。
ソクラテスは前述の反論をみてもわかるように、自身が賢者を言い負かすほどの者であったにもかかわらず、死刑宣告を受けることに疑問を持つ方がいらっしゃるでしょう。しかし、そう思うということは「無知の知」をまだわかりきってないということです。 ソクラテスは、神から信託を受けた「無知の知」を世の中に広めることを使命としていました。そして、その使命を全うするには、死をも引き受けたということです。「無知の知」という真の知恵を求める哲学者としての死をソクラテスは受け入れたということになります
ソクラテスは、彼を有罪だと宣告した人たちや、また告発した人たちに対して、少しも憤りを抱いていないと述べています。そして、ただ一つ彼らに自分の息子が成人したときには息子たちを叱責し、自分が彼らを悩ましたのと同じようにしてほしいと頼みます。 その内容としては、蓄財その他を徳より上に考えるときや、また真理を知らずに知っているような顔をするならば、「人間が追及すべきものを追求せずに、何の価値もないくせにひとかどの人間らしき顔をしている」と叱責してほしいということです。 その言動こそが、ソクラテスが多くの人々を正当に扱ったことの証です。彼は人々から罰せられるどころか称賛されるべきことを言ったにもかかわらず、死刑判決という結末を迎えます。しかし、ソクラテスは最後まで真理を求める賢者であろうとし続けました。
記載されている内容は2018年03月09日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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