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社内ベンチャーの成功例/失敗例・社内ベンチャー制度の導入企業

マネジメント

社内ベンチャー制度を知っていますか?主に大企業でおこなわれる制度で、意欲ある社員を募って新しい事業を展開するというものです。今回は社内ベンチャーについて、どんなものなのか、具体的な事例や成功した例、社内ベンチャーをおこなう企業を紹介します。

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社内ベンチャー制度とは?

ここ数年「ベンチャー企業」という言葉を、よく見聞きする機会がないでしょうか?ベンチャー企業とは優秀な人材を中心として、高い知識やスキルをフル活用して、革新的な経営をおこなう中小企業のことをいいます。これを社内に取り入れたのが「社内ベンチャー制度」です。社内でベンチャー制度を立ち上げるのには、経済的にも潤沢な資金がないとむずかしいですから、多くは大企業の中で生み出されます。 大きな会社の社員が会社の資金を使い、社内で新規事業を起こす(子会社で独立させるケースもあります)ことを社内ベンチャーと呼ぶのです。主に社内公募によって、ベンチャー制度の社員は採用されます。

社内ベンチャーにも長所と短所が

長所:社員のやる気を引き出す、資金力が豊富

社内ベンチャー制度にも、当然ながらメリットとデメリットが存在します。メリットとしてもっとも挙げるべきことは、「社員にチャレンジ精神を持たせる、仕事に前向きになってもらえる」という点でしょう。 大手企業の社員は、社員数も多いので「みんなと同じことをやっていればいい」という考えにも、ともすればなりかねません。しかしそれは会社にとっては大きなマイナスです。社員が新しいことにトライし、新しい商品や新しい事業を作り出す土壌を作る、というのが社内ベンチャーの目的なのです。上でお話ししたように、社内ベンチャーでは金銭的に余裕があります。普通のサラリーマンが自分で資金調達しようとしても、集められるのは数百万円程度ではないでしょうか? しかし会社規模であれば、社内ベンチャーに数千万円~数億円準備でき、銀行からお金を借りることなく、ベンチャービジネスがおこなえます。バックボーンとなる自分の会社の名前が使えますので、取引先も安心して応じてくれるのもメリットですよね。

短所:成果を短期間で期待される、関連する事業の協力を得られない

デメリットは、その企業から短期間で成果を出すことを余儀なくされる点です。各企業とも先をあらそって開発スピードを上げようとしていますので、せっかく経済的にサポートしているのだから、「早めに結果を出せ」と期待をかけることにもなるわけです。このように結果を求められることで、なんとかそれにこたえようと社内ベンチャーのメンバーは躍起になりますが、新しい事業がそう急に上手くいくことはありません。無理が生じて、ベンチャーとして立ち行かなくなってしまいます。 また関連する技術を有している、ほかの事業部からの支援を受けられない、というのも大きな痛手です。社内ベンチャーの人間だけではどうしても足りない部分が出てくるので、バックアップしてほしいのですが、肝心の事業部門は仕事に忙しく、正直協力どころではありません。 関連部門が非協力であれば、新しい技術を作るための実証実験もすることはできないので、成果も得られないことになります。

社内ベンチャーの事例はどんなもの?

つづいて社内ベンチャーにはどのような事例があるのか、見ていくことにしましょう。

成功事例1:スープストックトーキョー

若い女性を中心に、支持されているおしゃれでおいしい「食べるスープ」の専門店が、スープストックトーキョーです。駅の構内やオフィスビルをメインとして展開し、見事成功をおさめていますが、これは三菱商事の遠山正道氏が、会社のサポートを受け起業したものです。 2000年に社内ベンチャーで「スマイルズ」が立ち上がり、その8年後には完全に独立した会社になるまでの成長をとげたスマイルズ。2005年までは、実は経営は非常に苦しかったのだと遠山氏は語ります。 コーチングを受けて、遠山氏は事業計画書をなんと絵にして作ってみたのだとか。スマイルズにかかわる人たちやご家族に幸せになってほしい、生活を豊かにしてほしいという思いを樹木に託して描いた遠山氏は、その結果自分たちがどうありたいのかについて確認することができ、描いた通りの理想で、今は事業展開できているのだといいます。

成功事例2:スポーツクラブ・ルネサンス

業界でも大手のスポーツクラブであり、国内で90店舗を展開している会社が「ルネサンス」です。利用したことがある方もいるのではないでしょうか?現在は業界3位という実力を誇るルネサンスも、もともとは大日本インキ化学工業の1サラリーマンが立ち上げた会社だったのです。 最初は正規の事業ではなく、斎藤敏一氏が社内ではじめたテニスサークル(同好会)が先行であり、斎藤氏の提案でそれが事業として認められたという、ユニークな経歴を持つ社内ベンチャーです。 きっかけがきっかけだけに、儲けようという私利私欲もあまりなかったという斎藤氏。”事業は小さく生んで大きく育てろ”とは、ビジネスでよくいわれる言葉ですが、ルネサンスはまさにそのやり方を地でいった企業なのです。

失敗事例も中には…

残念ながら、社内ベンチャーで失敗した事例もあります。失敗したケースなので、社名は伏せることにしましょう。 ●インターネットでFAXをサービスする・コストがかかりすぎということと技術開発が遅れをとって失敗。 ●光触媒・斬新な製品として注目されましたが、広く売りさばこうと画策したところ、商談がまとまりづらくなり失敗。 ●パソコンの大量販売・はじめは売り上げも順調でしたが、社員がうまく意識改革できないまま、売り上げが伸び悩み、激減して不良在庫を抱え、失敗。

社内ベンチャーを取り入れている企業

では、社内ベンチャーを採用している企業についてご紹介していきましょう。やはりいずれも有名な企業ばかりです。

博報堂DYホールディングス「AD+VENTURE」

2010年、大手広告代理店である博報堂DYホールディングスで立ち上げられた「AD+VENTURE」は、グループ内の正社員から新しいビジネスの提案を求め、審査に通過したものを事業化するという制度です。すでに9つもの会社が起業しており、本格事業に乗り出そうとしています。 この計画が立ち上がったときは不景気であり、支出をおさえるという考えに本来ならなるはずでした。逆転の発想で、会社を革新的にすることを選んだ博報堂DYホールディングスは、不景気だからこそ売り上げを作るのでなく、わからないことにトライする意欲が大事だと捉えたのです。 不況におののく社員を鼓舞するために、社内ベンチャー制度に踏み切った、まさに英断といえるでしょう。

パナソニック「パナソニック・スピンアップ・ファンド」

パナソニック株式会社の社内ベンチャー制度、「パナソニック・スピンアップ・ファンド」は2001年に創立されて以来、30社のうち10社が存続しており、いずれも黒字経営となっています。 社内ベンチャーに応募する社員は、大企業にいながらも意欲・独立精神にあふれたパワフルな人材ばかりです。 本社内ベンチャーでは、「破壊的イノベーション」を目的としており、新しいクライアントやマーケットを開拓することが、特に大きな企業では必要で、そのためにこのベンチャー制度が作られたのでした。

NTTドコモ「ダイナステップ」

2007年に、NTTドコモの社内ベンチャー制度により作られた新しい会社が「ダイナステップ」です。携帯電話・スマホがこれだけ普及している昨今だからこそ、携帯電話を通じての検定試験を企画・開発し、運営するという新しいタイプの会社です。 検定事業のみならず、出版事業や企業研修事業、社歌の制作など幅広く企業のニーズにこたえるべく経営を展開しています。

企業の新しいあり方「社内ベンチャー制度」

社内ベンチャー制度は、会社の支援を受けて新しい事業に取り組めるという魅力的なこころみではありますが、成功がむずかしいといわれるのも事実です。しかしここでご紹介したように成功している企業も存在しています。社内ベンチャーで大切なことは、「絶対成功させる」という集まった人たちの強い思いと、常にジャンプアップしたいという意識改革を持つことです。 会社の歯車として働くのではなく、自分から新しいことを仕掛けたい・発信したいという方には、社内ベンチャーはうってつけの制度というところでしょうか。

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