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日本の労働環境の現状と問題|異常・改善の必要性・海外の反応

経済

日本の労働環境は諸外国に比べて悪いのか?日本で働いていると、これが当たり前と思ってしまうため良いのか悪いのかわかりません。しかし労働環境の悪さを感じるニュースをよく目にするのも事実です。日本の未来のために労働環境の改善は必須です。

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日本の労働環境の現状と問題点

日本の労働環境の現状と問題点

ここ数年失業率は改善傾向になるといわれています。また有効求人倍率も高い数値になっており、景気は回復傾向にあると報じられています。 しかし被雇用者の給料は上がらず、非正規雇用は増え続けています。ネットカフェ難民に代表される、明日への希望を持てない低所得層が増えています。 また過労自殺やパワハラ、残業代の未払いなど日本の労働環境は実は悪化しているのではないかという声さえあります。いま日本の労働の現場はどうなっているのか、これからの働き方を考える上で知っておくことはとても大切です。

異常・悪化・過労死

過労死が「karoshi」として国際語になるなど、日本の労働環境の厳しさは今や海外にも知られるようになりました。 実際新卒で入社した社員が、激務に耐えきれずに自殺する事件が大きくメディアで取り上げられたりもしました。報道はされなくとも同様に若手社員が入社後すぐに心身両面にダメージを負って退職する例は枚挙にいとまがありません。 これらは異常な状況ともいえます。また改善されるどころか年々悪化しているのではないかともいわれます。

長時間労働が当たり前

まず日本の労働環境の大きな問題点として、長時間労働が当たり前になっていることがあげられます。法律上の上限を超えて、ひどい時には1日14〜15時間働き、休みも月に1日あるかないか。このような劣悪な労働環境での就労を強いられている人がいます。 一般に過労死の危険性が高まるものとして月の残業時間80時間が目安になっています。ひどい場合は月に150時間超も残業をさせられていることもあります。

低賃金

労働時間の長さも問題ですが、給料が低いということも問題です。特に長時間労働をしたとしてもそれに見合った収入、たとえば1千万円以上が保証されているというのであればまだわかります。しかし多くの場合は年収が300〜400万円代でこれだけの時間を働いています。 一つは残業代が適正に支払われていない場合です。これはもちろん法律違反で罰則の対象です。もう一つは残業代は支払われているが、そもそもの単価が低い場合です。日本の特に都心部は生活コストが高いです。これが低所得者層を生み出す原因になっています。

日本の労働環境が改善しない理由

これだけ問題が頻発していながら、なぜ日本の労働環境は抜本的に改善されないのでしょうか。日本国憲法では国民は誰でも健康で幸福な人生を送る権利があるとされています。また日本の労働環境に関する労働基準法では労働条件は人たるに値する生活を送れるものでなければならないと定められています。

日本の労働環境の歴史

日本の労働環境は江戸時代から昭和初期ごろまで、法律での規制ではなく経営者任せであったり、慣習に基づいたものであったりしました。そのため丁稚奉公や明治の女工のように非常に劣悪な労働環境が多くありました。 労働基準法が施行された後も日本の労働環境が劇的に改善されたとまではいえません。もちろん一定の規制がかけられたのは間違いがないことですが、やはり長年培われてきた商習慣というのも根強くありました。

日本的労働とは

日本人の国民性として、真面目で空気を読んで個人よりも全体の利益を優先させるというものがあります。こうした気質が日本の近年の労働環境を作ってきました。たとえば終身雇用や年功序列制がこれに該当します。 会社は終身雇用で社員の身分を保証します。その一方で社員は生活の全てを会社での仕事に捧げなければなりませんでした。業績が向上している状態で、労使が強調していればこうしたことも可能だったのでしょう。しかし今ではこのような労働環境が改革の足かせにもなっています。

もはや高度経済成長期とは違う

会社の業績も右肩上がりの時代であれば、多少悪い労働環境でも社員は会社を信じてついて行くことができました。しかしバブル崩壊やリーマンショックを経て労使を取り巻く環境も大きく変わりました。 特に多くの企業が不況時に採用した成果主義は、日本式労働環境を大きく崩しました。終身雇用は保証されず、成果を出すためのプレッシャーが強まり日本の労働時間の長時間化・低賃金化が進行しました。

日本の労働環境に対する海外の反応と違い

日本の労働環境に対する海外の反応と違い

そんな日本の労働環境は海外から見るとかなり異質に感じられるようであります。いろいろな国も労働環境との比較をして見ましょう。

オーストラリア

オーストラリアでは多くの会社が9時から17時の勤務となっています。残業もあまりなく、休日もしっかりと休めます。また有給休暇も年間で4週間与えられます。日本のように有給休暇を取れない、もしくは取れたとしても必要以上に周囲に気を使わなければならないというわけではありません。

欧米・オランダ

欧米諸国も労働環境に関しては総じて日本よりも進んでいます。もちろん一部のワーカホリックな人は時間も休日も関係なく、ひたすら働きます。しかしそうした人は地位や収入の高いマネジメント層です。日本のように一般労働者でそこまで働く人はいません。 残業することはむしろ悪いこと、能力のないことと判断されることもあります。また同一労働同一賃金により正規雇用と非正規雇用でも仕事が同じであればきちんと評価されます。

国連

国連は、日本に対してたびたび労働者の人権を守るための労働者人権条約に批准するよう要請してきました。しかし日本はこれに未だ批准していません。そのため労働環境も人権を無視した劣悪な状況が先進諸国の中でも最悪のレベルで存在します。 そして国連は日本の労働環境改善のための是正勧告を行っています。長時間労働の削減をはじめ労働者の人権に配慮した整備を求められていますが、日本がこれに積極的に応えているとは言い難い状況です。

海外で負ける日本企業

かつての日本は、今でいう「社畜サラリーマン」の頑張りで海外企業との競争に勝っていました。低賃金、長時間労働で働かせて安く品質の良い製品を生み出すため、欧米諸国からは不公平だともいわれてバッシングを浴びることもありました。

下がり続ける存在感

しかしいまでは日本企業の海外での存在感は低下しています。かつての日本企業のようなことを韓国や中国などの企業が行なってきた結果、彼らとの競争に敗れてしまいました。日本の技術力はいまも一定のレベルにありますが、それでもグローバルな競争の中では勝てずにいるのです。

ガラパゴス化

イノベーションに関しても欧米の企業についていけていません。たとえばスマートフォンがこれほど急速に広がると予測できなかった日本は、もはやこの市場で世界的名声を得ることは難しいでしょう。古い労働環境同様に世界の進化から取り残されガラパゴス化しています。

日本は二流国なのか?

今のままでいけば確実に日本は二流国に転落することになるでしょう。日本から新しい革新的な技術がでて再び世界をリードできるようになるためには改革が必要です。特に労働環境に関しては早急に改めないと、優秀な人材は海外に流出し続けることになるでしょう。

生産性の低い仕事

これまで日本は世界でも上位に入る人口が支える内需によって経済が回っていました。しかし人口が減少する時代になり、海外の企業との競争になった時に旧態依然の労働環境で働かせていた日本企業は変化についていけません。目先のことだけを追い、成長戦略を描けなかったのが敗因です。

経営者の問題

とにかく目先の利益を追い求め、人材への投資をしてこなかったツケが回ってきています。労働環境の改善には目を向けず、コストダウンのために非正規雇用を重用した結果、技術が蓄積されず結果として仕事の質の低下を招きました。

従業員の問題

一方で働く人の意識の問題もあります。終身雇用のように身分が保証された時代は終わりました。いるだけで毎月給料が出る時代もありましたが、いまは主体的能動的に仕事に向き合うことが必要です。どうすれば少しでも生産性が上がるのか労働者一人一人が考えることが労働環境の改善につながることを自覚する必要があるでしょう。

状況別にみる日本の労働環境の危うさ

さまざまな状況で現在の日本の労働環境は限界を迎えていることが露呈しています。何が問題なのかを把握しておきましょう。

新卒

新卒入社後数ヶ月で店長を任せるような飲食店があります。これはマネジメントを非常に軽視した企業にとっての自殺行為です。そして多くのプレッシャーに晒される新人は、十分な教育も受けられず劣悪な労働環境に疲弊して退職するなど、人が育たない悪循環に陥っています。

女性

女性を十分に活用できていないのも日本の労働環境の特徴です。特に妊娠・出産といったことがあると退職を余儀なくされることが多く、キャリアが細切れになってしまいます。育児と仕事の両立にもっと理解を得られるような環境に変えていく必要があります。

定年制度

定年制度ほどナンセンスなものはありません。能力や意欲があっても一定の年齢に達したら退職させられることのどこに合理的理由があるのでしょうか。能力・経験・健康状態に問題がなければ何歳まで働いてもいい仕組みにすることが生産性を上げる方法の一つです。

労働組合

日本では企業内労働組合が主流でした。企業内労組は企業と対立しても最終的には落とし所を図ります。その意味では容易に御用組合に転じやすい問題があります。もしも労働組合がきちんと機能していたら日本の労働環境ももっと早くに改善されていたとも考えられます。

価値観を変える必要性

価値観を変える必要性

労働者でもあり消費者でもある国民全体が労働環境の改善に向けて目を向け、自分のこととして考える必要があります。

サービスはタダ?

日本ではサービスはタダと考えられているところがあります。「お客様は神様」を他でもない客自身が言ってしまうようないびつな状況が労働環境の是正に歯止めをかけています。サービスはタダではないということを知覚しなければなりません。

交渉と強要の違い

元請けと下請けの関係も改善が必要です。自分たちの提示する条件を受けなければ別のところに依頼するという、交渉というよりは強要が横行しています。下請けは仕事欲しさに不利な条件を受け入れざるを得ず、下請けの従業員に最終的なしわ寄せが来ることになります。

景気回復

長く続いたデフレも労働環境の改善を阻む要因です。値段が安いのが当たり前と消費者が思い込んでしまっているため、なかなか値上げに踏み切れません。そのため従業員の賃上げが難しくなります。労働環境の是正には適正な価格が必要だということを忘れてはいけません。

労働環境の改善に向けた課題と必要性

労働環境の改善に向けた課題と必要性

労働環境の改善は早急に必要です。とはいえ課題は多く、中にはすぐに解決できないようなものもあります。しかし無理に思えても、今後日本経済が世界の中で生き残っていくためにはやらなければなりません。

働き方は変わるのか

働き方改革の実現に向けて労使が一体となって望む必要があります。人口減少時代に入った日本にはもはや時間的猶予がないということを知る必要があります。

形だけ作ってもダメ

いま働き方改革のためにさまざまな法案が準備されていますが、もちろん法案などで形だけ整えても実行されなければ意味がありません。どのように実行させるのかまでが一つのスキームです。

企業は7割潰れていい?

厳しい言い方をすれば、劣悪な労働環境で人を働かせる会社は潰れた方が世の中のためとも言えます。いま中小企業の7割が赤字とも言われています。黒字化し、潰れないための最善の手は人へ投資することです。

人への投資こそすべて

人への投資こそすべて

企業の業績を上げるために必要なのは何より人です。一時は天下取りに最も近いと言われた戦国時代の名君主である武田信玄は「人は城、人は石垣」と経営における人材の重要性を500年も前に語っていました。現代にこそこの言葉の重みがより感じられるのではないでしょうか。

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