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先延ばし症候群・正常性バイアスの意味と対策|具体例・類似バイアス

更新日:2020年08月14日

言葉・雑学・歴史

正常性バイアスとは、自分が予期しない非日常的な事態、自然災害や火事、事故、事件などに遭遇した時、それを過小評価したり、無視してしまうことを言います。正常性バイアスは、心の安定を図るために、目の前の事を正常の範囲内だと認識しようとすることから生まれます。

正常性バイアスとは

正常性バイアスとは、自分が予期しない非日常的な事態、自然災害や火事、事故、事件などに遭遇した時に起こります。正常性バイアスとは、そういった事象を過小評価したり、無視してしまうことを言います。これは、心の安定を図るために、目の前の事を正常の範囲内だと認識しようとすることから生まれます。

災害時に問題となる正常性バイアス

正常性バイアスの「バイアス」とは偏見や先入観といった意味です。偏見や先入観があるために考えることを放棄すると、そこにいない人からは理解しがたい行動を取ってしまうことになるのです。 人は、何か刺激があるたびにいちいち反応しているとストレスを感じてしまうため、それを回避するための防御的な機能を持っています。これが正常性バイアスなのです。それが度を越してしまうと、災害に遭遇した時などに深刻な状況をもたらしてしまいます。 具体的な正常性バイアスの例をいくつかあげてみます。

韓国の地下鉄火災

地下鉄の火災で車内に煙が充満しているにも関わらず、多くの乗客が誰も逃げずにそこに留まり、200人近い死者を出した事件があります。 これはどういうことかというと、目の前の火災に脳が追い付かずに、無理やりにでも仮想現実だと思い込んでしまったのが原因です。その結果、目の前の事態に対して緊急事態が起きたという認識ができずにいた為、被害が拡散したのです。

カトリーナ

また、2005年8月に発生したアメリカのハリケーン「カトリーナ」では、避難命令が出ていたにも関わらず20%が避難せずに被害を大きくしました。避難しなかった人の多くは老人で、過去に復数の大きなハリケーンの来襲を経験していて、その時に大きな被害が出なかったことから、「今回も大丈夫」(正常の範囲内である)という判断をしてしまったのです。

御嶽山の噴火

日本においても、御嶽山の噴火において、登山者が噴石や噴煙に巻き込まれて死亡した事件がありました。この時、登山者は55人いましたが、その多くが非難を優先しないで、噴火や煙の様子を撮影しました。その結果、火口付近で噴火に巻き込まれ、携帯電話を持ったまま死んでしまった人もいました。

東北地方太平洋沖地震

記憶に新しいところでは、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)でも、「警報が出ているのに避難しない」人たちがいました。それらの多くは実際に津波が来るのを目撃してから避難を始めましたが、中には逃げ延びることが出来ず、津波に飲まれてしまうケースも多発しました。

福島県沖津波

さらに2014年、福島県沖を震源とする地震で津波が発生し、東北地方の沿岸部に同じく避難勧告が出されましたが、その時、約27,000人の勧告対象者の中で実際に避難したのは858人とわずか3%。中でも岩手県釜石市では、避難勧告の出た11,895人の中で実際に避難したのが33人と、0.3%に留まりました。3年半前に東北地震での津波を経験した人たちでさえ、「今回は大丈夫」という「正常性バイアス」に囚われてしまったのです。 このような過去の多くの事例から分かることは、人は甚大な災害に遭遇した時、自分の身を守るために迅速には行動できず、「大したことではない」「自分だけは助かる」と思ってしまうことです。そこにいない人からはバカげた判断であっても、事故が起きた現場において、「正常性バイアス」は人々の行動を大きく制限すると言ってよいでしょう。

正常性バイアスと同調性バイアス

正常性バイアスと似た言葉で、「同調性バイアス」という言葉もあります。より一般的には「多数派同調バイアス」とも呼ばれますが、これは、自分以外の大勢の人が取る行動に、自分も合わせようとする心理状態のことを言います。

多数決の怖さが同調性バイアス

正常性バイアスが、緊急事態に遭遇したときに「これは正常の範囲内だ」「自分は大丈夫だ」と、自分の内面で判断することを言うのに対し、同調性バイアスは、他の人がみんな「大丈夫だ」と言っているから大丈夫だ、と自分の外側に判断を委ねることを指します。いわば「多数決は正しい」という考え方であり「赤信号、みんなで渡れば怖くない」にも通じるバイアスです。

同調性バイアスが強まるとき

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初回公開日:2017年05月29日

記載されている内容は2017年05月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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