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仕事で使える心理学の知識とは?|心理学に関する仕事の種類と資格

資格・検定

もっとストレス無く仕事に向かえたらと思い、心理学関係の本を手に取る方も多いでしょう。また、心理学を仕事にしたいと考えている人もいるかもしれません。今回は仕事でつかえる心理学のミニ知識から心理学を仕事に活かすメリット、心理学を活かした仕事までご紹介します。

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もっとストレス無く仕事に向き合いたい

心の風邪と言われているうつ病も、厚生労働省によれば一生のうちに3~16人の人が経験します。うつ病まででなくとも、仕事の中でストレスを抱えている人は多いでしょう。金曜日の夕方時点では解放感いっぱいだったのに、月曜日の朝を向かえる時には気分が憂鬱になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?では、どんなことが会社員にとって強いストレスを引き起こしているのか、見ていきます。

ストレス因第一位は人間関係

2016年のある調査によると7割以上の人が仕事においてストレスを感じ、そのストレス因の第一位は「人間関係」だったと報告されています。また別の調査によれば、「職場の人間関係」は男性よりも女性にとって圧倒的に高く、男性にとってのストレス因第一位は「上司との関係」であったり「仕事の質」であったり、調査によって異なる結果を示していました。

心理学で職場の人間関係を円滑に

心理学には多くの学派や枠組みがありますが、いずれも人の心を扱った学問です。そのため心理学を勉強することで、職場の対人関係に役に立つことはいっぱいあります。以下に職場の人間関係に役立つ心理学として、心理学的枠組みや臨床心理学におけるいくつかの学派をピックアップしてご紹介します。また、それぞれの心理学的枠組みや学派についての書籍も一緒にご紹介しますので、参考にしてみましょう。

社会心理学

社会心理学は、社会が個人の行動にどのような影響を及ぼすのかを研究した、心理学の一分野です。社会心理学の中で有名な実験には以下のようなものがあります。 ●スタンフォード監獄実験 普通の人でもある肩書を与えられると、その肩書に合わせた行動を自然と取るようになったことを証明した実験です。 日本の職場でも、あえて肩書を与えることで部下の成長に期待する場合があるでしょう。その場合、この実験と同じ効果を狙っていると言えます。 参考文献: 『グラフィック社会心理学』池上知子著 サイエンス社 2008年刊行

フロイト学派

人間の「無意識」を発見したフロイトや、その娘アンナ・フロイトを中心とした心理学の学派で、「精神分析」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。アンナ・フロイトの「防衛機制」の概念は、職場の人の「なぜ?」と思える行動を説明してくれることがあります。例えば、以下のような場合です。 ●部下に労いの声をかけたいのに、つい「もっとしっかりやれ!」と言ってしまう →「反動形成」という心の働きによるものです。知らず知らずのうちに思っていることとは逆の行動に出てしまいます。気恥ずかしさやどう言えばいいかわからない戸惑いから、つい逆の叱咤する方向での声掛けになってしまうのです。 ●父親に似ている上司にはなぜか反発心を抱いてしまう →「投影」という心の働きによるものです。父親に似ている上司の中に父親と同じ嫌な面を感じとり、反発心を感じます。 参考文献: 『精神分析が面白いほどわかる本』心の謎を探る会著 河出書房新社 2002年刊行

ユング心理学

フロイトの弟子、ユングを中心とした心理学の学派です。ユングは個人の中の無意識だけでなく、広く普遍的に多くの人が持つ無意識として「集合的無意識」という概念を生み出しました。ユングの概念の中でも、「外向ー内向」「コンプレックス」などは有名でしょう。また、以下のような場合もユングの概念で説明ができます。 ●あの部下の図々しさが、気に障る →ユングは自分の中の否定されてきた側面を「影」と呼びました。自分の中の「影」を他人の中に見た時、多くの人は不快な感情を生じさせます。つまり、この上司自身他人に対して図々しく振舞ってしまう側面があったかもしれず、部下の中に自分と同じ嫌な面を見た為に、不快になりました。 アンナ・フロイトの「投影」とユングの「影」は似ている概念ですが、同じではありません。アンナ・フロイトの「投影」は「反りの合わない父と息子」というような関係性を示すのに対し、ユングの「影」は自分の中の短所を示します。 参考文献: 『ユング心理学入門』河合隼雄著 培風館 2010年刊行

アドラー心理学

岸見一郎氏著作「嫌われる勇気」のベストセラー化など、近年注目が高まってきているのがアドラーの個性心理学です。「全ての感情や行動はある目的を達成するために生み出される」等アドラーの言葉に力を貰っている人も多いことでしょう。 参考文献: 『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』 岸見一郎著 ダイヤモンド社 2013年刊行

認知行動療法

認知行動療法は「エビデンス(=証拠)」に基づいた治療法として、今高く評価されている心理療法の1つです。書籍等も多く販売されていて、病院等に行かないまでも自分の日々のメンタルを整えるのに有効な方法として、取り入れている人も多くいます。 認知行動療法によれば、人間は皆認知的な癖やゆがみを持ち、独自の視点で世界を捉えてしまいがちです。認知行動療法は、認知的なゆがみを少しでも軽減させることを狙った心理療法であると言えます。例えば、こういった悩みを持つ人には認知行動療法はとても有効でしょう。 ●仕事は完璧にやらねばという思いが強く、そんな自分がしんどい ●飲みに誘ったら断られ、自分は嫌われているんだと思い込んでしまう 参考文献: 『ケアする人も楽になる 認知行動療法入門BOOK1・2』伊藤絵美著 医学書院 2011年刊行

NLP

NLPは自己啓発に興味がある人を中心に、1万人以上の人が学んでいます。視線から相手の心の動きを読もうとする「アイパターン」や理想の人と同じように行動を真似てみる「モデリング」など、NLPのテクニックを仕事の中で生かしていきたいと考えている人は大勢います。 参考文献: 『手に取るようにNLPがわかる本』加藤聖龍著 かんき出版 2009年刊行

仕事で使える心理学の知識

もしも心理学で仕事の中に生かせることがあるなら、ぜひとも知りたいと思う人は多いことでしょう。そこで今回は、ごく限られた範囲ではありますが、いくつか仕事で使える心理学の知識をご紹介します。

重要な要求の前に、簡単な要求をするべし

人は1度でも要求を飲むと、たとえ次の要求が多少難易度の高いものであったとしても、要求を受け入れる可能性が高くなります。それを社会心理学の言葉では「フット・イン・ザ・ドア」と言います。 「フット・イン・ザ・ドア」はアパレルなどの業界ではよく使われる手法です。例えばあなたが洋服を買いに行った際に「試着するだけでもどうですか?」と声を掛けられることがあると思います。そこであなたが店員からの「試着する」という要求を飲み試着すると、サイズ等を確認に来た店員からの「お似合いですよ」の言葉に、あなたはそのまま服を買わなければ申し訳ない気持ちになるでしょう。 もしあなたが営業職の仕事なら「5分だけでも聞いて貰えないでしょうか?」と相手に小さな要求したあとに、実際には5分をはるかに超える営業活動を行うといったように、応用できます。逆に小さい要求を飲むことでその先の要求を断り切れなくなるという点で、最初から相手の誘いには乗らないようにする、という使い方もできるでしょう。

敢えて大きいダミーの要求を伝えた上で、本当の要求を伝えるべし

これは敢えて断られる前提で大きな要求を伝えた後に、本来の要求を通すことです。人間は何度も要求を断り続ける事に罪悪感を持ちます。そのため1つ要求を断ったのだからと、その次の要求には応じてくれやすくなるのです。 例えば、あなたが仕事で契約の金額的な交渉をする立場にあるとします。あなたが請求する側であったら、きっとあなたは相手が値切ってくることを考えて、わざと大きな金額を提示するでしょう。これと同じことを、日常の色々な場面に応用するのです。休みがとりにくい職場であればあえて最初に多めの日数を伝えて打診してみる、お給料の上乗せ要求であれば、自分が期待しているよりも2~3割高い金額を伝える、といったことがこの一例となります。

心理学を使って上司と部下の関係改善を図る

先に述べたように人間関係が仕事におけるストレスの第一因になっており、特に上司と部下の関係におけるストレスを感じている人はかなりの数になります。そういった上司と部下の関係においても、心理学の知識は有効です。ここではあくまで心理学に基づいた関わりの一例を示しますが、上司と部下の関係改善を図るのに、ぜひ心理学を役立ててみて下さい。

部下には一方的な命令よりも選択を

あなたが上司であれば、部下が自分の思うように動いてくれずに不満を感じることもあるでしょう。部下が自分の思うように動かない理由には様々ありますが、あなたの指示のやり方によって部下が指示に応じてくれやすくなる方法はあります。 その方法の1つが一方的に命令するのではなく、選択肢を提示して部下に選ばせるというものです。例えばケアレスミスがどうしても多い部下に対して、「ミスを減らせ」と言うだけでは言われた側にもプライドがあるので、ますます指示に応じようという気持ちが下がるだけでしょう。 「ミスが多い今の状況を続けるのと、ミスを減らして査定が上がるのとどちらが良いか?」というように選択肢が与えられると、部下も自由度が与えられたように感じられ、一歩的な命令の時よりも応じやすくなります。

部下をエンパワーするヒント「何があなたに力を与えてくれたの?」

エンパワーとは、人を支えることを意味する言葉です。上司であれば部下の活躍を支えることも仕事の1つに入ってくるでしょう。部下の努力を支えるには、部下自身も気が付いていない本人の資質を見つけ、励ましてあげることが求められます。そのような際に、弁証法的行動療法で用いられるこのキーワードが役に立ちます。 苦しそうにしている部下に、ぜひ以下のように問うてみて下さい。 「あなたはとてもよく頑張っている。でも、何かあなたにそこまで頑張る力を与えてくれるのか?」 そうすると、部下は自分なりに考えて自分を励ましてくれているものについて答えてくれるでしょう。そこであなたは部下の答えを聞いて、それを部下の持っている資質として肯定的に言いなおしてあげるのです。例えば部下が、「チームの人たちのおかげです」と答えるとします。 そうしたら、一例としてあなたはこう答えることができます。 「チームの人たちのおかげということは、あなたにはチームの人たちが力を貸したいと思えるだけのひたむきさがあるということ。あなたにはきっと、そのひたむきさのおかげで、他にも上手くいったこととかがあるだろう。もう少しその話について聞かせてくれないか?」 部下は自分の中にあった「ひたむきさ」という武器に気が付き、あなたからの問いかけによって、ひたむきさで上手くいった事例を思い出し始めます。部下はこの先もきっと、ひたむきさを武器にして活躍していけるでしょう。ですがそれも、あなたとの対話があったからこそ可能になります。

「今が55点として、それが60点になったら何が違う?」

ミルトン・エリクソンらを中心とした短期療法のキーワードもまた、あなたと部下との対話を助けてくれます。物事を大きく変えていくにはよほどの努力が必要です。ですが、小さな変化であればそこまでの負担感は生じません。また実際に大きな変化というのは、小さな変化の積み重ねであることが往々にしてあります。 ミルトン・エリクソンらは「小さな変化こそ大きな変化に向けた第一歩」として、まず小さな変化から促していくことを推奨しています。あなたが上司であれば55点の部下に対して最初から80~90点を求めず、5~10点の小さな変化を問い促す方が効果的です。

心理学を仕事に活かすメリット

人間には個々違った面もあれば、全体として共通した行動傾向もあります。心理学を活かすと多くの人が考える思考の流れに沿った戦略が組めるので、仕事の業績としても上がるところがあるでしょう。 また心理学を学ぶと「私はなぜあの人にいつもイライラさせられてしまうのか?」といった疑問への、ヒントをつかむことができます。仕事において人間関係を外して考えることは難しく、人間関係の理解が仕事をよりスムーズにさせてくれるでしょう。

心理学の資格にはどんなものがあるのか

仕事として心理学を活かした仕事についていきたいと思われる人も、いることでしょう。現在心理学の資格で最もメジャーな資格は、臨床心理士です。また平成28年度に通過した公認心理師法によって、今後国家資格として心理師が誕生します。いくつか心理学の資格について、ご紹介致します。

臨床心理士

日本臨床心理士認定協会の認定資格です。臨床心理士指定の大学院を修了し、毎年秋に行われる臨床心理士資格試験に合格すると取得することができます。現在臨床心理士資格試験の合格率は50~60%と、厳しくなってきています。また取得後も5年に一度資格更新があるので、資格更新に向けて一定の研修を積んでいくことが求められます。

産業カウンセラー

産業カウンセラー協会が主催する研修を受講し、産業カウンセラー資格試験に合格することで取得できる認定資格です。取得後は、企業のEAPプログラムカウンセラーなどの道で活躍できます。

臨床発達心理士

発達臨床に携わる専門家に開かれた認定資格です。5年ごとに資格の更新があります。資格取得要件は、発達心理学隣接諸科学の大学院に在籍中か終了後3年未満であること、または臨床経験が3年以上あることなどを、満たしている必要があります。

キャリアコンサルタント

平成28年4月から国家資格となりました。現在はキャリア・コンサルティング協会と日本キャリア開発協会の2つの機関が厚生労働省から認定を受けて試験を実施しています。試験の合格率は、受験者の50~70%です。資格取得後は、公的就業支援機関や人材紹介及び人材派遣会社、企業の人事部門などで活躍します。

心理師

平成28年度国会で公認心理師法が通過したことを受けて、今後国家資格として取得出来るようになります。現在国家試験実施に向けて準備が進んでいます。資格の受験用件は大学で4年間心理学を学んでいることが必要とされ、現在臨床心理士等の資格で働いている者に対しては、一定の講習を受けた上での受験など、経過措置が取られる予定です。

心理学を活かした仕事の種類

心理学を活かした仕事として、以下のような仕事をあげることができます。なお、家庭裁判所調査官と法務省法務技官は国家公務員なので、臨床心理士などの資格は求められません。

家庭裁判所調査官

家庭裁判所に勤務し、事件を起こした少年の審判に必要な成育歴などの聞き取りなどに従事します。家庭裁判所調査官補試験に合格した上で採用され、毎年20倍を超えるかなりの高倍率となります。

法務省法務技官

少年鑑別所等において、事件を起こした少年の性格傾向など個人の資質を調査します。国家1種試験に合格し法務省に採用されるか、法務省鑑別技官試験で合格する事によって採用されます。

臨床心理士

スクールカウンセラーや病院等の心理判定員として従事します。スクールカウンセラーならば多くの場合、教育委員会から小学校や中学校、高校等に派遣されるパターンを取ります。児童生徒や保護者のカウンセリングと、教員へのコンサルテーションを行うのが仕事の内容です。病院やクリニックに勤務する場合には、性格・心理検査を担当したり、患者のカウンセリングを行います。

大学等での研究職

大学や研究所等において、基礎心理学やその他の心理学についての研究・調査をします。大学であれば学生への講義やゼミの担当を含むケースがほとんどです。

心理学に関する仕事の年収や収入

心理学に関する仕事は、雇用が不安定な職であると言わざるを得ない状況にあります。今心理学の中でメジャーな資格であるとされている臨床心理士も常勤での雇用は限られており、安定した職を求めて公務員や病院は非常に入りにくい状況になっています。 臨床心理士を取得したばかりの多くの人はいくつかの非常勤の職を掛け持ちし、経験を積んだ上で常勤の仕事につくケースが多いです。ですが、非常勤を掛け持ちする新卒の心理士でも月給に換算すれば20万円程度は稼ぐ場合が多く、全く生活が成り立たないような状況にあるわけではありません。 公務員試験に合格したり病院や施設等に入職した場合にはボーナスも支給されることが多い為、そういった職場に入ることができれば、給与面ではかなり安定した生活を送ることができるでしょう。 しかしながら、臨床心理士をはじめとした心理学を活かした仕事ではたゆまぬ研鑽を積むことが求められ、資格も5年間で更新する必要があります。資格更新には研修会参加で得られるポイントを一定数集める必要があり、参加費の多くは自腹での出費となります。貰ったお給料の1~2割程度は、自己研鑽のために使うことになることを覚悟しておいた方が良いでしょう。

ストレスフルな社会だからこそ

仕事の中で使える心理学の知識や、心理学を活かした仕事について見てきましたが、いかがだったでしょうか。人間関係の中でも、日々接する上司や部下とのコミュニケーションの取り方は、とても困難で心労もかさむことでしょう。ストレスフルな社会だからこそ職場内の人間関係を良好に保ち、少しでもストレスとは無縁の生活を送りたいですよね。 人間関係がうまくいかない、どうしたらもっと良好な関係を築けるのかと悩んでいる方や、心理学に興味のある方は、今回の記事を参考に、日々心穏やかな生活を送っていって下さい。

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