IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

損金算入とは?メリットとデメリット・限度額や交際費

事務

生活している上でほとんど聞いたことのない「損金算入」ですが、一体どんなものなのでしょうか。会社を経営していると必ず税金がかかってきます。その法人税や所得税などの税金が損金算入と深く関わりがあります。今回は損金算入について解説します。

更新日時:

損金算入とは?

損金

損金とは、法人税の課税所得金額を計算する際に費用となるものです。法人税の課税所得は、「益金」から「損金」を控除した金額となります。会計上は、「収益」から「費用」を控除して、「利益」を求めます。法人税の場合、「費用」と言わずに「損金」と言っています。「損金」と呼ぶ理由については、ちょっとわかりません。法人税法上でそのように規定しているからしかわかりません。会計上の「費用」と法人税法上の「損金」には、違いがあります。会計上「費用」になるが、法人税法上「損金」にならない項目があります。逆に会計上「費用」にならないが、法人税法上「損金」になる項目もあります。

損金算入

法人税の所得金額を計算する際に、法人税の費用とすることを「損金算入」といいます。その逆で法人税の費用から除外することを「損金不算入」といいます。法人税法で損金算入できる金額が定められています。一般的に会計上費用となるものは、損金に算入できます。法人税で、「別段の定めがあるもの」については、会計上費用になるが、法人税上損金にならないこともあります。「別段の定め」がある代表的な項目は、交際費・租税公課・寄付金・減価償却・役員賞与等です。法人税の調査で問題になる項目は、このような項目の損金算入について、税務署から指摘されることが多いと思います。

損金算入のメリット・デメリット

損金算入のメリット

損金算入のメリットは、なんといっても法人税額が少なくなることです。現在の日本の法人実効税率は、約30%です。したがいまして、1億円を損金算入すると、約3千万円税金を少なくすることができます。

損金算入のデメリット

損金算入のデメリットはあまりありません。法人税法に抵触する範囲で、損金算入を行ってしまうと、後日税務調査等で指摘をうけ、不納付の法人税以外にも、延滞税(利子)と加算税(罰金)を取られてしまいます。交際費・租税公課・寄付金・減価償却・役員賞与等については、会計上は費用になるのですが、税務上費用にならない損金不算入になる可能性もあるため、申告時は非常に注意が必要です。

限度額

一般的な限度額

法人税法22条3項において、「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。 ①当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額 ②前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額 ③当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの」 一般的には、会計上の費用は、法人税法上の損金になります。上記の法令で重要なのは、「別段の定めがあるものを除き」という項目です。「別段の定めがあるもの」は、会計上費用になっても、法人税法上の費用にならない可能性があります。

別段の定めがあるもの

「別段の定めがあるもの」には、交際費・租税公課・寄付金・減価償却・役員賞与が含まれます。交際費・租税公課・寄付金・減価償却・役員賞与については、法人税の税務調査でも問題になることがよくあるため、法人税申告書作成時には、非常に注意が必要です。

交際費

交際費の定義

交際費は、税法で「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」と定義されています。実務上重要なのは、形式だけではなく、実態でも判断されるということです。損益計算書上で「交際費」と計上されている金額だけではなく、実態として「交際費」に該当すれば、限度額を超過すると損金不算入になります。税務上の「交際費」に該当するか微妙なのが「福利厚生費」「会議費」「広告宣伝費」等ではないかと思います。 たとえば、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」は、交際費から除外されています。ただ、会議費に計上されている費用であっても、お客様との宴会等に使った費用(1人5,000円以下のものを除く)については、税務上の交際費となります。社内での懇親会も、一般的には交際費と判断されます。特定のお客様を招待して、高価なお食事を提供した場合も交際費と判断されます。

交際費の限度額

税法上の交際費は限度額まで損金算入できます。限度額は、法人の規模によって異なります。中小法人(一般的には資本金1億円以下)は、年間800万円まで損金算入できます。大法人は、原則として全額損金不算入です。ただ、景気対策のため、顧客との接待については、50%だけ損金不算入を認めるなど、交際費の規定を緩くする傾向があると思います。交際費の取り扱いは、頻繁に改正される項目ですので、国税庁のホームページをご参照ください。

実務上の注意点

法人税の調査では、必ずと言っていいほど、交際費が問題になります。よくあるのは、交際費以外の勘定科目に計上されているのに、実態としては、税務上の交際費と判断されたというケースです。また、お客様との接待では、1人5,000円以下であれば、損金算入が可能となりました。その制度を悪用するケースがありますので、注意が必要です。具体的には、以下のケースがありました。 ①参加人数を水増しすることで、1人5,000円以下にしてしまう。(領収書に記載されたお通しの数や、税務調査の反面調査で実際の参加人数が発覚する。) ②懇親会の一部を個人負担にすることにより、1人5,000円以下にしてしまう。(税務調査の反面調査で実際の参加人数が発覚する。) ③意図的に領収書を分割して発行させ、1人5,000円以下にしてしまう。(税務調査の反面調査で実際の参加人数が発覚する。) ④1人5,000円以下であれば、損金算入が可能な交際費は、取引先が参加してものに限られます。お客様が参加したと偽って報告し、損金算入が可能にしてしまう。(税務調査の反面調査で実際の参加人数が発覚する。) ある程度の規模の会社になると、接待も多く、上記のような不正行為を100%防止することはできないのが実態です。事業を拡大するために接待は非常に大切な行為であり、非常に悩ましいところです。

役員報酬の損金算入要件

役員の定義

会社法上の役員と法人税法上の役員は、異なります。法人税法上の役員は、会社法上の役員よりも広いです。一般的には、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人が役員です。ただ、登記上役員として登録されていなくても、会社の重要な決定事項に関与していれば、法人税法上の役員とみなされることもあります。形式と実態で法人税法上の役員かを判定する必要があります。役員の判定は、同族会社でも異なりますので、非常に注意が必要です。

役員報酬の損金算入要件

役員報酬について、損金算入要件が厳しく規定されています。役員給与と役員退職金で規定が異なります。役員給与は、①定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与、以外はすべて損金不算入です。 また、不相当に高額な部分の金額も損金不算入です。役員退職金については、適正な額のもののみ損金算入が可能です。役員給与も役員退職金も、何が適正な金額かについて明確な規定がありません。極端な場合では、税務署側が勝手に適正金額を決めてしまうことも可能です。 役員報酬の損金算入要件については、非常に細かく規定が定められていますので、国是院長のホームページをご参照ください。交際費同様、税務調査で指摘されることが多い項目です。実務上、申告書作成時に以下のことを文書化しておくことが重要です。 ①そもそもその会社の税法上の役員はだれか? ②税法上の役員の報酬形態はどうなっているか?報酬金額は適正か? ③事前確定届出給与、利益連動給与については、適切に届出書を提出しているか?

損金算入をまず理解する

以上よりデメリットがほとんどない損金算入ですが、交際費などの経費での注意点がところどころあるのでまずは理解するところから始めてみてください。

関連タグ

アクセスランキング