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退職合意書の書き方と書式・記載するべき項目や効力

初回公開日:2017年04月28日

更新日:2017年06月04日

記載されている内容は2017年04月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

退職ノウハウ

会社から退職勧奨を受けた場合に、退職合意書に署名をしてと言われることがあります。この退職合意書とは、どんな効力があり、書式にはどんな項目が書かれているのでしょうか。会社都合で書く場合は何か違うのでしょうか。退職合意書についてまとめましたのでご参照ください。

退職合意書とは何か?

退職合意書とは、入社時に書く雇用契約書の退職時版のようなもので、退職後に会社と元従業員とのトラブルを未然に防ぐために作成するものです。 近年、労使間(従業員と会社間)のトラブルが増えてきており、個別労働紛争と呼ばれています。特に多いのが、未払残業代などを退職後に請求する賃金問題です。この未払残業代は、実際に未払い分がある場合は当然支給する必要がありますが、実際には未払残業代がない場合でも、支払いを要求されることがあります。こうなった場合は、弁護士に依頼して解決するのですが、100%会社側が勝つというのは難しく、このようなトラブルは後を絶ちません。そこで、退職した元従業員との間のトラブルを未然に防ぐため「退職合意書」を作成するのです。

退職合意書の効果とメリット

退職合意書は、労使双方にメリットがあります。 会社側のメリットは、未払い残業代などの名目で、退職後に金銭を請求されることを防ぐ効果があります。しかし、実際に未払いがある場合は、本来払うべきものですので、いくら合意書にあったとしても絶対に払う必要がないとは言い切れません。とはいえ、「労使双方に金銭の債権債務がない」と明文化されている合意書にサインしてあれば、余程のことがない限りは、争いとなっても有利にはなります。 一方、辞める従業員側にもメリットはあります。辞めた後で退職金がいつ振込まれるか、いくらなのかがわからないという状態を防ぐことができるのです。また、本来なら請求されない借入の精算や損害賠償請求などを避けることができます。このように退職合意書は、労使双方のお金の問題をきちっとした形で書面に残すことで、その後のトラブルを未然に防ぐ効果があるのです。

退職合意書の書き方ー退職合意書に記載すべき事項

では、退職合意書に記載すべき項目とは何なのでしょうか。以下に記載すべき事項をあげていきます。 1.賃金債権債務の有無 退職する月の給与、賞与、退職金について明記する。 2.賠償責任の有無 労使双方に賠償責任があるか無いかを明記する。 3.守秘義務 仕事で知り得た情報について、他言しないことや今後使用しないことを明記する。 4.競業避止義務 業他社に雇用されたりできないという協業避止義務を負っています。しかし、現実的には、同じ町内や市内で同業店を出店され、顧客を奪われるなどあるため、大きな問題になることも少なくありません。そこで、退職後1年間は当社営業エリア内で同業種を出店しないなどの合意を取り付けます。ここで、あまりに長期間だったり、広範囲での競合営業を禁止してしまうと、新たに同業種で出店するために辞める従業員から反発されるため適度な範囲、期間を設定するようにしましょう。自社の正当な利益を守るためにも、きちんとした競業避止義務条項を入れることは大事なのです。

退職合意書を交わした場合でも退職願は必要か

能力不足、勤怠不良、メンタルヘルス不全、社内トラブル等、様々な理由によって社員に退職勧奨を行い、場合によっては一定の解決金や退職金の上乗せをして合意の上で会社を辞めて貰う場合に退職合意書を交わします。 こういった場合、会社都合で辞めてもらうのですが、退職願を本人に書いてもらった方が良いのでしょうか。普通、解雇ではない場合、「退職願」を会社に提出して辞めていくので、その点を明らかにするためにも書いてもらった方が良いのではないかと思うかもしれません。しかし、一般的には、従業員が退職しようと思っている会社に「退職願」を出す行為は、法的にみて合意退職の申し入れをしていることになります。ですから、合意退職を会社から申し入れることが退職勧奨にあたるとすれば、退職合意書に署名してもらったにも関わらずに、退職願を貰うことは、論理的に矛盾が生じるのです。 社会保険の資格喪失や制服・社員証の返却、その他事務上の手続きの中で回覧書類として「退職願」が必要というケースであればわからなくもないですが、そのようなケースでない限りは、退職合意書を作っておきながら、本人から退職願を貰うことは矛盾しており、かえって合意書の内容の真実性を損なう場合があります。これらのことから、退職勧奨の結果、退職合意書を交わした場合には退職願は法的には不要なのです。 ・退職合意書を交わしたなら、退職願の提出は不要

退職合意書の書式例

では、退職合意書の書式例を見ていきましょう。以下は、従業員が退職後に労使間で争いが起こらないようにという意図で作成された退職合意書になります。

退職合意書ー労使間トラブル回避のため

               退職合意書 ○○ ○○(以下「甲」という。)と株式会社○○(以下「乙」という。)は、甲乙間の雇用契約に関して、以下のとおり合意する。 第1条 甲と乙は、当事者間の雇用契約を、平成○年○月○日において、合意解約することを相互に確認する。 第2条 甲は、前条の退職日までの期間のうち、平成○年○月○日から平成○年○月○日までは出勤し、その余の日については年次有給休暇を使用し、現に出勤することはないものとする。 第3条 甲は、甲の退職日の前後を問わず、乙の営業活動に不利益となる言動を行わないよう細心の注意を払う。乙は、甲の退職日の前後を問わず、甲の再就職活動に不利益となる言動を行わないように細心の注意を払う。 第4条 乙は甲に対して、最終給与として○月○日から○月○日までの賃金を支払う。 また、退職金として○○○円、和解金として○○○円の合計○○○円を、甲の指定する下記の預金口座に○月○日までに振り込む方法で支払う。 銀行名 ○○銀行  ○○支店   口座番号 ○○○○○○○ 口座名義人 ○○ ○○        預金の種類 ○○ 第5条 甲及び乙は、前条の最終給与、退職金及び解決金の支払いをもって、本合意書に定めるもののほかに、一切の債権債務関係がないことを相互に確認し、本合意書の締結前の事由に基づき、乙及び乙の関連会社、役員および従業員に対し、一切の訴訟上・訴訟外の請求を行わないことを確認する。 第6条 甲及び乙は、本件ならびに本和解合意書の成立及び内容を第三者に開示しないものとし、今後相互に誹謗中傷しないものとする。また、乙は、今後甲の不利益となる情報を開示しないものとする。 本件合意が成立したことを証するため、本書2通を作成し、各1通を所持する。 平成○年○月○日   甲 住所 氏名                印   乙 住所 ○○県○○市1-2-3 株式会社 ○○ 代表者   ○○ ○○         印

会社都合による退職合意書

会社都合の退職としては、解雇と退職勧奨などがあります。その場合の退職合意書の例を見てみましょう。

会社都合の退職合意書-退職勧奨

会社都合の退職合意書-解雇

一方、解雇は本人の同意や承諾は不要ですが、裁判沙汰になる可能性があり、相当の理由がなければ、「解雇権濫用の法理」によって、解雇無効となることも有り得ます。そこで、解雇は会社が取りうる最終手段として、社員との話し合いによって退職に同意を得る退職勧奨の形をとる企業が多いのです。

退職後のトラブル回避のためにも、退職同意書を作成しましょう

いかがでしたか。退職合意書は、会社側にとっては元従業員からの不当な賃金未払い訴訟などを回避できますし、従業員側にとっても退職金の受け渡しを明確にできるので、双方にメリットのあるものです。そのことからも、退職後のトラブルを回避したいのでしたら作成した方が良いでしょう。その場合も、お互いに話し合いを経て納得した上で行うようにしましょう。

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