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依願退職とは?退職金の扱い・手続き方法・公務員の依願退職

退職

退職の種類にもいろいろあります。その中でもよく耳にする「依願退職」とはどういう退職のことを言うのでしょうか?また、退職金や失業保険の扱いはどうなるのでしょうが?ここでは、「依願退職」の意味とその内容についてご紹介していきます。

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依願退職とは辞職での退職

退職の仕方にもいろいろ種類がありますが、「依願退職」とは、その種類の一つです。 簡単に言うと、解雇とは会社からの「クビ」のことで、依願退職は本人から辞職意思があって辞職することです。 依願退職とは、決して悪いことではなく、むしろ定年退職や解雇といった場合を除いて、ほとんどの退職が依願退職に該当するということです。

依願退職は自己都合退職の1つ

退職には大きく「自己都合退職」 と「会社都合退職」に別れます。

種類1:自己都合退職

1.従業員が退職を申し入れ、会社側の承諾を得て行う退職 2.従業員が退職を申し入れ、会社側の承諾を得ないままに行う退職 3.懲戒解雇(労働者が責任を負わなければならない理由による解雇)

種類2:会社都合退職

1.会社の倒産に伴う退職 2.事業所の閉鎖に伴う退職(働いていた支店閉鎖など) 3.解雇(人員整理など、労働者に責任を負わなければならない理由がなく行われる解雇) 4.退職推奨に応じて行う退職(リストラ)

退職には、その原因が従業員側にあるか、会社側かによって「自己都合退職」か「会社都合退職」に分けられますが、依願退職とは、自己都合退職の一つ(1.従業員が退職を申し入れ、会社側の承諾を得て行う退職)として位置づけられています。 「2.従業員が退職を申し入れ、会社側の承諾を得ないままに行う退職」があるように、もし退職を申し入れても、会社側が承諾しなければ依願退職になりません。

依願退職での退職金の扱い

依願退職とは、会社と労働者が合意して退職する、1種の合意退職となり、特に懲戒解雇や論旨解雇といった会社に迷惑をかけての退職ではありません。そのため、退職金については満額支給されるような規定となっていることがほとんどです。 また、依願退職といっても自己都合の場合もあれば、会社から依願退職者を募って労働者がそれに応じるパターンもありますので、その形式により退職金の金額を変更するような規定となっている場合もあります。 その会社の支給条件や退職金の算出方法、具体的な金額は企業によって大きく異なります。

依願退職の退職金額と勤続年数の考慮

退職金の額を算出する際、依願退職は自己都合退職として扱われますが、多くの企業では会社都合退職に比べて自己都合退職の退職金は低く設定されています。 具体的には、同じ勤続年数でも退職理由によって支給率に差をつけたり、会社都合退職の場合を満額として自己都合退職の場合は、そこから一定割合を減額したりするケースがあります。 また、勤続年数によっては退職金を一切支給しない企業もあります。その勤続年数は企業によりマチマチとなります。

退職金は会社で任意に決定できる

退職金は法律上の規定ではありません。そのため、退職金を支給する義務はなく、どのような方法で退職金を計算するかは会社の自由です。 退職金制度がある場合は、その会社に「退職金規定」というものに支給条件や支給率が定められていますので、確認してみることをオススメします。

退職金規定がない場合は退職時に確認する

たとえ、失業保険で「自己都合」と扱いとさても、退職金でも「自己都合」となるわけではありません。依願退職がどちらのタイプとして処理されて、退職金がどうなるのかについての明確な規定がない場合は、交渉においてトラブルになることも予想されます。規定がない場合は、あらかじめ、退職交渉をする際に確認しておくと後にトラブルを解消できるかもしれません。

依願退職の手続き方法

依願退職の手続きは、会社と退職交渉した上で「退職願」を提出することから始まります。退職願とは、会社に退職をお願いする書類です。一方的に退職を宣言する「退職届」とは違います。 依願退職は、退職の申し入れを会社側が承諾することで成立します。法律上は、口頭でも可能ですが、後にトラブルとならないように書面で行うべきです。 依願退職における、退職願の書き方は、通常の自己都合退職と同じです。退職理由には、「一身上の都合で~」とし、具体的な理由を書く必要はありません。

依願退職の退職願の書き方

ここでは、退職願の書き方を提示します。退職願とよく間違われるものに「退職届」がありますが、退職届は提出後に撤回はできないことになっており、退職願は提出後に撤回できるという点が大きく違います。

ペンで便箋に縦書きする(手書き)

退職願は、手書きが一般的です。パソコンで作成することが認められている場合は、それでも可能ですが、署名部分と印鑑は必要です。 また、手書きの場合は、用紙は便箋に、ペンで書くのが一般的です。便箋やペンでというのは、決まりではありませんが暗黙のルールとしてそのようになっています。 用紙サイズは、以下のうちのどれかになります。 ・A4便箋(210×297mm) ・B5便箋(182×257mm) ・セミB5便箋(177×250mm) ・色紙判(177×230mm) 用紙は、白でシンプルなもので、罫線は有り無しどちらでも良く、縦書きが一般的です。また、インクは黒、万年筆または、ボールペンが良いでしょう。

依願退職の退職願の書き方例

1.一行目の中央に「退職願」と明記する。 2.二行目の最下に「私事、」として書き始める。 (「私儀、」としても良いが、「、」を忘れないこと) 3.三行目頭から次の文章を記す。 「このたび、一身上の都合により、来る平成○○年○月○日をもって、退職致したく、ここにお願い申し上げます。」 ※○○年○月○日には、退職日を記入します。基本的に退職交渉時に決まった日付を記入しますが、わからない場合は退職交渉した相手に確認してください。 4.1行あけて、提出する日付と所属部署名、自分の名前をそれぞれ改行して書く。 5.自分の名前の下に認印または三文判(※シャチハタのような朱肉のないものは不可)で捺印する。 6.宛名として、退職する会社の正式名称と代表者名(社長)を明記する。 このとき、会社名の「(株)」「(有)」など省略不可です。また、代表者名が自分の名前より上にいくように余白を調整します。最後に「様」を忘れずに書いてください。 退職願では、退職理由を明確に書く必要はありません。たとえ、人間関係や待遇不満、その他様々な理由があったとしても、書かないでください。 意を決して書いたとしても、後に「一身上の都合」と書き直しを言い渡されることになるかもしれません。どんな理由であったとしても、自分の意思による退職であれば、「一身上の都合」と書きましょう。

依願退職の退職願の提出方法

退職願を書き終わったら、封筒に入れて直属の上司に渡しましょう。その際、封筒にもルールがあります。色、サイズ、構造、表書き・裏書きなどにも細かなルールが存在します。 ・封筒は退職時にふさわしいものを使用する。 ・表書き・裏書・封入作法を守る。 ・書き損じや汚れなどがないようにする。

退職願を入れる封筒は白の無地

退職願を入れる封筒として相応しいものは、白地に無地のものになります。「白封筒」「二重封筒」と呼ばれる、中身が透けないように紫色の紙などで二重構造になっているものが、相応しいです。 茶封筒は、領収書や請求書をいれる事務的用途で使われるものですので、退職願を入れるにはマナー違反となります。 また、白封筒でも郵便番号を書く「□□□-□□□□」という枠が書かれているものは、できるだけ避けてください。また、使う封筒は、便箋の用紙サイズに合わせてジャストサイズを選びましょう。 ・A4用紙・・・長形3号(120×235mm) ・B5用紙・・・長形4号(90×205mm) ・セミB5便箋・・・長形4号(90×205mm) ・色紙判・・・長形4号(90×205mm)

退職願を入れる封筒マナー

便箋またはパソコン出力の書面を入れる際は、三折りにして封筒に入れてください。 退職願の封筒の表には、「退職願」と中央に大きく書いてください。 また、裏書として、左下に「所属(例:○○部○○課) 名前」を書いてください。封書の糊付けはしてもしなくても大丈夫です。どちらで出しても非常識ということにはなりません。 なお、封をする場合は、必ず「〆」マークを書きましょう。

依願退職での失業保険の扱い

依願退職とは、労使が合意の上で退職することであり、会社側が退職願を受理しない場合は退職とならないものですので、1種の合意退職の一つです。そのため、失業保険では自己都合となることが多いです。またその場合、支給開始までには3ヶ月程度の期間がかかることに注意が必要です。

自己都合・会社都合での失業保険の違い

失業保険は、離職した人が次の職を見つけるまでの生活を支えるための制度です。雇用保険に一定期間加入していれば、1日¥6,000~¥8,000程度を上限に、直近半年間の給与の50~80%の給付金を受け取ることができます。 これに対して、会社都合で離職を余儀なくされた人の場合は、ハローワークに離職票を提出した7日後に最初の給付金が支給されます。自己都合の場合は、さらに3ヶ月の給付制限がかかるので、最初の給付金支給までに7日+3ヶ月がかかります。 また、自己都合退職の場合は、会社都合退職にくらべ、支給期間が短くなり、給付金を受け取るまでに必要な雇用保険加入期間も長く設定されています。失業保険は、会社都合でやむを得ず離職した人に手厚い制度となっているのです。

依願退職と解雇の違いは?

依願退職とは、退職願を会社側に提出して、会社側の承諾を受けて辞めることで、法律的には合意解約といいます。それに対して、解雇とは、会社側が一方的に雇用契約を解約することです。 従業員に重大なルール違反などがあって、就業規則に定める懲戒の規定によって解雇される懲戒解雇と、それ以外の普通解雇があります。普通解雇のうち、会社の経営上の理由で人員削減のために行われるものを整理解雇と呼んで区別します。狭い意味では、会社都合解雇とは整理解雇のことになるのですが、整理解雇以外の普通解雇も会社判断による解雇ですので、普通解雇はすべて会社都合の解雇といっていいでしょう。 就業規則には、一般的な解雇事由として次のような事項が記載されています。 ・身体または精神の健康上の障害で職務に耐えないとき ・勤務成績、勤務態度が著しく不良で就業に適さないとき ・労働能力や適性に欠き、就業に適さないとき いずれの解雇であっても、解雇するために就業規則に記載してある解雇事由に該当することが必要で、さらに客観的に合理的な理由が必要となります。この理由は、社会通念上相当と認められるものでなければなりません。もし、解雇が客観的にみて合理的な理由がなく、社会通念上相当ではないという場合は、使用者が解雇権を濫用したものとして解雇は無効となります。

会社はいつでも従業員を解雇できるか?

労働基準法では、労働者を特に保護する必要がある期間について、使用者による解雇を禁止しています。これを解雇制限といいます。解雇制限は次の2つになります。 1.労働者が、業務上の傷病によって仕事ができないために休業した場合に、休業期間中とその後の30日間は解雇は禁止されています。業務上の傷病でない私傷病の場合は、解雇制限がありませんので注意してください。 2.妊産婦について、産前産後の期間とその後の30日間は解雇が禁止されています。産前休業をとらずに就労している人や、法定の産後休業期間(8週間)を超えて休業している人は、解雇制限の適用はありません。 この解雇制限には例外が2つあります。1つ目は業務上の傷病で休業している人で療養開始後3年を経過した人に、会社が打切補償するか、労災から傷病補償年金が出る場合です。2つ目は、天災事変その他やむをえない理由で事業の継続が不可能になった場合です。解雇制限とは別に、解雇予告期間というのもあり、会社は従業員を解雇しようとするときは、少なくとも30日前に解雇予告をしなければなりません。また、解雇予告をする代わりに、30日分以上の解雇予告手当を支払うこともできます。

リストラで解雇といわれた場合

会社が経営上の理由で人員整理するために従業員を解雇することを整理解雇といいます。法律上は、使用者にも雇用契約を解約する権利がありますが、労働者は解雇されると自身や家族の生活に重大な影響を受けますので、使用者の解約権には様々な制約が課されています。 従って、リストラによる解雇は簡単にはできません。整理解雇には、以下の4要件が条件となっており、裁判等で争われた場合には、この基準に照らして判断されることになります。 1.人員削減の必要性があること 2.解雇回避努力に尽くしたこと 3.被解雇者の人選の基準と人選に合理性があること 4.組合や被解雇者と誠意をもって十分に協議したこと 裁判となった場合は、これらの4要件を総合的に勘案して判断されることになります。

公務員の依願退職は停職と同時に起こる

公務員の場合は、懲戒されて停職○○ヶ月(または○○年)の処分が下された場合、同時に依願退職するということがあります。 「停職」とは、公務員の懲戒処分の一つで、一定期間において職務に従事させないという処分になります。原則的には、「停職」期間中の賃金は支払われません。よって、減給よりも上位の処分となり、事実上の解雇に相当する「免職(退職金が支払われない)」に次ぐ重い懲戒処分です。

警察職員にとっての停職は依願退職とセット

公務員の中でも特に警察職員の場合、「停職」は事実上の退職勧告を意味するとされます。新聞報道をみてもわかると思いますが、警察職員が期間の長短を問わず、「停職」を受けた場合、ほとんどのケースにおいて辞職届けを提出して受理され「依願退職」扱いとなっています。ここで解雇との違いですが、解雇は退職金が支払われないですが、依願退職の場合は退職金が支払われます。

民間企業の場合は「停職」はほとんどない。

民間企業の場合は、一部の大企業では「停職」を導入していますが、レアケースです。企業の大部分においては、社員に不祥事が起きた際、基本的に「免職」の処分が下されます。また、「免職」まで至らないと判断される場合は、「降格」など左遷人事で対応するケースがほとんどです。短期間においては、「出勤停止」という処分もありますが、「出勤停止」は懲戒処分というよりも、処分が決定するまでの暫定措置の意味合いが大きいかもしれません。

停職中の活動の制限

警察職員にくらべて、市役所職員などの地方公務員の場合、「停職」となった職員は「停職」後に職場復帰するケースがほとんどです。その際、生活自体やプライベートな活動に特段の制限が加わることはありません。しかし、「停職」は懲戒処分のひとつなので、所属する組織によっては、「不祥事」に相当するため、ある程度の自粛が求められることは確かなようです。

依願退職には「本人からの申し出」を強調する意図がある。

依願退職という言葉は、公務員に限って使われるわけではありませんが、懲戒処分を受けた公務員の退職をメディアに公表する際に役所などが「依願退職」という言葉を意識的に使っているフシがあります。その理由は、公務員の「身分保障」と関係しているようです。 公務員は、法律で規定されており、本人の意向に反して降格させられたり、免職されたりしないと定められています。公正な職務を担保するため、公務員にとって上司となる政治家(大臣、都道府県知事、市町村長等)の勝手な思いつきで職を奪われないようにしているのです。このため、公表する際は、「本人の意思による退職である」ということを明確にする必要があり、それを強調するために依願退職という言葉を使っているのです。 この言葉の裏には、「こちらが退職を強要したのではなく、本人が申し出てきたので退職を認めました」という意味が隠されていることを覚えておくと、ニュースの見方も変わってくるかもしれません。

依願退職と依頼退職について

依願退職とは、今までみてきましたように、自らの都合で会社をやめることで、自己都合退職のうちの1つです。そのため、依願退職の場合の失業保険の受取は手続きをしてから7日+3ヶ月後以降となります。また、依願退職の場合は会社規定において退職金が支払われます。

依頼退職とは

「依頼退職」というのは会社側からの「退職勧告」を指します。例えば、病気等で業務の継続が困難と判断され会社から退職勧告をされてやめることです。この場合は、失業保険の受取は該当月からとなる可能性が大きいです。会社規定において退職金は支払われます。 また、リストラでも希望退職者に応じた場合なども「依頼退職」にあたります。この場合も失業保険受取は該当月からとなり、会社規定によっては退職金+違約金が支払われます。但し、倒産等の解雇の場合は異なる場合もあります。 似たような言葉ですが、依願退職と依頼退職では出どころが全く異なる上に、失業保険や退職金の扱いも違ってくるのです。

依願退職の意味を理解して、使い分けていきましょう。

依願退職とは、従業員が退職願を提出して、会社がそれを承諾することで成立する退職形態を差し、自己都合退職の一つとして位置づけられます。ごく普通の退職の形態で、退職金や失業保険の支給も自己都合退職として扱われます。 但し、警察官のような公務員の場合は、免職までいかない停職処分以上の処分を受けた場合にセットで扱われることがあります。そのため、依願退職のイメージはマイナスイメージを持っている方は多いのも事実です。ですので、退職の話をする際には、自分から依願退職した云々の言葉は控えた方が無難かもしれません。

退職については次の記事でより深く検討しましょう

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