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整理解雇4要件・整理解雇時の退職金の手順

更新日:2020年10月02日

退職ノウハウ

整理解雇は、経営の合理化の手段として行われる人員削減のことです。整理解雇を行うには過去の裁判で確立された要件を満たす必要があります。ここでは整理解雇に必要とされる4要件、整理解雇の手順、退職金の扱いなどを判例とともに解説します。

第19条(解雇制限) 労働者が、業務上の負傷又は疾病で休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間は、解雇できない。 第104条(監督機関に対する申告) 法律に違反する事実の申告をしたことを理由として労働者を解雇できない。

雇用機会均等法

第9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等) 女性労働者が婚姻したこと、妊娠したこと、出産したことを理由として解雇できない。 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者の解雇は無効となる。

育児介護休業法

第10条、16条(不利益取扱いの禁止) 労働者が、育児休業・介護休業の申出をしたこと又は取得したことを理由として解雇できない。

労働組合法

第7条(不当労働行為) 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことを理由として解雇できない。

整理解雇の有効性と判例

整理解雇が有効かどうかは、過去の裁判で確立された4つの要件「人員削減の必要性」「解雇回避努力」「人選の合理性」「手続きの妥当性」に照らして厳しく判断されます。近年は、4要件を個々に見るのではなく、4つの要素として総合的に解雇の有効性を判断する傾向が見られます。 整理解雇の4要件を判例と合わせて見ていきましょう。

(1)人員削減の必要性

経営状態が悪く、人員を削減する必要があったのかどうかが問われます。 人員削減をしなければ会社の存続が危うくなるという差し迫った状態まで至っていなくても、経営上の合理的な必要性といった程度でも、他の要件と合わせて総合的に解雇が有効とされる場合もあるようです。 〇粗利に占める人件費の割合が高く、近年は構造的な原因により経常的に利益を出せない状態に陥っていたとして、人員削減の必要性が認められた。(静岡フジカラー他2社事件:平成16年5月20日 静岡地裁判決) 〇緊急の必要性を満たしていない場合でも整理解雇は直ちに無効とはいえず、深刻な経営危機に直面した場合の整理解雇に比較して、解雇をやむを得ないといえるだけの事情が存在するか、他の要件はより慎重に吟味されるべきであるとされた。(ゾンネボード製薬事件:平成5年2月18日 東京地裁判決)

(2)解雇回避の努力

整理解雇をしなくて済むような努力を尽くしたかどうかが問われます。 解雇を決断する前の努力の例として次のようなことが挙げられます。 ・役員の数や報酬を削減する ・社員の新規採用を抑える ・余剰人員を他の職場に配置換えしたり出向させる ・残業を規制したり一時帰休を行う ・希望退職者を募る これらは、会社個々の実情に合わせて行うもので、すべてが必ず必要というわけではありません。 〇高額な役員報酬等のカット・削減分を原資として、退職勧奨の対象従業員を絞り込むとともに、金銭面で有利な退職条件を提示することができるよう一定の配慮を行った形跡は全くうかがわれず、解雇回避努力義務を十分に尽くしたものと評価することはできないとされた。(日本通信事件:平成24年2月29日 東京地裁判決) 〇人員整理がやむをえない事情などを説明して協力を求める努力を一切せず、希望退職者募集の措置を採ることもなく、解雇日の6日前になって突如通告し、労使間の信義則に反し、解雇権の濫用として無効とされた。(あさひ保育園事件:昭和53年7月20日 福岡地裁判決)

(3)人選の合理性

整理解雇の人選基準が合理的かつ客観的であったか、人選が公正に行われたかどうかが問われます。 人選基準としては次のようなことが挙げられます。 ・アルバイト、パート、契約社員などの非正規社員 ・賃金が高額な高年齢の社員 ・再就職がしやすい若い年齢の社員 ・遅刻、早退、欠勤が多い社員 ・余剰となっている特定部署、特定職種の社員 整理解雇は経営の立て直しを目的に行うものですから、有能な社員が対象者に含まれないように「業務遂行の上で特に必要な社員は除く」というような条件を付けることも必要でしょう。 〇一定年齢以上を被解雇者とする選定基準は、一般的には、使用者の恣意が介在する余地がない点で公平性が担保され、それなりに合理性があるとされた。 一方で、高齢になるほど業績の低下する業務とは認められないことから、幹部職員で53歳以上の者という基準は必ずしも合理的とはいえないとされた。(ヴァリグ日本支社事件:平成13年12月19日 東京地裁判決) 〇選別の基準が、業務に秀でた者、能力のある者等抽象的で評価的な要素が多く、客観的とはいい難く、解雇は権利の濫用として無効とされた。(日証第一・第二解雇事件:平成11年3月31日 大阪地裁判決)

(4)解雇手続きの妥当性

社員に対して、整理解雇の必要性や整理解雇を行う時期、規模、方法について説明を行ったり、意見交換をするなど、社員に納得してもらうための手続きを踏んでいたかどうかが問われます。 この(4)の手続きを十分に行っていないために無効とされた判例もあり、一番重要視されていると言っていい要件です。 〇資料が膨大な量で、短時間で控えを取ることは困難であるのに、コピーを取ることを認めなかったことから、誠実に説明、協議を行ったとはいえないとされた。(株式会社よしとよ事件:平成8年2月27日 京都地裁判決) 〇結果的にみて解雇は避けられないものであったにしても、説明協議義務を尽くすことなくなされたもので、無効とされた。(日証事件:平成7年7月27日 大阪地裁判決)

整理解雇の手順

整理解雇の4要件を満たしているからといっても、すぐに解雇ができるわけではありません。 整理解雇を行うには、30日以上前に解雇を予告するか、解雇予告手当の支払いが必要です。

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初回公開日:2017年04月05日

記載されている内容は2017年04月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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