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背理法の具体例|背理法の問題点・背理法と帰納法の違い

更新日:2020年08月14日

言葉・雑学・歴史

多くの読者の皆さんは「背理法」なる言葉に記憶があるはずです。そして、何方かというとほろ苦い思い出をお持ちの方のパーセンテージが高いと思われます。分かってしまえば物事は簡単に思えてきます。何故あの時、背理法であんなに苦しんだんだろうと。

背理法とは何か?

高校時代、背理法が最初分からなくて結構苦しんだものです。ここでは、これを読むと背理法の概略と本質が分かるように記述しました。ただ、スタートでどうも実感がつかめない場合は、後半に数学Aについての記述があります。その部分をお読みになってお進み下さい。

背理法の数学的背景

「背理法」という言葉は、通常は高校数学で習うぐらいなもので、一般的にはあまり馴染のない言葉だと思います。ただ、今問題となっている事柄が矛盾を含むものなのかそうでないものなのかで、そのことが誤りとして棄却されるのか受け入れられるべきものなかの判断は通常の生活や仕事の中で気付かないうちに思考として人は行なっています。その意味で、「背理法」は暗黙のうちに判断基準もしくは方法として我々の思考の中に溶け込んでいると言って過言でないでしょう。

背理法と論理学

A⇒B(AならばBと読みます)が正しいかどうかを論ずるのが論理学ですが、これを正面から取り上げますと難しくなります。特に、記号論理学は色々と記号等の約束事があります。それをクリヤーするには結構な時間を費やすと考えられます。したがって、個々では集合をベースにして背理法を解説したいと思います。

背理法を支える「集合論」

集合

範囲の確定したものの集まりを集合といいます。ここで「範囲の確定したものの集まり」の意味ですが、例で説明したほうがよりわかりやすくなると思います。 (1)集合とならない例    ① 美人の集合  ② 美男の集合 ③ いい人の集合 ④ 金持ちの集合   これらは、いづれも見る人や受けとめる人の基準によって対象が変化しますので範囲は   確定しません。つまり、①〜④は集合とは見なせないのです。 (2)集合となる例 ① 体重が60kg以上の人の集まり ② 身長が180cm以上の人の集まり ③ 資産3、000万以上の人の集まり  この場合の、①〜③は範囲が確定していますので集合です。 (1),(2)の例から、曖昧な条件設定では集合を作れないことになります。  

集合と論理  〜集合と論理の関係〜

「AならばBである」を「A⇒B」で表します。例えば、国籍を日本に持つことを前提として、「北海道人⇒日本人」で考えてみましょう。この時、集合「北海道人」は集合「日本人」の中にスポンと入っています。集合として日本人の集まりが北海道人の集まりより大きいいのは誰でもが納得です。さらに、正しいこともわかります。

つまり、「A⇒B」が正しいことはを集合で表すと、AはBに含まれてしまう事が分かります。会社を例に上げれば、**人事部は**会社に集合として含まれてしまします。だから、**人事部であるなら**会社の人は命題として正しいのです。このように、数学の論理的に正しいか正しくないかは、集合で入るか入らないかになってしまうことが解ると思います。

背理法を集合によるロジックで考えよう

対偶と背理法

(1) 対偶と対偶を用いた証明 「A ⇒ B」に対して、「Bでない ⇒ Aでない」を対偶と言います。逆に、 「Bでない ⇒ Aでない」 に対し「A ⇒ B」 も対偶となり、対偶とは一方通行ではなく双通行となっています。さらに、どちらか一方が正しいとき、残りの一方も正しくなることが分かっています。 「A ⇒ B」が正しいことの証明に「Bでない ⇒ Aでない」を利用していくのです。つまり、「Bに入らない元をもってきてそれがAに入らない」ことを示すと、対偶の性質から「A ⇒ B」が正しいことが分かります。 (2) 背理法 (1)とあまり変わりませんが、数学世界では「A ⇒ B」が正しいとき、「A ⇒ Bでない」は正しくありません。そこで、 「A ⇒ Bでない」・・・*が正しいと仮定して、*から「BでないものはAも満しています」ので、Aの性質を使いながら「Bでない」からスタートして矛盾を生じると、矛盾は*の仮定「Bでない」がマズかったのだということになり、元の命題が正しいと帰結することになります。 一般には、(2)のスタイルの問題が多いですが(1)もあります。ともに、背理法と言われる証明法になります。

具体例、例題

高校の数学も交えながら具体例を上げましょう。「正しい」という表現を「真」という表現にします。  「4の倍数 ⇒ 2の倍数」は真です。これを背理法で証明します。  「2の倍数でない」 ⇒ 「4の倍数でない」  を示すとよいのです  「2の倍数」を否定して「2の倍数でない」とします。すると、2の倍数でないのですから奇数になります。奇数は4を割りきりません。したがって、「2の倍数でないと4の倍数でない」、つまり対偶が真であることが示されましたので、元の「4の倍数 ⇒ 2の倍数」は真と分かります。

背理法とルート2の問題

<よくある問題> √2が無理数であること示せ。 <解> {準備} *1   m,nに共通な約数が1以外にない整数の関係を互いに素といいます。 *2   分数を正整数m,nでn/mで表します。 *3   分数は互いに素な整数で表すことができます。      例、2/3=4/6=6/9=8/12=・・・無数にある。2/3が代表元となります。      代表元を決めるために約分がある。 {解答} 結論を否定して、√2が無理数ではないとします。無理数でなければ最低でも分数になりますから、√2=m/n ・・・①とおけます。①の両辺にnをかけるとn√2=m・・・②となります。右辺mは整数ですので左辺も整数です。ところが、nは整数ですので、どんな整数nを持ってきてもn√2は整数になりません。②の左辺は整数ならず、右辺は整数です。それが等しいというのですから矛盾です。この矛盾は①と仮定したところにあります。つまり、√2が分数になるとした仮定に背理しています。

初回公開日:2017年03月14日

記載されている内容は2017年03月14日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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