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予実管理とは|エクセルでの予実管理方法・おすすめのシステムツール

経営

予実管理とは、予算と実績を比較してその達成率と達成の状況を逐次確認し、目標に達していない場合にはその理由を明らかにして対策を練って実行し、目標をかならず達成するための管理業務です。予実管理は、エクセルでも十分行えますが、便利なツールが多く販売されています。

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予実管理とは

予実管理とは「予算実績管理」を短くした言い方であり、「予算管理」と同義です。予算と実績を比較してその達成率と達成の状況を逐次確認し、目標に達していない場合にはその理由を明らかにし、新たに目標を達成するための対策を取り、目標をかならず達成するための管理業務です。

予実管理のやり方

予実管理は「PDCAサイクル」

予実管理は予算の実行に関する「PDCAサイクル」に他なりません。「PDCAサイクル」では、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)のプロセスを実施します。最後のactではcheckの結果から、最初のplanの内容の継続・修正・破棄のいずれかを行い、続くplanに結び付けます。このらせん状のプロセスを繰り返して、「継続的な業務改善」を推進するマネジメント手法がPDCAサイクルです。

予実管理は「PDCAサイクル」

これを予算の言葉でいうと、次のようになります。 ●予算: まず予算を立てる(plan) ●決算: 月ごとに決算をする(予算を実行し決算する:do) ●比較: 予算と実績を比較する(予実比較:check) ●行動: 対策を実行に移す(action)

予実管理のサイクル

予実管理のサイクルは、月次決算を繰り返し、四半期・半期決算をもって「比較→行動」を繰り返すことが12回もできる単年度計画で行います。背景には中長期計画があるようですが、予実管理は1年間です。

まず予算を立てる

予算は、損益計算書と貸借対照表で作ります。したがって、大きく分けると損益予算と資金・投資予算が必要得あり、その裏打ちとして、製造予算、原価予算、販売予算、経費予算が必要です。年間予算ができたら、これを月ごとに等配分するのではなく、季節変動を折り込むことは必須です。どんな事業でも季節変動はあり、これは過去の実績から計算します。

月ごとに決算をする

予実管理は月ごとに行うことが必要です。予算と実績にずれが生じた場合に軌道修正ができるからです。月ごとに予実管理をするためには、月ごとの決算も必要ですが、これは1か月の製造、販売と費用がわかれば十分です。

予算と実績を比較する

実績がまとまれば、製造予算、原価予算、販売予算、経費予算ごとに予算と実績を比較し、大きな差があれば、原因を分析します。原因が一時的なものか、長期的なものかを見極めて、必要であれば対策を考えます。

対策を実行に移す

原因がわかって対策を考えたら、これを即刻実行に移します。対策を実行に移すことまでが予実管理です。

予実管理の注意点

予実管理でハマらないように、注意すべき点を5つ挙げておきます。

予算を低めに設定しない

予実管理の結果をおそれて、達成しやすい予算目標をたててはいけません。低い予算は、成功しようが失敗しようが実現できるので、問題点の抽出ができなくなって、予実管理の意味がありません。予算目標は、安全に実現できる範囲より少し高めに設定します。

集計はすばやく行う

予実管理で最も重要なのは、「比較」の行動を迅速に行うことです。事業活動はつねにまわっているので、時間が経てば経つほど、環境も変わります。具体的には、月次決算は翌月の月初から1週間で集計し、2週目の初めには「比較」を行い、即刻「改善」を開始することが望ましいでしょう。

予算にこだわりすぎない

予算が達成できそうにないことがわかると、残りの期間で無理にでも予算を達成させようとするのが通例ですが、無理をし過ぎると、社員が疲弊する上、売上を水増しするなどの不正行為にもつながります。早めに傾向を把握し、早めに無理のない改善策を立てることが重要です。予算と実績が合わない原因には、そもそも予算が現実に見合っていなかった場合もあります。取引状況の急や、競合店の出現など、想定できないことが起きた場合には、予算の修正も必要です。

細かな数値は追わない

科目や分析指標等の細部にこだわりすぎないことも重要です。最初から、どの科目が何%差異が出たら問題点、と決めておいた方がいいでしょう。

問題点の深掘りは必要

全体を俯瞰して、一度優先度が高い問題点が見つかったら、今度は何が原因なのかを深掘りします。例えば、飲食店の売上向上を狙った場合、売上予算未達成の原因が「回転率が低いこと」であるとわかった時は、そこで終わりにせず、「なぜ回転率が悪いのか」を深掘りし、その原因が「調理時間の長さ」に問題があるのではないかという仮説を立てて、調理プロセスを改善する、というような具合です。

エクセルでの予実管理方法

予実管理は横並びでなく縦並び

ふつうの予実管理表は[予算][実績][差異]を横に並べますが、これは実に見にくいと想います。そしてエクセルの場合は、横並びでは計算式の入力も大変なので、下の例では[予算][実績][差異]を縦に並べました。この方が数字も比較しやすいと思われます。ふつうの予実管理表で[予算][実績][差異]が並びなのは、縦並びにすると行数が多くなって高さが大きすぎるからでしょうか、紙ではなくEXCEL上では「アウトライン表示」という手法が利用できます。

予実管理は横並びでなく縦並び

「アウトライン表示」とは、[データ][アウトライン][グループ化]で、複数の行や列を隠す操作です。上の例では、3か月ごとに間に挟まる四半期合計の列にグループ化して隠し、売上高、売上原価と売上総利益は商品ごとの明細を間に織り込んであります。これらを開いたのが次の画面です。

予実管理は横並びでなく縦並び
予実管理は横並びでなく縦並び

こうすることにより、必要な分だけ行や列を開いたり折り込んだりすることができすので、縦方向の長さが過大であることは気にせず作業ができます。また、左上隅に表示されている2組の[1][2]をクリックすると、行または列の同じレベルのアウトライン表示を一括して開いたり閉じたりすることができます。

予実管理を縦並びにするとグラフ化が容易

[予算][実績][差異]を横に並べた場合は時系列のグラフ作成が不可能ですが、縦に並べた場合にはグラフ作成が可能になります。次の画面では、第1四半期集計を除いて4-6月と5-7月の月名と商品Aの[予算][実績][差異]を選択して[挿入][グラフ][折れ線]を選択すると、

予実管理を縦並びにするとグラフ化が容易
予実管理を縦並びにするとグラフ化が容易

次のように折れ線グラフが挿入されます。

予実管理を縦並びにするとグラフ化が容易

このグラフのあちらこちらを調整すると、次のようなきれいな折れ線グラフが得られます。

予実管理を縦並びにするとグラフ化が容易

数式の設定

エクセルになれている方々にとっては解説不要でしょうが、一応簡単に説明しておきます。 ○[予算]と[実績]の行は、4月~3月の12ヵ月のみ(四半期合計、半期合計、年計以外)、手入力です。 ○[差異]の行には、4月~3月の12ヵ月のみ(四半期合計、半期合計、年計以外)、[実績]-[予算]の数式を入力してあります。 ○四半期合計の列には、左側3列の合計をSUM関数で入力してあります。 ○半期合計の列には四半期合計の列の合計を、年計の列には半期合計の列の合計を入力してあります。

予実管理におすすめのツール

エクセルでワークシートを駆使すれば予実管理は可能なのですが、そのためには、ある程度のエクセルの達人が必要であり、また作業ごとにグラフ作成などの都度の操作が必要です。しかしながら最近は、予実管理がよういになるような、さまざまな新しいツールが提供されています。いずれもエクセルを強烈に意識したツールばかりです。 IT製品の比較・検討サイト「ITトレンド」に掲載されている、「人気の大きさをツールの資料請求がされた数で評価して上位3位」のツールを紹介します。なお、これらでも満足できない場合は、エクセルで画面を構成し、一応機能する「プロとタイプ」を提示して開発を発注すると、数百万円レベルでカスタムソフトウエアを手にすることができると思います。これらソフトウエアは100人で毎月数十万円かかるので、自主開発した方が安価です。

商品名:Oracle PBCS

提供形態: クラウドSaaS 対象従業員規模: 100名以上 提供元: 日本オラクル株式会社 キャッチフレーズ: Excelにつぎ込んでいた労力を、クラウドで劇的に改善! 商品紹介: Oracle Planning and Budgeting Cloud Service(PBCS)は、あのHyperionのクラウド版として、予算管理(予算編成含む)のデータ入力・連携から各種計算処理、レポート・分析をトータルに実現。

商品名:BizForecast

提供形態: オンプレミス/クラウド 対象従業員規模: 全ての規模に対応 提供元: プライマル株式会社 キャッチフレーズ: Excelレイアウトのまま、大量で煩雑な予算作成の雑務を軽減! 商品紹介: 「BizForecast」(ビズフォーキャスト)は、従来の経営者層向けの予算管理のみならず、経理マンの方々が苦戦されている予算作成プロセスの課題をクリアした最新の予算編成システムです。

商品名:予実管理クラウド Adaptive Suite

提供形態: クラウドSaaS 対象従業員規模: 全ての規模に対応 提供元: Shearwater Japan株式会社 商品紹介: 予算管理業務に特化したSaaS型CPM+BIツール! あらゆるタイプのビジネスユーザにとって、パワフルかつ直感的なものとなります。 [補足] この商品は、「Adaptive Planning」に「Adaptive Reporting」「Adaptive Discovery」「Adaptive Consolidation」の3つのソフトウェアを統合したソフトウェアであり、「Adaptive Planning」は、「データの連携にはエクセルやCSVを介したデータのインポート、エクスポート機能を備えているため、既存システムとの連携が可能!」と表現されています。

用語解説

上の商品紹介で、難しい英語やカタカナがキラ星のようにちりばめられているので、ここでご説明します。

クラウドサービスとは?

クラウド(クラウド・コンピューティング)とは、インターネットなどのネットワークに接続されたサーバーに格納されたソフトウェアを、ネットワーク経由で手元のパソコンやスマートフォンで利用するサービスです。サーバーの所在地が利用者にはわからないので、「雲(クラウド)の中にある」と表現します。クラウドの形態で提供されるサービスを「クラウドサービス」と言います。 クラウドサービスの代表的な例は、「Gmail」や「Yahoo!メール」などのWebメールです。他にもMicrosoft OfficeやAdobeソフトもクラウドサービスとして提供されています。 ●利用者側のメリット: ○どこからでもデータが見られる。 ○複数の人でかんたんにデータを共有できる。 ○容量の大きなデータをクラウド上に保存できる。 ○利用者側にソフトウェア本体がないために、ハードディスクの大きな容量を消費しない。 ○パソコンが壊れてもインターネットを使ってファイルを かんたんに取りだせる。 ○ソフトウェアの修正・バージョンアップがサービスの供給側によって利用者の知らないうちに実行できるので、利用者の手間がかからない。 ●利用者側のデメリット: ○データ紛失・個人情報流出の可能性があるる。 ○ネットワークの状況によって使い勝手が変動する(ネットワークが非稼働の場合には使えない)。 ●提供者側のメリット: ○ソフトウェアの修正・バージョンアップがいつでも自由にできる。 ○利用者の端末数が正確に把握できるので、端末ごとの利用料金を正確に徴収できる。

クラウドSaaSとは

クラウドサービスは、利用形態によって「IaaS」「PaaS」「SaaS」などに分類されます。SaaSとは「Software as a Service」の頭文字を取った略語で「サース」と読みます。これは、これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして提供・利用する形態のことです。PaaSは「Platform as a Service」の頭文字を取った略語で「パース」と読みます。アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式を、インターネット上のサービスとして提供する形態のことを指します。IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語で「イァース」と読みます。情報システムの稼動に必要な仮想サーバーをはじめとした機材やネットワークなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供する形態のことを指します。

Hyperionとは

Hyperionはオラクルが2007年に買収した、業績管理ソフトウェアのトッププロバイダーです。Hyperionが提供していたソフトウェア「Hyperion Planning」は、財務計画と業務計画を、ExcelおよびWebベースで統合された計画策定、予算管理、予測管理のソフトウェアです。

オンプレミス/クラウドとは

クラウド型はインターネットを介しベンダーが提供するサービスを利用するもの、オンプレミス型は自社にシステム環境を構築して利用するものであり、どちらでも対応可ということです。

CPM+BIツールとは

BI(ビジネス・インテリジェンス)とは、経営者や社員が、売上や利益、顧客動向などを自身で分析し、意思決定に使える有用な情報を得る、ということを意味しています。「インフォメーション」と「インテリジェンス」がどう違うかというと、「インフォメーション」は単なる「情報」、「インテリジェンス」は「使える情報」を意味しています。玉石混交のインフォメーションから抽出された、意思決定に必要な正確な情報がインテリジェンスです。 ただし、その「インテリジェンス」には分析者が介在するため、これが本当に正しいのか、という問題が提起されて登場してきた新しい考え方が「CPM」(コーポレート・パフォーマンス・マネジメント)です。これはBI系のシステムを利用するだけでなく、部署や個人業績など、個別の業績を集計・集約し、ビジネス戦略・目標が達成できているかを測定・検証するという考え方です。 「CPM」(Corporate Performance Management)は、「ERP」(Enterprise Resource Planning)と対比するとわかりやすいようです。「ERP」が、財務諸表など過去データを主に取り扱うものですが、これに対して「CPMは、「予算管理(計画や予測を含む)」など、未来に関することを扱うものです。 これに関しては、調査会社ガートナーが作成した下図がわかりやすいと思います。ERPが扱うのは下図における、主に「過去」にかかわる部分であるのに対し、企業経営や意思決定にとって重要な、下図の右側、未来に関することを扱うのがCPMです。

CPM+BIツールとは

CPMのさまざまな目的(出典:ガートナー,2010)

管理業務をうまくこなして目標達成を目指そう

与実管理に関して、たくさんご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。エクセルやシステム・ツールなどとなると、難しい・頭が痛い、という人もいると思いますが、うまく与室管理をして目標達成に向かっていくためにも、さまざまな工夫をしていけるといいですね。 予実管理についてもっと詳しく知りたい方は、ビジネスや情報管理に強いWORK SUCCESSというメディアの予実管理の解説記事がおすすめです。

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