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契約書の「割印」の押し方と押す位置・必要性・基本的なルール

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契約書の契印と割印は、契約書の改ざんを防ぐためのもので、合わせて割印とも呼ばれます。契印は、ホッチキス止めの場合は頁をまたがる位置すべてに押印し、袋綴じ製本の場合には、表紙の帯部分と表紙にかけて押印します。割印は契約書の複数の正本の表紙を並べて押印します。

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契約書はどうして必要か

一般的に、契約を締結する場合には、口頭で合意した「口約束」でも有効です。しかし古今東西「悪い輩」はいるもので、いざというときになって「そんなことは知らない」といわれることがあります。それを防ぐために、必要なのが契約書です。特にビジネスにおいては、「口約束は通用しない」と考えた方が無難です。 契約書があったとしても、「契約は守れない」という人もいるので、「契約相手を慎重に選ぶ」ことがもっと重要です。契約不履行が発生した場合には、民法の定めにしたがって裁判所の裁きを受けることもできますが、弁護士さんに頼めば、「和解」という方法も考えられます。その場合でも、もっとも重要な証拠として「契約書」が必要です。これがなければ代理人を受けてくれない弁護士さんは多いことでしょう。

契約書の正本と写しとは

契約書を締結する場合、「正本2通」の作成が必須であり、これでお互い同じものを持って、それぞれ手持ちの正本を参照して、契約条項の遵守に務めることになります。この「正本」とは、「契約当事者がそれぞれ記名押印したもの」であり、これらのコピーを「写し」といいます。行政書類の場合は種類が多く、「原本」「謄本」「正本」「副本」と呼ばれるものがありますが、民間の契約書では「正本」と「写し」くらいしか登場しません。

契約書の契印と割印

ところで、契約書のどこかの少なくとも1頁には双方が記名押印しますが、契約書が2頁以上ある場合、「記名押印がない頁」を相手方に自分の都合のいいように条件を書き換えたものに差し替えられてしまうと、契約は正しく履行されません。このような場合に備えて、「契約書が複数頁にわたる場合に、差し替えを防ぐための印」が「契印」(けいいん)です。 一方契約書は、二者契約では正本を2通、三者契約では正本を3通作成してそれぞれが自分の正本を保管するのが通例ですが、これら複数の正本の間でも、「契約当事者それぞれが同時に作成した同じ書類を持っていることを証明する」ために、同一内容の書類の表紙を一部重ねて、その上からすべての書類にかかるように押印します。これが「割印」(わりいん)です。「契印」も「割印」も、必ず「契約印」を使用します。 「契印」と「割印」を合わせて「割印」と呼ぶことがあるので、本稿では両方を解説します。他に「消印」というものもあるのですが、これは「契印」や「割印」とは無関係で、最後の方で説明しておきます。

契約書の契印の方法

契約書がホッチキス止めされている場合

下図のようにすべての頁の境目をまたぐように、上下中央付近に、上から甲乙の順に並べて割印を押印します。契約書では普通、記名欄で上段の契約者を「甲」、下段の契約者を「乙」と称します。3人目の契約者がいたら「丙」、4人目の契約者は「丁」とします。

契約書がホッチキス止めされている場合

契約書が袋とじされている場合

契約書の表面または裏面のどちらか一方の、帯(下図のグレーの部分)と表紙(下図の白いの部分)の間にかかるように、上下中央付近に、上から甲乙の順に並べて押印します。

契約書が袋とじされている場合

契約書の割印の方法

正本2通の場合の割印

各契約書を、縦または横に少しずらした形で重ね合わせ、各契約書の重ね合わせた部分をまたぐように割印を押印します。下図は上端に並べて割印を押しますが、左端や右端に上下に並べて割印を押すこともあります。

正本2通の場合の割印

正本3通の場合の割印

3通の契約書を作成する場合(連帯保証人がいる場合など)には、3通を少しずつずらして重ねて、3通全部に印鑑がまたぐように割印を押します。

正本3通の場合の割印

三者契約の場合、中央に甲、その左右に乙・丙の場合もあれば、左や上から順に甲・乙・丙の場合もあります。 頁数が多い契約書の割印は、「厚さがあり過ぎて不可能」なように見えますが、その場合には、一番下の契約書以外の契約書の表紙の頁以外は左に開いておいて、表紙だけ3枚重ねて割印すればよいことです。

契印の押印は袋とじ製本の方がラク

「ホッチキス止め」でも「袋とじ製本」でも法的には差異はありませんが、ホッチキス止めの場合は隣り合う頁ごとにすべて捺印が必要であり、n頁の契約書に対してn-1回の契印が必要になるので、非常に手間がかかります。10枚の契約書には9カ所の契印が必要であり、それが正本2通の場合は18カ所の契印が必要ということです。 これが、袋とじ製本の場合は1つの契約書に対して契印は1カ所、正本2通で2カ所ですむので、袋とじ製本の方が便利です。 契約書の一部をすり替えようとすれば、袋とじにしている製本テープをはがさなければならず、そうするとどうしても契約書が破損してしまうので、すり替えなどの不正を防ぐことができるというわけです。

袋とじ製本とは

昔は、袋とじ専用の薄い紙が企業に用意されていて、それで契約書の端をくるっとくるんで、がちがちに糊付けする手法があり、当時はそれが得意な古参の事務職がいたものですが、最近は次に示す「製本テープ」という、両面テープをうまく利用した製品があるので、はるかに簡単に袋とじができるようになりました。製本といっても本を作るということではなく、ここでは「バラバラにすることができないようにまとめる」といった意味です。

袋とじ製本とは

これによって次のように製本することができます。

袋とじ製本とは

手順は次のようなもので、3ステップの操作で、誰でも簡単に袋とじすることができます。

袋とじ製本とは

製本テープは、「テープ幅」「とじ可能枚数」などに応じて、さまざまなものが用意されています。 上の説明ではわかりにくいかもしれないので、製本の仕方についてもう少し詳しく説明しておきます。

袋とじ製本とは

上の図で、①の左端を契約書の左端に合わせて貼り付け、①と②の間で折って②を①に貼り付け、③を折り曲げる前に、②の上下のはみ出た部分を裏面に折り返して貼り付け、それの上で、②の折り返した部分の上に③を折り曲げて覆い隠す、ということです。 内側でホッチキス止めして外側のテープで貼り、さらに上下もテープでくるんでいるので、テープを切らなければ中の頁の差し替えができないことになります。

消印とは

領収のみならず、金額が記載された契約書には、記載された金額に応じて、印紙を貼らなければなりません。そして、貼り付けた印紙については、再使用出来ないようにするため、印紙と契約書の書面にかかるように押印する必要があります。これが「消印」です。

契印や割印に使う契約印はどんな印か

ついでに契約印などについて説明しておきましょう。これは、「双方が同意した種類の印鑑」を使用します。会社の場合には本来は代表印なのですが、社長印を毎回使うわけにはいかないので、会計責任者の印などで代用して済ませます。個人の場合は本来は印鑑登録した「実印」を使うこともありますが、三文判でも契約書は有効です。しかし三文判ばかりを使っていると、相手方に三文判で作成された契約書を突きつけられて、「印鑑が違う」といっても対抗しきれないことがあります。

署名捺印と記名押印

契約書を作成する場合、契約当事者が自分の名前を記す方法として、本人が自筆で氏名を手書きする「署名」と、他人によるか、ゴム印・ワープロ使った場合の「記名」とがあります。筆跡鑑定を行えば、署名した本人が契約した証拠になるので、その証拠能力はきわめて高いのですが、商法では「この法律の規定により署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。」と規定されています。 つまり、「署名」=「記名+押印」であり、契約においては押印は不要で、署名があれば契約は有効なのですが、一般的に署名にも捺印するのが通例です。 捺印と押印の違いはありませんが、署名には捺印を組み合わせて「署名捺印」、記名には押印を組み合わせて「記名押印」とするのが一般的です。

契約書の割印の押し方をしっかり覚えましょう

契約書は正式な文章なので正式な書き方をしなくてはいけません。そこで間違えやすい割印の押し方をしっかり押さえておきましょう。

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