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役職定年制度とは?役職定年の年齢と給料・メリットとデメリット

制度

ある程度大きな企業に勤めていると、嫌でも迫ってくるのが「役職定年」。多くの企業では55歳くらいで役職定年を迎え、年収が下がるようです。退職後に安定した生活送るためにも、役職定年制度について今一度ここで確認しておきましょう。

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役職定年制度とは

役職定年制とは、役職者が一定年齢に達したら管理職のポストをはずれ、専門職などに異動する制度のことです。人事の新陳代謝を促し、組織の活性化や若手の育成、社員のモチベーションの向上を図ると同時に、年功序列制度による人件費コストの増加を抑えるというねらいもあります。 人事院によると、大手企業では1980年代以前から導入していたところもありますが、大方の企業では、1980年代から行われた55歳定年制から60歳定年制への移行のときに、主に組織の新陳代謝・活性化の維持、人件費の増加の抑制などのねらいで導入されたケースと、1990年代以降に職員構成の高齢化に伴うポスト不足の解消などのねらいから導入されたケースが多いと考えられています。

役職定年制度の導入率

役職定年制は、企業規模が大きいほど導入している企業の比率が高く、500人以上の企業では、全体の4割弱の企業が導入しています(調査規模は下記を参照)。一方で、役職定年制の実施企業は、近年減少傾向にあり、1000人以上の企業では、平成11年から平成19年までの間に10%ポイント以上減少しています。 役職定年制を導入している企業割合は23.8%で、これを企業規模別にみると、500人以上では36.6%、100~499人では25.5%、50~99人では17.1%となっており、これもまた企業規模が大きいほど導入比率が高くなっています。 役職定年制がある企業のうち、部長級を役職定年の対象としている企業は83.7%、課長級を役職定年の対象としている企業は88.3%となっています。また、部長級と課長級の双方を対象とする企業は81.3%にのぼる一方で、部長級、課長級のみを対象とする企業はそれぞれ2.4%、6.9%と比較的少ないです。 【平成19年民間企業の勤務条件制度等調査】 調査方法:実地調査(800社)及び通信調査(5546社) 調査対象:平成19年10月1日現在における全国の常勤従業員50人以上の企業 調査客体:調査対象38,740社のうち、産業及び企業規模によって層化した上で無作為に 抽出した6,346社 集計企業:3,633社(結果の数値を母集団に復元し、集計)

役職定年の年齢

具体的には、「60歳」と規定されていることの多い「定年」の数年前、つまり「55歳前後」に役職定年は行われます。 役職定年年齢については、部長級の役職定年年齢は「55歳」とする企業の割合が最も高く38.3%、「57歳」とする企業の割合が次いで高く24.8%となっています。また、課長級の役職定年年齢は「55歳」とする企業の割合が最も高く45.3%、「57歳」とする企業の割合は16.1%となっています。

なぜ役職定年制度があるのか

企業・組織の新陳代謝のため

まず役職定年はオートマチックに運用できる制度なので、ポストが限られている中での世代交代の仕組みとしては使いやすいというのが最も大きな理由です。役職者がいつまでもいると必然的に新陳代謝が図れない、だからといって、能力等の判断で役職者を解任することはしづらい。プライドを傷つけ、その後の仕事のモチベーションも維持できないことも考えられる。よって、年齢という極めて分かりやすい基準で新陳代謝を図ることが好ましいと考える傾向があるようです。 また、いくつになっても上がいて、地位もそのままでは若手や中堅がやりづらい。世代交代を仕組みとして導入できなければ、企業は長期間継続できないという考え方もあります。

人件費の抑制

人事的には、人件費の抑制効果も見逃せません。総賃金の抑制や組織の硬直化を回避する目的で考えると、役職定年制度は必要な制度で、会社の予算上、年齢によって区別するということは比較的手を付けやすい経費削減策なのです。

年功序列の修正

また役職定年には、年功序列の弊害を正す効果もあります。新卒一括採用や年功序列、終身雇用の日本型雇用がまだ多い企業にとって、人材の流動化や労働市場の活性化と社内人事評価制度のバージョンアップということが定期的に必要です。

役職定年後の仕事内容

部長級の役職定年後の仕事内容は「概ね同格の専門職」とする企業の割合は57.9%と過半数を占めており、役職定年前に比べ格下となるケースは37.5%(「概ね格下の専門職」とする企業の割合が29.3%、「概ね格下のライン職」とする企業の割合が8.2%)にとどまっています。 また、課長級の役職定年後の仕事内容についても「概ね同格の専門職」とする企業の割合が52.4%にのぼる一方で、役職定年前に比べ格下となるケースも43.2%(「概ね格下の専門職」とする企業の割合が32.4%、「概ね格下のライン職」とする企業の割合が10.8%)あり、部長級の場合に比べ格下となるケースが多いようです。

役職定年の事例

個人に応じた処遇を行い、モチベーションを高める

50代後半で役職定年を迎えると、能力や経験はもちろん、意欲についても必然的に個人差が大きくなります。既に定年を意識して「余生」的な気持ちになる人もいれば、マネジメントとは異なる役割で「もう一旗あげたい」と意欲を高める人もいます。そのため、役職定年では、一律ではなく個人に応じた対応を取ることが必要です。 ある会社では、役職定年前と同じ枠組みで処遇しますが、役職定年前以上に昇級、降級も含めてメリハリをつけた評価が可能な制度を構築しています。役職定年直後は、外れた役職に応じて降級になるのが基本です。ですが、その後のプレーヤーとしての専門性の発揮度合いと成果に応じて、役職定年前より高い給与で処遇される可能性があります。このような制度を構築した場合、現場単位で運用にバラツキが出ること、評価が甘くなること等が懸念されますが、運用を経営トップが主管する会議体が担うことでそれを防ぐこともできます。

市場価値を意識した能力開発を促す

役職定年は、その時だけの問題ではありません。役職定年後を見据えてどのような能力開発を進めるのかを含めた長期のキャリアプランと密接に関連しています。日本企業の多くは、若手に対しては積極的に教育投資を行うのに対して、管理職以上には教育投資を控える傾向があります。また、当人も、管理職は十分な成長を終えた到達点、という考え方になっている場合が多いです。しかし、管理職こそ経営人材として、もしくはいずれは専門職に戻ることを意識した能力開発が必要と言えます。 ある会社では、管理職登用の時点からサポートが始まります。その中のひとつに、会社が社外からの求人を取りまとめて管理職以上に公開するという施策があります。管理職は、その案件と照らし合わせて、自分が社外に出たときどのような仕事があるのか、どれくらいの給与水準になるのかを意識し、それを踏まえた能力開発を行うことを促しています。これは早期退職の仕組みとは大きく異なり、給与水準は概ね市場より高く、家庭の事情等で仕事のスタイルを変えたい人などを除くと、その仕組みを使って転職する人は少ない。その仕組みを通じて、管理職になっても市場価値を意識して能力開発を続ける必要性を伝えることが目的です。

給料

役職定年となった場合の給与ですが、役職にあった時の水準が維持されるのは、15.8%に留まっています。役職定年によって給与が下がることは覚悟しておきましょう。そして、老後の生活設計を考える際には、役職定年による減収を考慮しておきましょう。そうしなければ、定年直前で貯金ができなくなり、老後の資金繰りに支障をきたします。 平成19年賃金事情等総合調査(確報)によると、役職定年した後と前の年収が同じという企業は、全体のわずか8.8%でした。年収水準が下がると回答した企業は82.5%で、多くの企業では役職定年前の7割~8割になるようです。

役職定年になった人にとってのメリット

ここまで、役職定年制度は企業にとってのメリットが大きいという説明をしてきました。ですが、役職定年は会社や次世代だけのためにあるのではなく、役職定年を迎える人のためにもなるのです。 例えば、役職に就いている人が次世代を育成するための期限を持つことで、現役職者も次の役職者も意識(覚悟)を持つことができます。また、定年後の生活を考えたり、脱サラのきっかけとしたりすることができるかもしれません。 一生懸命働いてきた分、役職定年を機に自分のやりたいことをもう一度考えてみるのも、今後の人生を豊かにする方法かもしれませんね。

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知りたい情報がわかりやすく掲載されていれ、不安や疑問を解消しましょう。なぜか暗いイメージのある「定年」という響きですが、決してそんなことはないと気づかされる1冊です。

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