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更新日:2024年10月20日
国民的作家である宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は、誰もが一度は聞いたことがある詩ですが、その背景には賢治の考え方や生き方があります。この記事では「雨ニモマケズ」にまつわる謎や論争について触れました。また賢治の他の代表作も紹介しています。
「雨ニモマケズ」は、戦前から戦中にかけて高い評価を得ました。これは賢治の研究・紹介を行った哲学者、谷川哲三によるところが大きいと思われます。谷川はこの詩のテーマを高く評価して、賢治の「偉人」としてのイメージを作りました。 それに対して戦後、詩人の中村稔は「雨ニモマケズ」を、「ふと書き落とした過失のように思われる」と評します。 この谷川・中村の論争が「雨ニモマケズ論争」と呼ばれました。この「論争」は現在では意義を持つものとは考えられていません。
この疑問は「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」とされている箇所についてです。 実は手帳の原文では、「ヒデリ」ではなく「ヒドリ」と書かれています。これについて、賢治の弟清六や多くの編集者が、これは賢治の誤記であり「ヒデリ」が正しいものであると考えてきました。 しかし、1980年代に賢治の教え子の一人が「『ヒドリ』は日雇い仕事の『日取り』を意味するもので、日雇い仕事をしなければならないほど大変な農家の厳しい生活を描いている」という解釈を示しました。 現在では「ヒデリ」が正しいという共通認識ができています。
この疑問は「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」という部分についてです。 現代の私たちから見ると、一日に「玄米四合」を食べるのは多すぎると思われます。しかし、戦前の日本人は少しの副食で大量の米を食べる習慣がありました。 一例を挙げると、当時の日本陸軍では一回の食事の主食として麦飯が2合出たそうです。 この詩が書かれた当時のことを考えると、四合は小食の比喩としての意味を持っているといえるでしょう。
これは、「東ニ病気ノコドモアレバ/行ッテ看病シテヤリ/西ニツカレタ母アレバ/行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ」という部分と、「ミンナニデクノボートヨバレ/ホメラレモセズ/クニモサレズ」という部分に関係しています。 上記の部分は、自分の労を惜しまずに人の手助けをし、その見返りや評価は求めないという姿勢を意味しています。これは法華経の精神にもとづいていると言われています。
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