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古典的条件付けの日常例や具体例|心理学的な古典的条件付け

言葉・雑学・歴史

エサを口にする前によだれを垂らすパブロフのイヌ、カフェインを摂り続けることで耐性がつくわたしたち…これらは「古典的条件付け」という要素がかかわってなされています。難しいように聞こえる「古典的条件付け」は日常でも教育の場面でもよく目にしているものなのです。

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心理学における「古典的条件付け」の立ち位置

心理学で大切な3つの枠組みのひとつの要素に「古典的条件付け」がある

心理学を構成する大きな枠組みとして、以下の3つがあります。 「生物学的」…行動と心のメカニズムの基礎にあたる神経生物学に関する研究する 「認知的」…記憶・意思決定などに至るまでの心の変化の過程を研究する 「行動主義的」…外からの刺激による反応・行動を科学的に分析する

このうちの行動主義的枠組みが古典的条件付けのキーとなる

このうち行動主義的枠組みについて、アメリカの心理学者ジョン・ワトソン(John Watson)が重要な提唱者として知られています。彼は、心理学は意識よりも行動の面で研究するべきだと主張しました。この主張は、ロシアの心理学者イワン・パブロフ(Ivan Pavlov)による動物研究(以下で紹介)によって、より強い確信を持たせることとなったのです。

パブロフによる古典的条件付けの実験

パブロフの条件付けといえばピンとくるかも

「パブロフのイヌ」という言葉は有名ですよね。大体の人が思い浮かべるのが、エサが出ていないのに唾液を垂らすイヌの姿…かと思いますが、正解です。ただ、これが何の実験で、どういう結果が引き出されたのかまでを知っている人は少ないかもしれません。 もともとイワン・パブロフはイヌの、エサに対する反応として唾液分泌を測定していました。口の中にエサが入っている時、もちろん唾液は分泌されます。しかし、ある時イヌが口の中にエサを入れる前、つまりエサを入れる皿が置かれただけで、唾液が分泌されている様子を認めました。そこでエサに関連した刺激をイヌが理解し、反応するのかどうかを調べることにしたのです。

パブロフの実験は「古典的条件付け」を理解するための手助けとなった

パブロフの実験では、イヌの前にエサが自動的に出るエサ皿を置き、どういった場合に唾液が出るのか、またその分泌量を測定します。 まずは、エサを食べた際に唾液は分泌されます。これは基本的な反応であり、無条件反応と呼びます(※この場合のエサを無条件刺激という)。 ≪エサ(無条件刺激)⇒唾液分泌(無条件反応)≫ 次に、イヌの目の前にあるライトを点灯させます。しかしこれは、本来エサとは全く関係のない刺激ですよね(※中性刺激という)。 ≪ライトがつく(中性刺激)⇒特に唾液に関する反応なし≫ この無条件刺激と中性刺激を組み合わせてイヌに提示します。 ライトがつく⇒エサが出る⇒ライトが消える ≪=ライトがつく(中性刺激)⇒エサが出る(無条件刺激)⇒唾液分泌(無条件反応)≫ これを条件付け期と呼び、何度も繰り返していくうちにイヌはエサが出なくとも、ライトが付くだけでエサが出ると学習し、唾液を分泌させるようになります。 ≪ライトがつく(中性刺激)⇒唾液分泌(無条件反応)≫

古典的条件付けの定義

上記の実験結果から、イヌは2つの全く無関係な刺激が関連していると学習したことになります。 すると、≪ライトがつく(中性刺激)⇒エサが出る(無条件刺激)⇒唾液分泌(無条件反応)≫を繰り返すことで、ライトは条件刺激となり、唾液分泌も無条件反応ではなくなります。 そこで、≪ライトがつく(条件刺激)⇒唾液分泌(条件反応)≫となります。 つまり、中性刺激を別の刺激とセットで繰り返し提示されるようになると、これらふたつ刺激を関連付けし、反応・学習するようになるというのが古典的条件付けの定義なのです。

古典的条件付けなどを踏まえ、初期の行動主義者が出した考え

初期の行動主義者は、「すべての学習過程」の基本に古典的条件付けや、道具的条件付けといった要素が含まれており、それらの条件付けが連鎖していくことで、複雑な学習も獲得できるようになると考えたのです。 ただし、刺激を受けて反応する間の心の変化を考えていない科学至上主義的な一面もありました。現在は他の認知的・生物学的考えも考慮されるようになり、学習に対する認識も変わりつつあります。しかし、こういった行動主義的考えは、人間の行動と研究における基本理論を築きあげました。

古典的条件付けの日常例や具体例

パブロフの条件付けでわかったことは、古典的条件付けで起きる反応は動物や人間にとっての自然な行動となる(唾液分泌反応など)。 つまり、私たちが当たり前のように感じている反応…膝蓋腱反射や、まばたきもこういった古典的条件付けの結果であると、行動主義者たちは考えたのです。

古典的条件付けとカフェイン耐性

古典的条件付けは、人間の自然な行動以外にも、耐性に関する証明を行いました。 カフェインはよく知られているように、コーヒーや紅茶などに含まれているものです。これらを習慣的によく飲んでいる人は、回数を重ねるごとにカフェインの耐性が発達していきます。カフェインは血圧を上昇させますが、耐性がつくことで、血圧の上昇は見られなくなるのです。確かに、耐性がつかなかったら私たちの血圧はカフェインを摂取するたびに100も200も上昇していきます。 それでは、わたしたちの身体はどうやってこの血圧の上昇を抑えているのか。それは、コーヒーの香りなどが引き金となって身体が反応するからです。 コーヒーの香りとカフェインによる血圧上昇効果は全く関連がありませんが、これはライトの点灯とエサの関係と同じ。パプロフのイヌと同様に、身体が自然と条件付けされており、結果的に条件反応を示すのです。

教育における古典的条件付け

古典的条件付けを教育に用いる場合は、子どもにもたらす刺激とその関連性の内容をよく吟味してあげましょう。条件付けは、結果を知りえるためのヒントを学習させるものであると覚えておくと良いかもしれません。

古典的条件付けと情動反応

古典的条件付けは、感情でも条件付けさせることができます。たとえば嬉しいとか、悲しい、怖いなどといったさまざまな感情です。 一番簡単なイメージだと、子どもが自分からお片付けをする⇒褒めてあげると、子どもがまた褒めてもらえると感じて率先してお片付けをするようになる。これは良い方法でしょう。 子どもが自発的にテストを頑張った⇒ご褒美にケーキを与えるというのも、子どもが喜んで次もやろうと思えるのであれば、有効です。 しかし逆に先にケーキを子供に与える⇒ケーキを食べたのだから頑張ろうと言って、子どもが苦手でやりたがらない教科の勉強をさせると、そのうち子どもがケーキを見ただけで嫌がることがあります。嫌がることと、褒美を条件付けさせる方法はおすすめしません。

恐怖と不安障害

ラットを用いた実験で、ブザー音が鳴るとラットに電撃が与えられる場合、そのうちラットは音が鳴るだけで固まったり、恐怖反応があらわれるようになるそうです。 これは人間も同じで、雷が鳴ったら怯えるトラウマであるとか、人混みに行ったら足がすくんで動けなくなるといったような恐怖に関する条件付けが見られることがしばしばあります。他にも、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、パニック障害などの不安障害にもこの古典的条件付けが関わっていると考えられるようになってきました。こういった症状には認知行動療法を用いられていますが、身体に深く刻まれてしまった条件付けを綺麗さっぱり忘れるということはなかなか厳しいです。

教育に「恐怖」を持ち込まない

そのため、子どもへの教育に恐怖を持ち込むのは絶対にしてはいけません。嘘をついたから叩くとか、部屋を汚したから怒鳴るなど…そういった条件付けをされてしまった子どもは成人してからもその恐怖に支配され、普通に日常生活を送ることを妨げられてしまいます。 また、子どもがその条件を理解できずに、間違って解釈をしてしまい、何か一言でも喋れば叩かれる、部屋にいるだけで怒鳴られてしまうといった認識になってしまうことも。子どもはまだわからないことだらけ。 「なぜ怒っているのか」「どうしてしてはいけないのか」が理解できていないようであれば、感情的にならずに一から教えてあげることも必要です。

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