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個人事業主における青色申告のメリットとデメリット・必要書類

確定申告

個人事業主が選ぶべきは白色申告、それとも青色申告なのでしょうか。青色申告をしたらどのくらいのメリットがあるのか、またどんなデメリットがあるのか。青色申告に関する疑問点を詳しく説明します。また、申告をする際に必須の青色申告ソフトもあわせて紹介していきます。

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個人事業主における青色申告

青色申告という言葉、個人事業主なら誰しも耳にしたことがあるのではないでしょうか。また、個人事業主なら青色申告のほうが白色申告よりもお得らしい、ということもよく言われます。ふたつの違いを詳しく説明していきます。

個人事業主が確定申告をするには

さて、個人事業主が確定申告をするときに、選べる種類がいくつあるかご存知でしょうか。正解は、白色申告、青色申告10万円控除、青色申告65万円控除の3種類です。これらの一番大きな違いは、同じ所得でも払う税金の金額が違ってくるということです。 一番多く税金を払うことになるのが白色申告、次に青色申告10万円控除、一番払う税金が少なくてすむのが青色申告65万円控除です。

個人事業主の青色申告に対する誤解

個人事業主と一口に言っても、さまざまな規模があります。自宅の一室で文章を書いて一人で仕事するライターも個人事業主ですし、専門の機械を使用し複数従業員を雇って行う工場の社長も個人事業主です。 もし、自分ひとりだけだから青色申告をするほどじゃないだろう、と思っているとしたら、それは違います。青色申告特別控除は、事業の規模に関係なく利用できるので、個人事業主が納める税金を減らすことができるのです。 また、仕事が忙しくて青色申告は大変そうだから簡単な白色申告のほうがいい、と思っているとしたら、それも誤解です。現在は白色申告でも記帳と帳簿書類の保存が義務化されているため、かかる手間はさほど変わりません。個人事業主が申告をするにはどのみち帳簿をつけなければならないのですから、青色申告を選んだほうがメリットが大きいと言えます。

個人事業主における青色申告に必要な書類

個人事業主として申告するなら、青色申告65万円控除がお得らしいことはわかったけれど、いざ自分でやるとなると、気になるのはやはり「具体的にどんな作業をしなきゃいけないのか?」ということだと思います。 実は、青色申告は思っているほど難しいものではありませんし、特別な資格がなければできないものでもありません。まずは、個人事業主の青色申告に必要な書類はどのくらいあるのか?を見ていきましょう。

所得税青色申告決算書

青色申告決算書は、損益計算書・貸借対照表などの4枚の書類からなっています。自力でイチから作成するとしたら簿記の知識がないと大変ですが、会計ソフトを使用すれば簡単に作成することができます。

確定申告書B

確定申告書Bは、「第一表」と「第二表」の2枚があります。どちらも、先に作成した決算書などから転記していけば作成できます。国税局の「確定申告書等作成コーナー」を利用すればプリントアウトしたものをそのまま提出できますし、もちろん手書きでもかまいません。

添付書類

確定申告書Bの第一表の中に、「税金の計算」欄があります。ここで受けたい税額控除がある場合は記入をするのですが、その際に添付書類が必要なことがあります。(特定増改築等)住宅借入金等特別控除、政党等寄附金等特別控除、などです。個人事業主が受ける税額控除によって必要書類が異なるので、詳しくは国税庁のホームページを参照してください。

個人事業主における青色申告のメリット

個人事業主が確定申告するときには、青色申告と白色申告、好きなほうを選んで申告することができます。どちらが楽かと言えば白色申告のほうですが、それでも青色申告を選ぶのは「それだけのメリットがあるから」です。手間暇以上のメリットがなければ、青色申告する意味がなくなってしまいますから。 前項にも記してあるように、一言でいえば青色申告の主なメリットは「納める税金が安くなる」ということですが、他にも白色申告にはないメリットがたくさんあります。項目別にみていきましょう。

65万円の青色申告特別控除

これは、個人事業主が簿記のルールどおりに帳簿つけを行って決算書を作成すれば、65万円を所得から差し引けるというものです。税金というのは所得額にかかってくるので、申告する所得額が低くなればおのずと納める税金も少なくなってきます。 他にも個人事業主の主な所得控除には、医療費控除、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除など何種類かありますが、帳簿をつけるだけでこれだけの金額を控除できるというのは、とても大きなメリットです。

経費よりもお手軽な特別控除

「65万円の控除を受けなくても、個人事業主なら経費をどんどん使って増やせば白色申告でもいいのでは?」と思われる方もいるでしょう。しかし、白色申告では認められる経費の範囲が狭いです。それに、果たしてイチ個人事業主が、年間に65万円分もの経費をあげることができるでしょうか。領収書を整理する手間もかなりのものでしょう。 それに比べれば、会計ソフトを使って帳簿をつけ、一気に65万円分の控除を受けたほうがよっぽど楽です。結果としてお金と時間の節約になります。

赤字が3年繰り越せる

個人事業主として開業したものの、まだ仕事が軌道にのらなくて赤字を出してしまった。ここ数年黒字だったのに、今年は赤字になってしまった。個人事業主に限ったことではありませんが、事業はいつどんなアップダウンがあるかわかりません。 赤字なら手間暇かけて申告するだけ無駄なのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。青色申告をしていれば、その赤字を翌年から3年間、所得から差し引くことができるのです。結果、所得額を低くすることができるので節税につながります。

減価償却の特例を受けられる

ふつう、個人事業主が仕事で使うものを購入した時には、その金額を経費として落とすことができます。しかし10万円以上の高額なもの(たとえば机、OAチェア、パソコン、専用の機械など)は「固定資産」となり、数年間に分割して経費とする「減価償却」というかたちをとることになります。 例えば、24万円のパソコンを購入したとします。24万円分現金が出て行ったのに、今年の申告では耐用年数に応じた経費額しか計上できないのです(パソコンは4年なので4分の1の6万円)。個人事業主としてこれは痛い出費です。しかし青色申告の場合は、30万円までの固定資産は全額を一括で計上することができます。

個人事業主における青色申告のデメリット

青色申告にも、残念ながらデメリットはあります。とは言え、事前に知っておけば回避できないものではありません。注意しなければならないのはどんな点か、個人事業主としてどんな影響を受けるのか、詳しく説明していきます。

事前に税務署へ申請書を提出

白色申告をする個人事業主が特になにも申請しなくてもいいのに対し、青色申告をする個人事業主は、前もって届け出をする必要があります。「所得税の青色申告承認申請書」といわれるもので、自分が確定申告をして税金を納める税務署に提出します。新規に事業を始める方は、個人事業の開(廃)業届出書もあわせて提出が必要です。

必要書類が多い

白色申告をする個人事業主が、現金出納帳に経費欄を加えた帳簿を提出すればいいのに対し、青色申告をする個人事業主は、帳簿も現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・給与台帳と7種類あり、さらにこれらを使って決算書類を作成しなければなりません。

書類の不備があれば許可が取り消されることも

青色申告には数々のメリットがある分、個人事業主として正しい申告をしないとペナルティを受けることになります。帳簿をきちんとつけていない。経費を水増ししている。売り上げをごまかしている。期限までに申告していない。このような場合、青色申告の権利を取り消されてしまいかねません。 もし取り消されてしまうと、その個人事業主は白色申告しか選べなくなるだけでなく、最高過去5年までさかのぼって青色申告が取り消されてしまうこともあります。そうなった場合、さまざまな控除がなくなり、追徴課税、延滞税と払わなければいけない税金がふくらんで、とんでもない額になってしまいます。

確定申告の時期

確定申告の提出期間は、例年2月16日から3月15日までです。ただし、最終日の3月15日が土曜日、日曜日、国民の祝日にあたる場合は、その翌日が期限となります。 例えば3月15日が土曜日だった場合、翌16日は日曜日なのでさらに翌日の17日、月曜が期限となります。

個人事業主の青色申告に必要な書類

青色申告をするのに必要な書類は、主に3種類に分けられます。それぞれ項目ごとに詳しく見ていきましょう。

青色申告決算書

「青色申告決算書」は、1枚目の損益計算書、2枚目・3枚目の損益計算書の内訳、4枚目の貸借対照表、の計4枚から構成されています。 損益計算書は、一年間の間にどれだけの売り上げがあったか、費用がいくらかかって儲けがどれくらい出たか、などを表しています。損益計算書の内訳には、その内容についての詳細が記載され、貸借対照表には現金や資産がどのくらいあるか、借入金はどれだけ残っているかなどが記され、事業の財政状況を表しています。

確定申告書

確定申告書には、所得や目的によって「申告書A」「申告書B」「第三表」の3種類がありますが、個人事業主や不動産所得がある方は「申告書B」で確定申告をします。 申告書Bは第一表と第二表の2枚で構成されています。第一表は6つのカテゴリーに分けられており、1から6までを順番に記入して計算していきます。第二表は所得の内訳や所得控除、事業専従者に関する事柄など、第一表の詳細を記入します。 なお、所得金額が赤字になり、この赤字を将来に繰り越したい場合は申告書Bと共に「申告書第四表(損失申告用)」を提出する必要があります。

控除関係書類

個人事業主が申告をするとき、受けたい控除によっては、提出しなければならない書類があります。たとえば医療費控除なら「医療費の明細書」、住宅ローン控除なら「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の計算明細書」などです。また、個人事業主としての収入とは別に、会社から収入を得ている場合は源泉徴収票が必要です。 控除に関する提出書類は、国税庁のホームページのタックスアンサーに詳しく記載されています。わからないときは調べてみるといいでしょう。

確定申告の帳簿付けにおすすめの会計ソフト

簿記の専門の知識がなければハードルの高かった青色申告も、会計ソフトの登場によって劇的にやりやすくなりました。これは個人事業主にとって大きなメリットです。 ひとつの帳簿に入力していけば、その数値が連動している全ての帳簿に転記されるため、複雑な計算をすることもなく、記入ミスをすることもありません。また、どうしてもわからない点がある場合は電話やメール、チャットなどでサポートを受けることができます。(プランやメーカーによってサポートの内容は異なります。) 会計ソフトには、大きく分けてクラウド型とインストール型があります。ここ最近の青色申告のソフトはクラウド型の会計ソフトが主流になってきています。法人での導入も進んできており、業界標準となるのも遠い将来ではないでしょう。 たいていのソフトは無料体験版で試すことができるので、まずは実際に試して、自分の使いやすいソフトを見つけてみてください。

クラウド型の会計ソフト

クラウド型のソフトは、個人事業主がログインしてオンライン上で使用するもので、ネット環境さえあれば、いつでもどこでも利用することができます。今後パソコンを買い替えた時に、再インストールやデータの移行をしなくていいですし、常に最新のバージョンのソフトを使えるというのも大きな魅力です。 ソフトによっては、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットと連携して使用できるものもあります。費用はランクや付帯するオプションによって異なっており、月額、または年額制となります。 ランニングコストがかかる点は個人事業主にとってはネックなのですが、それでも利用者が増え続けているというのは、それ以上の価値を見出す人が多いということでしょう。

インストール型の会計ソフト

一方のインストール型は、個人事業主がソフトを専用ディスクでパソコンにインストールするか、メーカーのサイトからダウンロードすることによって使用します。セキュリティ面での信頼性が高く、ネット環境がなくても利用することができます。費用はソフトの購入代金となり、インストールしたパソコンのみで使用できます。 ソフトを一度購入すればずっと使うことができるので、長く使うほどコストは低く抑えることができます。ただし、パソコンを買い替えたりしたときは再インストールやデータの引継ぎが必要です。

MFクラウド確定申告

MFクラウド確定申告は、クラウド型の会計ソフトです。個人事業主に定評のがあり、業界トップクラスの自動取り込み機能を誇っています。それは、家計簿アプリ「マネーフォワード」を提供している会社が作ったソフトで、家計簿アプリで培った取り込み機能をMFクラウド確定申告に反映しているからこそでしょう。 このソフトで、日々の帳簿つけから申告の際の書類作成までを行うことができ、銀行口座やクレジットカード情報を登録すれば、金融機関の取引データを自動取得することもできます。電話、メールだけでなくチャットでもサポートを受けられます。どのOSでも利用することができ、Windows・Macどちらにも対応しています。

freee

freee(フリー)もネットを通じて利用することができる、個人事業主の方に人気のあるクラウド型会計ソフトです。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレット端末からログインして操作できる点が評価されているのでしょう。Windows・Macどちらにも対応しています。 また、勘定科目の登録に関してはポップアップで簡単な説明が出てくるので、簿記の知識がない人でもスムーズに仕分けを行なうことができます。freeeはメールとチャットのみのサポートを提供しており、電話でのサポートはありません。 また、スマートフォンの専用アプリで帳簿の入力・閲覧ができ、なんと確定申告の書類作成まですることができます。この機能が使えるのは現在freeeだけなので、「スマホだけで確定申告したい」という方には特におすすめです。

やるぞ青色申告

やるぞ青色申告はインストール型の会計ソフトで、発売から18年のロングセラーを達成している老舗サービスです。Windows、Macどちらにも対応しています。操作画面が申告書類の縮小イメージなのでわかりやすく、機能はシンプルに作られています。 また、フルサポート付きのパックを購入すれば電話やメール、リモートによるサポートが受けられます。サポートは必要ない方はサポートなしのパックを選ぶことができます。ちなみに導入から15ヵ月間は無償でサポートが受けられるというのは、青色申告書初心者の個人事業主にとっては魅力です。無料体験版もあります。

やよいの青色申告

やよいの青色申告は、類似のソフトの中でも抜群の知名度を誇る青色申告ソフトです。以前はインストール型のみでしたが、現在はクラウド型とインストール型の両方を提供しています。 クラウド型はWindows・Macどちらにも対応しており、ほぼ全ての国内金融機関から利用明細を取り込むことができ、それらを勘定科目に自動で変換してくれます。インストール型はWindowsのみに対応しており、自動取り込み・自動仕分けの機能はありません。 やよいの青色申告で特筆すべき点は、サポートの手厚さです。セルフプランにはサポートはついていませんが、ベーシックプランでは電話、メール、チャットによるサポートが受けられます。個人事業主の方が、ソフトの使い方だけでなく会計に関するどんな相談でもできるサポート体制が整っているというのが、やよいの青色申告の強みです。

個人事業主こそ青色申告を

個人事業主の方が、青色申告をすることで得られるメリットがとても大きいこと、青色申告はさほど難しいものではないことがお分かりいただけたでしょうか。 さまざまな会計ソフトのおかげで、簿記をまったく勉強したことがない方でも、ルールに従って入力していけば青色申告ができる環境が整っています。ソフトも何度かさわってみれば拍子抜けするほど簡単に操作できますし、面倒と思われた青色申告も一度経験してみたら何てことないな、と思われるでしょう。 むしろ個人事業主の方こそ、青色申告をして節税し、事業を進めていく際にさまざまなメリットを最大限利用すべきです。ぜひ、今から青色申告に取り組んでみることをお勧めします。そして次回の確定申告では、自信を持って青色申告をしてください。

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