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「いたす」は正しい敬語か・公用のときの使い方|古語/類語

敬語

皆さんこんにちは、今回は「いたす」は正しい敬語か・公用のときの使い方と題して、「いたす」という言葉の正確な用法や意味合い、またさまざまな分野における「いたす」の用例についてご紹介します。ぜひ「お役立ち情報」としてピックアップしてみてください。

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「いたす」という言葉とは

「いたす」という言葉とは

「いたす」という言葉を皆さんは聞いたり、使ったりしたことがあるでしょうか。「いたす」という言葉は「致す」と書き、「○○が△△にいたること」や「人が何かをすること・特定の目的達成すること」を意味し、特に人の行動を意味する場合が多い形容表現です。 また「いたす」という言葉は「○○する」という言い方をへりくだって表現する場合に使い、「わたくしどもが○○をいたします」や「全力でそのことをいたします」など、「○○の状態を△△の状態へいたらせる、そのようにさせる」という言動や働きを、相手にへりくだって伝える場合の謙譲語表現として認められます。 特にビジネス用語で「いたす」や「いたします」という表現が多く使われ、相手に対してそれなりの敬意を示す際の表現となります。

「いたす」は正しい敬語なのか

「いたす」は正しい敬語なのか

「いたす」という言葉は先述のとおり「○○する・させてもらう」という表現の謙譲語表現に認められ、ビジネス上のやり取りでもプライベートの連絡交換・意思疎通においても、十分敬語として認められます。 ただ「いたす」という表現そのものを使う場合には、これは戦国時代や江戸時代など、古語で使われる表現・発音となるため、現代用語・日常語としてはあまり認められません。

「いたす」と「申し上げる」の違い

「いたす」のが持つ意味合いをもう少し具体的に言えば、「○○の状態から△△の状態へ届くようにすること(至らせること)」や「具合の良くない状況や状態に至らせること」、また「特定の目的に向けて全力で働くこと・努力すること」を言い、人の働きやその働きによる経過そのものを指す表現ともなります。 「申し上げる」という言葉は、「自分が想定していることや自分の意見を相手に伝えること」の謙譲語表現となり、主に「言う・話す・伝えること」を意味する敬語表現となります。 「いたす」の基本的な意味合いは「人の行動全般」を表す敬語表現となるため、「申し上げる」のメインの意味にある「話す・伝える」ということもその「いたす」の意味合いに含まれる形になります。

「いたす」は古語なのか

「いたす」は古語なのか

「いたす」という言葉は主に補助動詞のサ行四段活用に見られる古語としての働きを持ち、「○○させていただくこと」や「申し上げること」、また「自発的に○○すること」をへりくだって言う場合に用いられます。 この表現法は歴史を紐解くと、すでに奈良時代や平安時代から使われていた言葉であり、『平家物語』や『太平記』、また能や狂言のセリフでも随所に垣間見られています。 「いたす」の原典を見ると、このように古語として認められる歴史資料の中で認められ、多くの場合は補助動詞や他動詞の活用をもって表現される「相手への謙譲語表現」として使われてきました。 ・貧しき民は妻子を売り、家財をいたし(『沙石集 』) ・思ふさまなるがいたす所 (『平家物語』) ・そのとほりにいたせば (狂言) ・作善(さぜん)をいたして(『太平記』)

漢文

漢文

漢文で扱われる「いたす(致)」の活用はまず「致」という一字で表現され、「招致(しょうち:もたらす)」や「致使(しょうし:結果になる)」などと、特定の意味を持つ漢字(漢語)にそのままくっ付ける形で表記されます。 漢文における「致」という言葉は主に、祝賀や歓迎の文句、また相手に対する感謝や機嫌伺いを手紙や電報などを送る際には使われ、その際には「送ること」、「至らせること」、「述べること」をそのまま伝える意味合いを持たされることになります。

「いたす」のオタクの使い方

「いたす」のオタクの使い方

「何か興味のある特定の物事に熱中し、それ以外のことには興味を持たなくなった人」のことをいいわゆる「オタク」と言い、このオタクと呼ばれる人たちの間で使われる慣用句として「いたす」という表現が散見されることがあります。 この場合の「いたす」というのは先述しました平安時代や戦国時代など、日本史において見られた「○○する」の謙譲語をそのまま使った表現として認められます。 ・○○いたした。 ・○○いたしたので本日は休みまする。 ・野暮用をいたした。 上記のように使われ、大したことでもないのにそれを歴史的な言い方をもって大げさに報告する姿勢が面白いとされ、現代でもよく使われる表現に落ち着いています。

「いたす」の類義語と意味

「いたす」の類義語と意味

日本語をはじめどんな国の言葉を覚える際でも、その言葉の関連語と一緒に覚えることが効果的です。その関連語には類義語や対義語があり、これらの関連語をワンセットで覚えることによって、その1つの言葉の意味合いや用法を多角的に理解することもできます。 ・する ・執り行う ・実行する ・実践する ・引き起こす ・巻き起こす ・実現する ・生み出す ・作り出す ・行なう ・行動する ・生じる ・生じさせる ・きたす ・もたらす ・産む ・成し遂げる ・完遂する ・達成する ・届ける ・表す ・表現する ・でかす(大業を成し遂げる) ・○○をしこなす これらの言葉が並びますが、どの言葉にも「○○をする・生み出す・届ける・達成する」という、「○○の状態から△△の状態へ変える」という意味合いが含まれます。

「いたす」の対義語と意味

「いたす」の対義語と意味

類義語を覚えた後はついでにその対義語も覚えておくとよいでしょう。類義語を把握することによって「意味や用法の近い言葉」を先に覚えておき、さらに対極的な意味合いや用法を持つ言葉を覚えることで、1つの言葉をさらに多角的に理解することができます。 ・しない ・せぬ ・中止 ・中断 ・不履行 ・不実施 ・中途 ・途切れる ・途切らせる ・止める ・断つ ・区切り ・中断期 ・絶え間 ・一区切り ・打ち切り ・差し止める これらの言葉が並びますが、どの言葉も「○○を途中でやめること」や「中止すること」、また「最後まで達成しないこと」や「完遂しないこと」という意味合いが含まれます。

「いたす」と「頂く」の違い

「いたす」と「頂く」の違い

「いたす」という言葉の意味合いは先述のとおり「する」という言葉の謙譲語になりますが、「いただく」という言い方も「○○する・受け取ること」を言う場合の謙譲語表現となります。 しかし、「いただく」という言い方は「相手の許可・許容を受け取って初めて自分が○○する」という語調がさらに強まるため、「いたす」という自発的な表現よりも相手への謙譲の姿勢が強くなります。

「いたす」と「致す」は公用の際どちらを使うのか

「いたす」と「致す」は公用の際どちらを使うのか

「致す」という言葉はたとえば「よろしくお願い致します」や「状況を○○の事態へと促進致しました(至らせました)」というように使われ、「いたしました」という平仮名表記で言う場合の内容と同じになります。しかし「致す」という漢字は連絡交換時ではほとんど使われず、簡単な表記をもって「相手にわかりやすく伝えること」を念頭に置くことがメインになります。 これは表記上の都合であって、「絶対に致すという表記を使わない」というものではなく、「わかりやすく伝えるためにはどちらの表記がよいか」といった、表現上の規則によって使い分けられます。 そのため、ビジネス上のやり取りやプライベートでの連絡交換時でも、「わかりやすくサラッと読める表記の方を採用する」といった背景をもって、「致す」や「いたす」という表記が多くなります。

「いたす」と「いたします」のニュアンスの違い

「いたす」と「いたします」のニュアンスの違い

これも表記上のニュアンスの違いになりますが、「○○いたす」という言い方では相手に対して「話者が自発的に、あるいは自己中心的に○○をする」といった、半ば相手の都合に配慮しないでそのことをやるという強い姿勢が見受けられます。 このやや自己中心的な姿勢に比べて「いたします」という表現は「○○いたしますがよろしいですか」といった、暗黙に相手の都合に配慮した言い方への姿勢がうかがえてきます。この微妙なニュアンスの差異によって「○○いたす」という断定の語調と、「○○いたします」というやや配慮を含めた表現の違いがさらに浮き立ってくる結果となります。

「いたす」の英語表記と意味

「いたす」という言葉を英語に直す場合「する」という動詞になりますので、主に「する・実行する」という行動を表す単語を検索することになります。その場合、以下の言葉に置き換えられます。 ・do(する。いたす) ・to do(すること、いたすこと) ・perform(行動、いたす) ・carry out(行なう、いたす) ・accomplish(達成する、いたす) ・conduct oneself(成し遂げる、いたす) ・fulfill(達成、いたす) ・play(する、いたす) ・practice(練習する、いたす) ・try(挑戦する、いたす) ・bring(もたらす、いたす) ・prepare(準備する、いたす)

「いたす」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「いたす」の英語表記を参考にして、「○○いたす」という意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。 ・We will prepare documents. 「書類を作成いたします。」 ・We will carry out the plan. 「計画を実行いたします。」 ・I am going to make creative activities. 「創作活動をこれからいいたします。」 ・I will do my dog's walk for tomorrow. 「犬の散歩は明日にいたします。」

「いたす」の英語表現と意味(2)

「いたす」の英語表現と意味(2)

先述でご紹介しました「いたす」の英語表現に引き続き、「○○いたす」の意味合いを含めたさらに具体的な例文をご紹介します。 ・We will have a briefing session on topics of the subject from this afternoon. 「今日の午後から、話題の物件についての説明会をいたします。」 ・In the entrance exam of Waseda University's literature department, I will evaluate the grammatical uniqueness in particular. 「早稲田大学の文学部の受験では、特に文法上のユニークさを評価いたします。」

「いたす」の英語表現と意味(3)

「いたす」の英語表現と意味(3)

先述の「いたす」の具体的な例文に引き続き、今度は「○○いたす」のいろいろな表現についての例文をご紹介します。 ・The expression "itasu" is not used much in modern times. 「いたす」という表現は現代ではあまり使われません。 ・There is a difference in reserved attitude towards opponent in the expression "itas u" and "itadakimasu(we will)". 「いたす」と「いただきます」という表現では、相手に対する遠慮の姿勢に差異があります。 ・"Itasu" is recognized as a historical expression. 「いたす」は歴史的表現として認められます。

「いたす」の正確な意味と活用をマスターしましょう

いかがでしたか。今回は「 いたす」は正しい敬語か・公用のときの使い方と題して、「いたす」という言葉の正確な用法や意味合い、またさまざまな分野における「いたす」の用例についてご紹介しました。 「いたす」という表現は主に歴史的表現のうちに認められており、あえて「○○いたす」という言葉をそのまま使うことはほとんどないと言って過言ではありません。「○○いたします」や「○○いたしません」という形であれば、ビジネス用語をはじめ、プライベートのコミュニケーションでも頻繫に使われます。 このように、言葉によっては「単純に語形・語調を変えるだけで、使われる言葉・使われない言葉が分かれる」ということもあり、1つ1つの言葉の扱われ方やその言葉が持つ歴史的背景を、あらかじめしっかりと把握しておくことが大切です。

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