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「下さいませ」の使い方・正しい敬語なのか|目上の人/男性

更新日:2024年06月29日

敬語表現

上品な印象を与える「くださいませ」は、女性的で細やかな心配りを感じる言葉です。ビジネスでは主に接客業やコールセンターな度で口語で使われることが多いでしょう。しかし「くださいませ」は敬語としてはふさわしくないという考え方もあります。正しい使い方をご紹介します。

「下さいませ」の使い方は?

「下さいませ」は、丁寧な気持ちを込めて、相手に動作を要求する際に使われます。「くれ」の尊敬語である「ください」に、丁寧の助動詞「ます」の命令形「ませ」を組み合わせていると考えれば、理解しやすいでしょう。 「お待ちくださいませ」「ご検討くださいませ」と口語で使ったり、「ご自愛くださいませ」「つつがなくお過ごしくださいませ」というように、文章の結びでも使用します。

「〜ませ」の「ませ」って?

「〜ませ」は丁寧の助動詞「ます」の命令形です。「ませ」または「まし」と語尾につけます。「ませ」は尊敬語の命令形に接続して使われます。 「いらっしゃいませ」は「いらっしゃい」という、「いらっしゃる」という尊敬語の命令形です。「〜ください」も「くれ」という尊敬語の命令形です。 「ませ」は命令形ですが、丁寧な気持ちを添えようとして生まれた助動詞です。「尊敬語」の「ください」に「丁寧語」の「ませ」を組み合わせた、とても丁寧な敬意を示す表現だと言えるでしょう。 「下さいませ」は、男性よりも女性の方がより頻繁に使う傾向が多く、また公的より私的な場面でよく耳にします。

素っ気ない文章を丁寧な印象に

ビジネスにおいては、「〜ください」ではどこか素っ気なく感じてしまう場合などに使われます。むしろ「〜下さいませ」の方が、「〜ください」よりも柔らかい印象を残しやすいです。 メールなどで頻繁に使われますが、あまり使いすぎると過度に丁寧になり、「見下している のか」と思わぬ不興を買うこともあります。そのため、どこか一カ所に絞って使うのが基本です。 「〜下さいませ」と使うことにより、表現を和らげる効果があります。また上品かつ丁寧な印象が残り、相手を尊重する気持ちも表すことができます。

くださいませんか?

「〜くださいませんか」は否定の疑問形での依頼の表現です。否定の形を取っていますが、内容を否定しているわけではなく、「〜してくださいますか」よりもさらに丁寧な依頼を意味します。 「〜してくれますか」は丁寧に依頼する形です。これを否定の形にした「〜くださいませんか」は、「依頼を受けるかどうか相手に尋ねている=相手の都合を確認していること」とみなされます。そのため、「〜くださいますか」よりも丁寧な表現です。 「〜くださいませんか」の言い換えには、「〜していただけませんか」があり、こちらも「くださいませんか」と同じように丁寧です。ビジネスでは「〜くださいませんか」よりも「〜いただけませんか」の方が、よりスマートな表現だと言えるでしょう。

してくださいませんかの例文

「〜してくださいませんか」は、自分が相手にとって欲しい行動を要求(依頼)する際に使います。「〜してくださいますか」よりも丁寧な依頼の表現です。 ・連絡をくださいませんか。 ・恐れ入りますがお手すきの際に連絡をくださいませんか。 ・ご検討くださいませんか。 ・ご検討いただけますか。 いづれの表現も、日常生活では頻繁に使うと言えるでしょう。

下さいませんでしょうか?

これは二重敬語という間違った表現です。「くださいません」と「でしょうか」は二つ重なった敬語表現で、「ます」の否定形である「ません」と「です」の疑問形「でしょうか」の二つの丁寧語が入っています。丁寧にしようとして犯しがちなミスなので、十分に気をつけましょう。 「下さいませんでしょうか」と意識せずに使いがちですが、過剰な印象を与えるため、相手によっては不快に感じる可能性があります。そのため、他の言い回しを考えることが必要です。 「連絡くださいませんでしょうか」を正しい形にすると、「ご連絡ください」が最もシンプルでわかりやすいですが、これでは敬意が足りません。 そこで、「ご連絡いただけませんか」という形にしてみましょう。それでも心許ないという時には、クッション言葉などを使って敬意を伝えれば大丈夫です。「恐れ入りますが、ご連絡いただけないでしょうか」とすると、より柔らかく丁寧な印象を与えます。

漢字にはしません

また漢字表記の「下さい」は、「(自分に)何かを下さい」という場合に、下(自分)にさげてくださいという相手を高める意味で使われます。「私に食べ物を(下げて)ください」とすると、自分のことをへりくだっている表現だとわかります。 下げるは、目上の人から下の人にものを渡すという意味があります。そのため、実質的にものを貰う、受け取る際に「それを私に下さい」というように使います。 そのため「ご連絡ください」のように相手に動作を要求する場合には、漢字表記の「下さい」は間違った使い方になります。この使い分けは、辞書などに乗っているわけではありませんが、ビジネスや公的な文書では、意識した使い分けがされているため、注意が必要です。

下さいませんでしょうかの例文

・資料を私に下さいませんでしょうか。 この表現は二重敬語に当たり適切な表現ではないため、ほかの言葉に置き換えます。 ・資料をいただけませんか。 ・お手数ですが、資料をいただけませんか。 ・恐れ入りますが、資料をいただけませんか。 ・資料をいただきたくお願い申し上げます。 一見細かいことでも、意識するだけで印象が大きく変わります。

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初回公開日:2018年03月18日

記載されている内容は2018年03月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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