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更新日:2024年08月17日
「御行」、「貴行」という言葉をご存じですか?両方とも銀行の敬称に使う言葉ですが、使い方には規則があります。「御行」と「貴行」の使い分け、さらにその他の組織に対する敬称について言及し、ビジネスの世界で誤った敬称を使わないような知識をつけましょう。
目次
個人相手ではなく、組織に対しての敬称が「御社」「貴社」であることは皆様ご存じのマナーです。それでは組織は組織でも「会社」以外の場合はどのようにするのでしょうか。 わかりやすい例でいうと「銀行あて」です。銀行は「社」ではなく「行」ですので、「御行」「貴行」といいます。それではこの「御行」と「貴社」は、どのように使い分けるのでしょうか。 就職活動から、ビジネス本番でも通用する「常識」を再確認しましょう。
「御行」にはいくつかの意味と読み方があります。それぞれをご紹介します。
これは一番、使用頻度の高い意味と読み方でしょう。個人での「○○様」のような敬称を、銀行に対して、「御行」と使います。「おんこう」と読みます。 この言葉は、就職活動時の面接や取引先の銀行に対しての敬称として用います。つまり「口語(しゃべり言葉)」です。「御社」ではないことに注意してください。
こちらはあまり使われない読み方です。「御行」と書いて「おんぎょう」と読み、物乞いをする者やその行為を指します。 具体的には行者(修行僧)の格好をして刷絵や経書などを撒き散らし、小銭をもらいます。代表的なものとしては、高野聖(こうやひじり)として真言宗の大本山である高野山から伝導のために派遣された聖方(ひじりかた)の僧侶や、その姿をまねした乞食僧のことを示します。 明治以前、高野山で修行をした僧侶は「学呂方」と「行者方」、「聖方」と区分けされていました。学呂方(がくりょがた)は密教に関する学問の研究・祈祷を行う者です。「行者方(ぎょうじゃがた)」は苦行などによる修行をおこなう僧侶、山伏などを指します。「聖方(ひじりかた)」は寺院に属せず、修行行脚や山ごもりをする僧侶を指します。 のちに、高野山の下級僧侶や姿を真似た乞食僧のことを指すようになり、現在に至ります。
小説の話になりますが、これも違う言葉として使用されている例があります。 作家、京極夏彦氏の時代小説、『巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)』で、この「 御行(おんぎょう)」が使われています。 主人公の又市が、公では裁けない悪党への復習を請け負い、相手をだましたり丸め込んだりして解決をしていく物語です。その手口は、一般の人からみれば不可解なできごとを妖怪のしわざに仕立て上げ、呪術によってそれを鎮めるそぶりをします。最後に鈴を鳴らして「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」と唱えて締めくくります。 これも有名な時代小説で、漫画化やドラマ化などもされましたので、この読み方で覚えている人も多いでしょう。
『巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)シリーズ』は、1997年から『季刊妖怪マガジン『怪』(角川書店)』に短編小説として連載され、2010年までの間に5冊が発行されました。 2001年に漫画化、2003年にアニメ化、2000年~2006年にはテレビドラマ化されています。2冊目の『続巷説百物語(ぞくこうせつひゃくものがたり)』に続き、3冊目の『後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)』は2004年第130回直木賞を、5冊目の 『西巷説百物語(にしのこうせつひゃくものがたり)』は2011年第24回柴田錬三郎賞を受賞しています。 ここでは『巷説百物語シリーズ』の一冊目である『巷説百物語』を紹介しています。文庫で530ページといういかにも京極夏彦氏ならではの厚さです。『続巷説百物語』は765ページ、『後巷説百物語』は802ページ、『前巷説百物語』は737ページ、 『西巷説百物語』は616ページで。 すべてそろえると大変な量ですが、京極ファンにとってはいつものことです。短編集なので読みやすいと評判です。
これもまた特殊例です。 歴史上の人物で「大伴御行(おおとものみゆき」という人物がいます。飛鳥時代、壬申の乱の際に大海人皇子(後の天武天皇)方について、功績を残しました。日本史や日本文学の教科書などにも載っているので、見かけたことがある人もいるでしょう。 『竹取物語(かぐや姫)』に登場する「大納言大伴のみゆき」のモデルとされています。
記載されている内容は2018年03月28日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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