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支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

確定申告

会社と取引をしているフリーランスの方は、確定申告の前に支払調書をもらいますが、会社によっては支払調書をくれないこともあります。支払調書がないと、どのように確定申告をすべきか迷いますよね。今回は支払調書がない場合の対応方法と、確定申告での書き方をご紹介します。

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支払調書とは

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

支払調書とは、一般的に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」のことを指します。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」とは、個人事業主が会社と仕事をしてお金を受け取った場合に、会社がいくら支払いましたと記録する書類です。個人事業主に支払った金額だけでなく、源泉徴収としてひいた税金額などが書かれています。 支払調書は会社が税務署に提出する書類ですが、個人事業主にも同じものを提出してくれる会社が多いです。一般的に、個人事業主の確定申告に合わせて1月から12月の1年分をまとめて記載し、翌年の1月頃に渡します。会社が個人事業主にも支払調書を渡すのは、個人事業主の方が、支払調書を元に確定申告できるようにという会社側の配慮であって、実は義務ではありません。支払調書を渡さない会社もありますし、それは違法ではありません。

源泉徴収と支払調書

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

会社が個人事業主に仕事を依頼したときに、個人事業主の事業内容によっては、会社は「源泉徴収」をしなければなりません。源泉徴収とは、会社が個人事業主の方に支払う金額から税金をひいた額を支払い、個人事業主の代わりに国に税金を支払う制度のことです。つまり一部の個人事業主は自分で直接税務署に税金を支払うのではなく、取引先の会社が代わりに税金を支払います。 個人事業主は確定申告をして税金を支払わなければなりません。確定申告とは、いくらの収入があって、税金額はいくらか国に申告する制度です。通常は確定申告をしてから税金を支払います。しかし、会社が源泉徴収をして税金を支払っているときには、その分の税金を収める必要がありません。それを証明するために、確定申告では支払調書を添付する方が多いです。

源泉徴収が必要な個人事業主の報酬の範囲

個人事業主が会社と取引をしたときに、すべてが源泉徴収されるわけではありません。源泉徴収しなければならない報酬の範囲が決まっていますので、ご自分が該当しているか確認しましょう。基本的には、個人事業主としてしている仕事の業種によりますので、ご自分の仕事が該当していないか確認してください。

(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲 イ 原稿料や講演料など  ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。 ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金 ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金 ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金 ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金 ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金 チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

支払調書と源泉徴収票の違い

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

会社員の方の給料も源泉徴収されます。会社員の方に年末に渡されるのが「源泉徴収票」で、個人事業主の方に渡されるのが「支払調書」になります。会社員と、会社と取引をする個人事業主の違いは、「雇用契約」があるかどうかです。会社に雇われて働いているのか、個人で事業として行っているのかの違いになります。

支払調書の見方と確定申告の書き方

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

次に支払調書の見方と、支払調書に書かれている金額をもとに、どのように確定申告をするのかをご紹介いたします。きちんと手続きをしないと、二重に税金を支払ってしまうことになりますので、注意しましょう。

支払調書の項目と見方

支払調書には項目が11個あります。一番上に「支払いを受ける者」として、報酬を受け取る人の情報が書かれています。報酬を受け取った個人事業主の方の、住所、名前、マイナンバーが載っていますので、支払調書を受け取ったら、住所などが間違っていないか確認しましょう。 次に、区分、細目、支払金額、源泉徴収税額の4つの欄があります。区分は仕事の内容、細目は仕事の詳細を記載します。支払い金額は税金をひく前の金額で、源泉徴収税額はひいた税金額です。つまり、支払調書の真ん中にある4つの項目をみると、何の仕事をいくらでやり、いくら税金がひかれたのかがわかります。 次に摘要という欄があります。これは特殊な事情があった場合に記入する欄ですので、空欄であることが多いです。最後に支払者の住所と名前、法人番号などが書かれており、誰からお金を受け取ったのかがわかるようになっています。

確定申告の書き方

次に支払調書の内容を確定申告書に記載する方法をご紹介します。記載する部分は、確定申告書の2枚目である「第二表」の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」です。「所得の種類」「種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払者の氏名・名称」「収入金額」「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額」の5つの項目がありますので、それぞれご紹介します。

所得の種類

所得の種類は、支払調書をもらった報酬や料金がどのような内容のものかを記載する項目です。個人事業主の方が事業として仕事をしてもらった報酬であれば、「営業」と記載します。 支払調書をもらった報酬以外にも収入があれば、それも記載します。お給料としてもらったものであれば「給与」、その他に「利子」や「配当」などと記載することもあります。どれにも該当しない雑所得の場合は「雑」と記載します。

種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払者

確定申告書に記載する次の項目は、「種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払者の氏名・名称」です。ここは支払調書に書かれている「支払者」と同じものを記載します。確定申告書の欄は少し小さいですが、間違えずに住所と氏名の両方を記入しましょう。

収入金額・源泉徴収税額

確定申告書に記載する次の項目は「収入金額」です。支払調書では「支払金額」と書かれていますので、間違えずに書き写しましょう。確定申告書は、報酬を受け取った側が書きますが、支払調書は報酬を支払った側が書いています。そのため「収入金額」「支払金額」と書き方が異なっています。 「収入金額」の次は「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」です。支払調書には「源泉徴収税額」と書かれていますので、同じ金額を記入してください。

源泉徴収税額の合計額

複数の会社と仕事をしている方は複数枚の支払調書がありますので、支払調書ごとに記載する必要があります。確定申告書の第二表に書ききれないときは、「所得の内訳書」という書類がありますので、税務署でもらって記載してください。 確定申告書に記載するのは事業での収入だけではありません。例えば、事業以外に会社から給料をもらっていれば給与所得も記載します。それらについても記載し、最後に源泉徴収税額の合計額を記載します。源泉徴収税額の合計額は確定申告書の第一表にも記入する欄がありますので、忘れずに記入しましょう。

年金

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

年金を受け取っている方は、確定申告をすることで支払い過ぎた税金が戻ってくる可能性もあります。年金には「公的年金」と「個人年金」の2種類あります。「公的年金」とは国民年金や厚生年金などの、日本人であれば全員入ることになっている年金です。公的年金は源泉徴収されており、「公的年金等の源泉徴収票」という書類が届きます。 「個人年金」とは、個人で保険会社と契約して加入する年金です。加入するかしないかは個人の自由で、公的年金の金額だと老後の資金が不安という方が加入することが多いです。個人年金も源泉徴収され、「生命保険契約等の年金の支払調書」という書類が届きます。 確定申告書の書き方は同じです。第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」に「公的年金等の源泉徴収票」と「生命保険契約等の年金の支払調書」の内容を書き写しましょう。

雑所得

所得には「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「給与所得」「譲渡所得」「一時所得」「山林所得」「退職所得」「雑所得」の10種類あります。「雑所得」とは他の9種類の所得に該当しない場合に使います。所得の種類が雑所得になるのは、ほとんどの場合が年金の受給です。 確定申告書第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」には、所得の種類を記載する欄があります。年金を受給されている方は、「雑」と記載しましょう。

支払調書は確定申告に添付が必要か

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

支払調書とは、最初にお伝えしたように個人事業主と仕事をした会社が税務署に提出しなければならない書類です。慣習上、多くの会社で個人事業主の方にも同じものを渡していますが、実際には渡さなければならない決まりはありません。 個人事業主に支払調書を渡す義務がないのですから、個人事業主の方が支払調書を持っていないこともあります。支払調書を持っていなくても確定申告はできるようになっています。税務署では手続きをスムーズにするために、できるだけ支払調書を添付するように伝えていますが、確定申告に支払調書が添付されていなくても提出はできます。

支払調書がないときの確定申告の仕方

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

支払調書がなくても確定申告はできますが、源泉徴収された税金額は還付されることもあります。間違えずに確定申告書第二表に記載しましょう。支払調書がもらえない場合は、ご自分で忘れずに記録しておく必要があります。事業をされている方は帳簿をつける義務がありますので、帳簿を見て確認しましょう。請求書や領収書などの書類を保存しておくことも大切です。

還付申告

支払調書がなくても、払いすぎた税金の還付申告はできます。ご自分の記録を元に確定申告書に記載して提出しましょう。税務署では提出された確定申告書の金額を元に還付金を支払います。支払調書がないからといって証拠がないから手続きできないということはありません。

5万円以下

報酬を支払った会社側は、支払調書を作成して税務署に届け出なければなりません。しかし、支払った金額が5万円以下の場合は税務署に届け出なくてもよいことになっています。個人事業主の方によっては、支払った側が支払調書を提出していなければ税務署に証拠がないので、還付金はもらえないのではないかと心配される方もいらっしゃいますが、税務署では確定申告に記載された内容に沿って手続きを進めていますので、心配する必要はありません。

支払調書があるのに確定申告しないとどうなるか

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

支払調書があるのに確定申告をしなかった場合は、損をしてしまう可能性が高いです。源泉徴収されているということは税金を支払っているということですので、他に収入がないのであれば、脱税などの違法行為になることはありません。大抵の場合が、逆に多く税金を払いすぎることになります。 税金の額を計算するときには、事業で稼いだ金額から経費や、さまざまな控除額を差し引いた金額に税率をかけます。支払調書の源泉徴収額は、経費などを差し引いていない金額に税率をかけていますので、本当に支払うべき税金額よりも多くなります。確定申告をして正しい税金額を伝えることで、支払い過ぎた税金を返してもらいましょう。

支払調書がなくても確定申告できるようにしておこう

支払調書の確定申告での扱い方|書き方・添付の要否・ないとき

多くの会社では支払調書をくれますので、支払調書をもとに確定申告される方も多いでしょう。しかし、会社には支払調書を個人事業主に渡す義務はありません。ある日、会社の担当者や方針が変わって、支払調書を渡すのを辞めてしまうこともあります。支払調書がなくても確定申告できるように準備しておきましょう。 個人事業主の方は、日々のお金の出入りを帳簿としてつける義務があります。支払調書は、ご自分の帳簿の金額が間違っていないか確認するために利用するといいでしょう。

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