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深夜残業の定義と計算方法|管理職/女性/平日/休日の場合

制度

24時間稼働の工場や飲食店、アミューズメント施設など、さまざまな業種で深夜に働く人が多くいますが、このような企業で深夜残業をしている場合、賃金はどのように計算されるのかご存知でしょうか。この記事では、深夜残業の定義と賃金の計算方法について紹介しています。

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深夜残業の定義とは

労働時間が深夜にまで及んだ場合は通常の賃金と違って深夜の割増賃金が必要になります。また深夜残業が続くと健康上の問題も生じます。 特に今は長時間労働とそれに関連した各種の弊害が社会問題化しています。働き方改革などでは長時間の残業を抑制するための規制をどうするかが議論されています。当然その中には恒常的に深夜残業している職場の是正も含まれます。深夜残業について正しい知識を持っておきましょう。

労働基準法

労働基準法では労働時間に上限が設けられています。原則として1日は8時間、1週間で40時間が働かせられる時間の上限です。これを超えたものは時間外労働として割増賃金の対象となります。 いま問題になっているのは一つは残業をさせたにも関わらず、適正に残業代を支払ってないケースがあることです。働いた分の給料は支払われなければ法律違反となります。 もう一つの問題は長時間労働です。残業代を適正に払えば、際限なく残業をさせても良いかと言うとそう言うわけではありません。もしも長時間労働が原因で体調や精神面に不調をきたした場合は企業の責任が追及されます。すでに国際用語にもなった「過労死」や「過労自殺」をいかになくしていくかは、これからの日本の労働環境を整える上での大きな課題です。

深夜残業に該当する時間帯

労働基準法では深夜割増賃金が必要な時間帯を22時から5時の間としています。たとえば朝の9時から18時までが通常の勤務時間の場合で考えてみましょう。この時拘束時間は9時間ですが、途中に1時間の休憩を挟み実労働時間は8時間です。 つまり18時以降働いた場合は残業時間となります。そして22時以降はさらに割増率が増加する深夜残業の時間帯に入ります。22時から5時までの時間帯は深夜残業として、特に心身にかかる負担の大きな時間帯です。そのため通常の労働時間よりも高い賃金が設定するよう法律で定められています。

深夜残業と深夜業の違い

深夜残業と深夜業の違いについても知っておきましょう。なぜこの違いを知っておかなければならないかというと、後述しますが給料の計算の仕方が変わってくるからです。自分の給料が適正に支払われているかどうか確認する上でも、給料の正しい計算方法とその考え方を知っておく必要があります。

残業の場合

多くの会社は朝始業して夕方終業となっています。たとえば9時〜18時といった具合です。さて法律上の労働時間の上限は1日8時間です。従ってこの場合は18時以降に働けばそこから先は残業時間に該当することになります。そこから、深夜の時間帯に及べば当然深夜残業ということです。まずはこのように法定労働時間を超えて深夜残業となっているかどうかを考えます。

夜間勤務

飲食業やサービス業、もしくは看護師や24時間稼働の工場などのように深夜帯が通常のシフトで定められた勤務時間という職業もあります。 仮に交代制でシフトが組まれている24時間稼働している工場で見てみましょう。夜間の勤務が22時開始で翌朝6時までのシフトがあったとします。この場合の1日の労働時間は休憩1時間を除いて8時間です。従って深夜に働いてはいますが、深夜残業にはなりません。 ただし深夜の時間帯の勤務は心身両方に大きな負担がかかることから、通常の残業代とは区別して深夜時間帯を対象にした割増手当をつけるように法律では定められています。厳密に区別すれば、上記のように単なる深夜勤務と深夜残業はわけて考える必要があります。

深夜残業の賃金の計算方法

深夜残業の賃金の計算方法

ではここからは深夜残業した場合の実務的な計算方法を見ていきましょう。深夜残業に対して通常の給料とは異なる計算が必要ということは知っていても、詳しくは知らないという人も結構います。この機会に正しい計算方法を会得しておきましょう。

割増

まず、深夜に労働した場合の割増率は25%となっています。仮に時給が1,000円であれば深夜労働の時間に対しては1,250円支払われなければなりません。これが基本となります。 法定労働時間を超えない時の深夜割増は上記の計算で大丈夫です。たとえば看護師が夜勤をする時やコンビニの深夜帯のシフトの場合がこれに該当します。 対して法定労働時間を超えて深夜残業に及んだ場合は、また計算が異なります。8時間を超えた時から25%の割増が必要になり、22時以降の深夜残業に入った時点でさらに25%追加で合計50%増しになります。時給が1,000円なら1,500円を支払わなければなりません。

手当

介護施設や病院の夜勤や当直で手当を支払う会社もあります。夜勤手当〇〇円という形で一律に決められています。これは深夜割増相当分を定額で支払っています、という意味です。概ね実際の計算よりは多めに支払っている場合が多いです。 たとえば時給が1,000円で夜勤の場合に深夜割増は250円です。その日の夜間勤務が8時間であれば250円×8時間=2,000円が深夜割増として支払う必要があります。これに対して夜勤手当3,000円を払っていれば満たしていることになります。 なぜこのような手当で支払うのかというと、全員一律にしておけば給料計算時の手間を減らせるからです。

深夜残業単価

ここまで見てきたように深夜残業の単価は法定労働時間を超えている場合は通常の時給相当額の1.5倍、法定労働時間を超えなければ1.25倍です。 時給単価の出し方は月給者の場合はその月の所定労働時間で割ります。月によって所定労働時間が異なる場合は年間の平均で計算します。日給者の場合はその日の給料を所定労働時間で割ります。

みなし残業

労働契約の中にはみなし残業としているものがあります。たとえば営業職のように会社の外での仕事がメインで正確に働いた時間を計算しづらい場合がこれに該当します。 しかし、みなし残業時間制を採用していても深夜の時間帯はきちんと計算して割増賃金を支払わなければなりません。

平日

平日に深夜残業した場合の給料の計算は前述のとおりです。実は平日と休日では深夜残業の場合の計算が異なりますので注意が必要です。

休日

法律上週に1日は休日を与えなければならない、と定められています。これを法定休日と言います。この法定休日に出勤した場合がいわゆる休日出勤であり、通常の割増賃金とは違う計算をします。 法定休日に働いた場合は35%増しで計算します。そして休日労働が22時を超えて深夜残業になった場合は35%+25%の合計60%増しで給料を支払わなければなりません。時給が1,000円であれば1,600円の支払いが必要です。

休憩時間

法律上は休憩時間は6時間を超えたら45分、8時間を超えたら1時間の休憩を与えるように決められています。深夜残業をした場合でも始業からの間に1時間の休憩が与えられていれば一応は問題ないことになります。もちろん疲労による生産性の低下を回避するためには適度に休憩を取るほうが良いのはいうまでもありません。

管理職

管理監督者は労働時間の管理の適用除外とされています。従って何時間働いても残業代は必要ありません。名ばかり管理職の問題などはご存知の方も多いのではないでしょうか。 実は管理監督者であっても、深夜残業に関しては割増賃金を支払われなければ法律違反となります。見落とされがちな点ですが注意が必要です。

固定残業代手当の落とし穴

固定残業代手当の落とし穴

最近導入する企業も多い固定残業代制。あらかじめ何時間分かの残業があるかを見越して定額で残業代を支給することです。 仮に20時間分の残業代を固定として支払うこととしている場合は、ある月に実際の残業時間が0時間だったとしても20時間分は支払う必要があります。この制度のメリットとしては給料計算事務が簡便化されることです。 ただし実際に20時間を超えて残業した場合には、超えた分を計算して追加で支払われなければなりません。

深夜割増賃金も含まれるのか

この固定残業代を採用するにあたっては、何時間分の残業でいくらなのかをあらかじめ明らかにしておく必要があります。普通残業時間、深夜残業時間、休日出勤時間と細かく項目を分ける必要があります。

固定残業と認められない場合

上記のように項目ごとに分けていない場合は、そもそも固定残業代として認められない可能性があります。残業代名目で職務手当を支払うと言われた場合は、それが何時間分の残業に相当するのか、計算方法などを会社にきちんと確認しましょう。

深夜残業の問題点

深夜残業の問題点

深夜残業が頻繁に、長時間にわたって行われるのは問題です。それというのも長時間にわたる労働で心身共に疲弊するからです。また深夜時間帯の仕事というのは体内のリズムが狂うなど長期的にみるとさまざまな弊害があるともいわれています。

健康管理上の問題

一番は健康上の問題があります。長時間労働は高ストレスとなって体を蝕みます。また深夜時間帯の勤務はホルモンバランスが崩れやすいなどの影響が出ますので、医師による検診や面接指導などのケアをしていくことが求められます。

深夜残業時の注意点

時に女性にとって深夜残業は危険が伴います。人が少ない中で仕事をしていてセクハラ被害を受ける恐れがあったり、夜遅くの帰宅途中に犯罪に巻き込まれたりすることもあり得ます。これらの場合に会社に全く責任がないとは言い切れません。不要な深夜残業を減らすように努力することは会社としての責務です。

交通費はどうなるの?

深夜残業をして終電を逃してしまった場合どうやって帰ればばいいのでしょうか。タクシーまたは近くのビジネスホテルに宿泊するのかというのが現実的な選択肢ではないでしょうか。しかしこれらの費用については会社が負担する義務は法律上決められていません。 社員にばかり負担がかかるようでは人が定着しなくなるのも当然です。深夜残業についてはなくす方向で努力する必要があります。

女性の残業規制について

女性の残業規制について

女性は特に深夜残業を行うことに危険が伴うことは、先述のとおりです。そのためかつては女性の深夜残業は法律で規制されていました。

以前は禁止されていた深夜残業

実は平成11年3月31日までは女性の休日労働や深夜残業は女性保護の観点から原則として禁止されていました。 しかし女性の社会進出の加速や男女雇用機会均等法の施行など働く上での男女同権の考えから平成11年4月から女性にも深夜残業を行わせることができるようになりました。

妊産婦の深夜残業

しかし妊産婦に関しては母性保護の見地から、労働者本人から請求があった場合は時間外労働や深夜労働についてはさせてはならないということが労基法に定められています。これは逆にいえば請求がない限りは通常の労働者と同様に扱っても良いということでもあります。

日本式の働き方の問題点

日本ではまだ一部に残業をするのは「偉い」「頑張っている」といった感覚があります。しかしそもそも深夜まで残業をしなければならないような業務量を課すこと自体が適正な仕事の与え方ができていない証拠でもあります。

働き方改革の実現に向けて

働き方改革の実現に向けて

働き方改革とは単に長時間労働を是正することだけではなく、働くことへの意識改革のことを言います。成果を出して、定時に帰るのが当然というふうに生産性の高い働き方にシフトしていかなければこれからの時代に生き残ってはいけないでしょう。深夜残業をしなくて済むような転換を会社と社員が一体となって考えていく必要があります。

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