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ニルヴァーナの意味|仏教用語/ロックバンド・スマイルマーク

言葉の意味

ニルヴァーナ。ロックバンドの名前で有名ですが、本来は、仏教の究極の理想である「煩悩が消え、悟りの境地に達した」状態を指す言葉です。大切な言葉なので、ニルヴァーナの持つ意味から、ロックバンドの「Nirvana」についてまで詳しく説明していきます。

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ニルヴァーナとは

ニルヴァーナとは

ニルヴァーナという言葉について、あまり耳慣れない方も多いことでしょう。しかし、普段使うことがなかなかないと言っても、仏教においてはそれなしでは語れないくらい、重要な意味を持ち、高校の倫理などでも出てくる大事な言葉です。 またロックシーンにおいて無視できない存在であるバンド、「Nirvana」の名前の由来でもあります。ニルヴァーナの意味、またロックバンドの「Nirvana」についても、この機会に正しく意味を理解しましょう。

ニルヴァーナの意味

ではまず、「ニルヴァーナ」とは本来どういう意味を持つのでしょうか。仏教用語として使われる場合の「ニルヴァーナ」の意味を見てみましょう。

仏教用語「ニルヴァーナ」の意味

ニルヴァーナとは仏教用語では、「永遠の平和、最高の喜び、安楽の世界」を意味します。つまり、仏教の究極目標である煩悩の火を吹き消した悟りの境地に達した状態のことです。ニルヴァーナを漢字で音写すると「涅槃」という言葉になります。

「涅槃」の意味

「涅槃」の意味

それでは「涅槃」について詳しく見ていきましょう。もともとサンスクリット語である「Nirvana」を音写、つまり漢字で書き表した言葉になります。なので意味はニルヴァーナと同じです。 「涅槃」とは本来的に煩悩が消え、悟りの境地に達した状態のことを意味します。このような状態を「涅槃寂静」と呼ばれ、初期仏教では根本的な教えの一つとされていました。 しかし、人が生命や肉体を持っている生きている状態では完全な涅槃は達成されないとされ、その状態を「有余(依)涅槃」と呼び、それに対して、死後に達成される完璧な状態の涅槃を「無余(依)涅槃」と呼ぶようになりました。そこから「涅槃」は「釈迦の死」を意味する言葉としても使われます。

涅槃図、涅槃仏

また釈迦が死んだ(入滅した)時の情景を描いた絵を「涅槃図」、仏像にしたものを「涅槃仏」と呼びます。沙羅双樹の下で横たわる釈迦の周りに、菩薩たちや弟子たち、鳥獣までもが集まり嘆き悲しんでいる図で有名です。

「Nirvāṇa」に使われている発音記号の意味

「Nirvana」と調べると「Nirvāṇa」と表記されているものをよく見かけますが、aの上にある「-」やnの下にある「・」はどういう意味なのでしょうか。 サンスクリット語はヨーロッパ人などローマ字を使う人たちが研究しやすいようにローマ字化した表記を使うことが多くあります。その時に「Nirvāṇa」の横棒や点といったような発音表記を使います。ここではその全てを紹介することはできませんが、「Nirvāṇa」に使われている二つの記号について紹介します。

サンスクリット語の発音記号① 母音字の上に横棒で長母音を意味する

「Nirvāṇa」に使われている発音記号の意味

日本語のローマ字と同じように、サンスクリット語をローマ字化した時、母音字の上に横棒を乗せると長母音になります。長母音とは母音を伸ばすという意味の言葉です。ニルヴァーナでいうと「ヴァー」の部分です。 また余談ですが、サンスクリット語は短母音の二倍の長母音だけではなく、三倍の長さになる超長母音というものもあります。この場合、上に横棒を置いただけで区別しない場合もありますが、区別する場合は右肩に"³"を振って、ā³, などとします。

サンスクリット語の発音記号② 舌先を使う音の文字の下に点で、反舌音を意味する

舌先を使う音の文字(n,t,d,s)は、下に点を打つことで反舌音を意味します。反舌音とは、舌をうしろにそらせ,舌先とそれに続く裏面 が硬口蓋に対して調音する音です。対して、下に点など何もない場合は舌先を上の前歯の裏に付けて出す音という意味です。 「Nirvāṇa」の「ṇa」などは「ラ(ra)」をいうつもりで舌を動かしながら、声を鼻にかけるとうまくいくでしょう。

サンスクリット語においてたくさんある発音表記

サンスクリット語をローマ字表記ににして発音する際の発音記号などの約束事はこの他にもたくさんあります。興味のある方は、以下のサイトを参考にして、より深く調べてみてください。

サンスクリット語における「ニルヴァーナ」の意味

サンスクリット語における「ニルヴァーナ」の意味

「ニルヴァーナ」または「涅槃」、とは元々「(炎に対して)吹き消すこと、消えた状態」という意味を持ちます。そのことから、先ほど仏語における意味のところで説明したような、「煩悩の火が吹き消えて、智慧が完成した悟りの境地」を表します。また仏教と同時期に栄えたジャイナ教などでも仏教と同じような意味で使われます。

ロックバンド「ニルヴァーナ」について

「ニルヴァーナ(Nirvana)」とは1987年に結成されたアメリカのロックバンドです。1989年にデビュー・アルバムの『ブリーチ』を発表し、1991年には、2ndアルバムであり、あの世界的名盤である『ネヴァーマインド』で、全世界にグランジ・ムーブメントを巻き起こしました。 最終的なメンバーは、ボーカル・ギターのカート・コバーン、ベースのクリス・ノヴォセック、ドラムのデイヴ・グロールです。

ロックバンド「ニルヴァーナ」のグループ名の由来

彼らのバンド名は、フィーカル・マター、セルアアウツ、スキッド・ロウ、ペン・キャップ・チュー、テッド・エド・フレッドなどたくさんの名前を経て「ニルヴァーナ」にたどり着きました。 「ニルヴァーナ」というバンド名の由来については、ボーカルとギターのカート・コバーンは「詩的で美しくて響きのいい名前をつけたかった」という理由からいっています。また、ベースのクリス・ノヴォセックは「この言葉自体には意味があるけど、別に深い考えがあったわけじゃないんだ」と言葉の意味からというよりは響きで決めたことを強調しています。

ニルヴァーナのCDアルバム「ネヴァーマインド」のジャケット写真の意味

ニルヴァーナといえば、まずあの「ネヴァーマインド」のジャケット、裸の赤ん坊が水の中で、釣り針についた札に飛びついている写真を思い出す方も多い事でしょう。では、そのジャケットには一体どんな意味があったのでしょうか。

水中、赤ん坊、釣り針に刺さった金

赤ん坊が水の中でお金に飛びつこうとしている。という図はとてもインパクトがあります。さらに、よく見るとその金には釣り針が引っかかっています。赤ん坊という無垢な存在が、水中という苦しい場所で金に飛びつこうとしているが、その金は釣り針で、何かに釣られようとしている状態としてみることができます。 ニルヴァーナが確立したとも言えるグランジロックは80年代が行っていたスター生産システムの音楽を金儲け主義として、その中に取り込まれることを恐れ、頑なに拒んだ音楽でした。 特にカート・コバーンは音楽だけではなく生き様でもそれを体現しており、彼は徹底して権威、体制、スター的なものに対して反発しました。ネバーマインドのアルバムのジャケットは、このようなグランジロックにおける精神性、つまり80年代の華やかな音楽やスター性に対して批評的に見つめる姿勢を表していると言えます。

ジャケットに映る赤ん坊について

この写真に映る赤ん坊は、ロサンゼルスに在住しているスペンサー・エンデルという方で、アルバムの発売から27年がたった今、立派な大人になっています。 彼自身は撮影当時、生後4ヶ月だったので全く撮影の状況は覚えていないのですが、「まったく思い出せないけど、とても重要な一場面になれたことは、すごいことだけど何か変だよね」と語り、三年前の発売から25周年の時に「僕にとって、この25周年は一つの節目」と行って全く同じ構図で写真を撮っています。 そもそもこのジャケット写真は写真家のカーク・ウェドルによるもので、カークがその写真の撮影の経緯について明らかにしています。1991年に、カーク・ウェドルはエンデルさんの両親に、無名のバンドのジャケット写真を撮らせて欲しいと頼みました。金のついた釣り針の写真は後から合成したもので、両親への報酬は200ドルでした。

実はメンバーがプールに入ったバージョンも存在した

メンバーがプールに入った写真は、カート・コバーンの公式ドキュメンタリー映画『Montage of Heck』が制作された際、資料を整理している時に発見されました。その写真の撮影は1991年10月28日にロサンゼルスのプールで行われました。 当時、バンドは西海岸でのツアーを終えたばかりで、特にカートは消耗しており、「プールに入ってくれ」という提案に対して「俺がプールに入らなきゃならないの?」と嘆いたと言います。また天気も良くなく、朝の10時の撮影だったということもあり、バンドのモチベーションは低く、カートは疲れからか、プールサイドで昼寝を始めてしまいました。 最終的にカークがこの撮影の数ヶ月前に撮影した赤ん坊の写真が使われることになりました。

ニルヴァーナの楽曲の歌詞の意味

Smells Like Teen Spirit
Smells Like Teen Spirit

それではいよいよ、ニルヴァーナの曲そのものについて見ていきましょう。直接彼らの楽曲の歌詞の意味を探ることで、ニルヴァーナについてもっとよく知ることができます。

『Smells Like Teen Spirit(スメルズ ライク ティーン スピリット)』のタイトルの意味

まずはニルヴァーナの代表曲であり、ロック好きならば誰もが知っている曲『Smells Like Teen Spirit』について見てみましょう。 タイトルの「Smells Like Teen Spirit」を直訳すると、「ティーンスピリットのような香り」となります。ティーンスピリットとは、当時アメリカで発売されていた女性向けの制汗剤のことです。 カートは、当時の友人に「カートはティーンスピリットの匂いがする」と落書きされ、そのシャンプーを使っている共通の友人の女性と付き合っていると揶揄されたことを気に入って使いました。

『Smells Like Teen Spirit』の歌詞の意味

『Smells Like Teen Spirit』の歌詞について、和訳されたものを見ると、支離滅裂な言葉が羅列され難解な印象を受けます。そう言ったところからそこからヘロインを歌った曲だったり、10代の精神を歌ったものなど色々な解釈や憶測が飛び交っていますが、カート・コバーン自身は生前のインタビューでこの歌詞の意味を聞かれた時に、本人も「よくわからない」と答えています。 また後年、彼はあまりに売れすぎてヒット曲となったこの曲を忌み嫌うようになります。ライブでは歌詞を変えて歌うこともしばしばありました。 しかし、この陰鬱ながらもパワフルなリフや、直接的な意味はわかりづらくとも、内にこもった衝動を抱えた歌詞を持つこの曲は、ニルヴァーナの成功を象徴する曲であり、グランジロックの代表として、今でもロックを愛する人を魅了しています。

『Lithium(リチウム)』の曲名の意味

続けて同じくニルヴァーナの代表的な曲である『Lithium』について見てみましょう。曲のタイトルである「Lithium」は薬の名前です。ニルヴァーナの伝記の中では、マルクスの言葉、「宗教はアヘンだ」という言葉を現代風に置き換えた言葉と評されています。

『Lithium』の歌詞の意味

歌詞の中では「I'm so happy because today(今日はとても幸せだ)」と歌われ、happyなのかと思いきや、その後「I'm so lonely but that's okay I shaved my head And I'm not sad(僕は一人ぼっちだよ、でも大丈夫。頭を剃ったから、もう悲しくない)」と言い始めます。この歌詞は最後まで安定せず、静と動、ハイとローを繰り返します。 タイトルなどからドラッグによる双極的な状態を歌った曲に見えますが、歌詞をよく読むと「Sunday morning is everyday for all I care」で日曜日の朝(=教会に行く日)や上の「頭を剃る」など宗教的な言葉が使われています。このことから、カート自身が評伝の中で語っているように「恋人の死後、自殺に走らず気を確かに保とうと宗教に走る男の歌」と読み取れます。

MUCCの『ニルヴァーナ』

ニルヴァーナの楽曲ではないのですが、日本のビジュアル系バンド「MUCC(ムック)」は『ニルヴァーナ』という曲を作っています。今まで紹介してきたロックバンドのニルヴァーナと直接は関係ありませんが、「ニルヴァーナ」という言葉が使われている曲ということで、この記事で紹介させていただきます。 2012年に発表された曲で、「影と希望の光」をテーマに作られています。東日本大震災の後に制作されており、作詞・作曲を担当したミヤは「当時の心境が歌詞にそのまま表れている」と言っています。 歌詞を読んでみると「壊れた世界の端っこで 僕らは空を見上げている」や「悲しみは沈み ほら夜が明ける 君とぬくもりを探しに 行こうまだ見ぬ世界へと」という言葉から、震災の悲しみの中で、それを抱えつつも明日へ向かって進んでいこうというメッセージが浮かんできます。

ニルヴァーナのスマイルマークの意味

ニルヴァーナのバンドTでもおなじみのあの黄色いスマイルマークには、一体どのような意味があるのでしょうか。意味は知らなくてもデザイン的にも可愛らしく、ニルヴァーナのブームが落ち着いている今、ニルヴァーナにそれほど思い入れがなくても、お洒落として着ている方もいらっしゃることでしょう。

スマイルマークはカート・コバーン本人が描いたもの

このヨレヨレのスマイルマークは、『ネヴァーマインド』の制作中に、当時ロックシーンにおいてニルヴァーナと敵対していた「ガンズ・アンド・ローゼス」のボーカル、アクセル・ローズの似顔絵としてカート・コバーンが描きました。つまり、あのへちゃっとした目で笑ってるスマイルマークはアクセル・ローズに対する皮肉の意味が込められた絵ということになります。その落書きをスタッフの誰かが拾ってTシャツにしたという噂があります。

カート・コバーンの最後

上にも書いたように、ニルヴァーナはグランジ・ロックを牽引し、またその精神性を行動やふるまいでも体現してきたカート・コバーンは、その権威や体制、スター性などに対する反発的なふるまい故、彼の気持ちとは裏腹にスターへとおし上げられていきます。 その葛藤から、1994年、カート・コバーンはショットガンで頭を撃ち抜き自殺します。彼の自殺は、世界に衝撃を与え、同時にロックにおける伝説の一つとなりました。

「ニルヴァーナ」を意識してみよう

「ニルヴァーナ」を意識してみよう

仏語、サンスクリット語、ロックバンド、また日本バンドの楽曲など、「ニルヴァーナ」という言葉の持つ意味について書いてきました。「ニルヴァーナ」という言葉は、その哲学的、宗教的な意味はもちろんのこと、カート・コバーンが意味よりもその響きの美しさからバンド名に採用するなど、響きとしても人を惹きつける力を持った言葉だと言えます。 仏語としての「ニルヴァーナ」を知っておくと、今後、お寺などに行った時、仏の入滅(涅槃図など)見た時、知らない時よりも深い印象を受けることができるでしょうし、ロックバンドの「ニルヴァーナ」はロック好きは必ず通る道と言っても過言ではないので、意識してみると身の回りに好きな人が一人はいることでしょう。 もし初めてこの言葉を知ったという人は、ぜひ普段の会話の中で、ニルヴァーナという言葉を使ってみてください。きっとあなたの中に新しい引き出しが生まれることでしょう。

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