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印鑑証明の勘定科目と消費税の処理|支払手数料で消費税は非課税

社会人常識

印鑑証明や法人登記簿謄本をとった際の手数料は、経理上何の勘定科目で処理すれば良いのでしょうか?考えられる処理は複数あります。印鑑証明を取得する頻度や消費税の処理により本来の勘定科目とは異なる処理を行う場合があるので、詳しくご紹介します。

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勘定科目の意味と消費税のしくみ

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勘定科目とは、個人事業主や企業の日々の取引を計上する際に使用する類別化した名目のことです。勘定科目は、お金に付けられた「見出し」のようなもので、しかも誰もがわかるように、こういう類の取引はこの勘定科目で処理するということがある程度決まっています。 したがって正しい勘定科目で処理された帳簿を見れば、「何に使ったお金か」「どこから入ってきたお金か」ということがわかるようになっています。 消費税は、モノやサービスを消費した時に、その代金にかかる税金のことをいいます。消費税は、税金の負担者である消費者と納税者である個人事業主または企業とが異なる間接税です。消費者が納めた税金を正しく納税するために個人事業主や企業は複雑な税金計算を行います。そのためには消費税のかかる取引・かからない取引を正しく分類することが必要になってきます。

印鑑証明とは実印であることの証明

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印鑑証明とは、印影(印鑑を押した跡の形)が,あらかじめ官公庁に届け出てある印鑑と同一のものであることを証明する書類です。印鑑登録してある印鑑のことを実印といい、認印や銀行印よりも厳重に保管されます。契約書などに実印を押す時には、必ず印鑑証明を添付することを要求されます。 個人事業主の場合、個人の印鑑登録は市町村役場で行なっていますので、印鑑証明はその市町村役場で発行します。法人の場合、商業登記法に基づき登記所である法務局に登録していますので、印鑑証明は法務局で発行します。そして、会社の実印を用いて法人登記が行われます。この法人の登記情報を記したものが、法人登記簿謄本(法人登記事項証明書)です。

市役所が発行する印鑑証明の手数料の勘定科目

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それでは、印鑑証明の発行に際して請求される発行手数料は、経理上どのように処理すれば良いかをみていきましょう。

支払手数料

市役所が発行する書類には、印鑑証明の他に住民票や課税証明書などがあります。これら各種証明書の発行手数料を総称して、行政手数料といいます。行政手数料の勘定科目は、支払手数料です。 支払手数料の勘定科目には、他にも以下のようなものがあります。 ・銀行の振込手数料 ・不動産などの仲介手数料 ・コンサルティング料など外部のサービスなどの支払い

雑費とする場合もあり

勘定科目は、その取引の内容がわかるような名を付すのが一目瞭然で正確な把握につながるのですが、発生頻度によっては雑費で処理することもあります。 印鑑証明の発行手数料も定期的に発生するものではないことから、雑費の勘定科目で処理する場合もあります。

事業に関係ないものは経費にしない

個人事業主の場合、事業に関する費用のみを経費として計上し、事業以外のものは経費になりません。したがって、現金に関しては事業の財布と個人・家庭の財布を分け、通帳は事業用と家庭用を別に作るのが原則です。 印鑑証明も、事業資金の借り入れのために銀行に提出するというのならば経費に計上して良いのですが、親の保証人になり印鑑証明を提出する場合には、事業には関係ないので経費にはできません。したがって、事業用のお財布から出金すべきではありません。 誤って、事業に関係ない印鑑証明の手数料を事業用のお財布から出してしまった場合には、店主勘定という勘定科目を使いましょう。

法務局が発行する法人登記簿謄本の勘定科目

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次に、法務局が発行する印鑑証明や登記事項証明書の発行に際して請求される発行手数料は、経理上どのように処理すれば良いかをみていきましょう。

支払手数料

法務局が発行する書類には、印鑑証明の他に法人登記簿謄本(登記事項証明書)などがあります。最近ではオンライン申請によるオンライン交付などもあり、書面請求よりも低い価格に設定されています。これら各種証明書の発行手数料を総称して行政手数料といい、勘定科目は支払手数料となります。

雑費とする場合もあり

勘定科目は、その取引の内容がわかるような名を付すのが一目瞭然で正確な把握につながるのですが、発生頻度によっては雑費で処理することもあります。 法務局での法人登記簿謄本や印鑑証明の発行手数料については、発生頻度が少ないことから、雑費の勘定科目で処理する場合もあります。

上記の勘定科目に寄らない場合

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行政手数料については支払手数料で処理をするのが原則ですが、これ以外の勘定科目で処理をする方法もあります。

租税公課で処理するのはよいのか?

租税公課という勘定科目があります。「租税」とは国税や地方税として納める税金のことで、「公課」とは、租税以外にわりあてられて負担する賦課金をさします。 具体的に租税公課の勘定科目で処理するものには、固定資産税や印紙税・証紙税(具体的には印紙・証紙を印紙売りさばき所で購入して貼付して納めます)などの税金、商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費・組合費・賦課金や交通違反反則金などの罰科金などがあります。 本来、この科目には印鑑証明などの発行に関する行政手数料は含まれていません。しかし、「公課」を「役所に対して負担するもの」と拡大解釈して、印鑑証明や法人登記簿謄本の発行にかかる行政手数料を租税公課の勘定科目で処理するケースがみられるのはなぜでしょう?

租税公課処理は消費税計算の便宜上の策にすぎない

これは、後で述べる消費税処理の便宜上、科目一括で非課税取引としやすい勘定科目である租税公課を用いる方が、支払手数料を使うより都合が良いからです。会計ソフトなどで、支払手数料の勘定科目内で消費税の課税・非課税を取引ごとに変えられるならば、支払手数料の勘定科目で処理をするのがよいでしょう。 勘定科目はあくまでもその取引の性質や機能により分類されます。例えば水道料金は市町村の水道局に支払いますが、これを租税公課とする人はいないことからも容易に想像がつくでしょう。

重要なのは勘定科目のルールを決めて継続して使用すること

さて、印鑑証明ひとつとっても、複数の処理科目が出てきました。 このように該当する勘定科目が2つ以上ありどちらで処理しても差し支えないという場合で気をつけたいのは、使用する勘定科目をその都度変えないということです。その都度、使用する勘定科目を変更していると、月ごと・会計年度ごとの比較ができなくなるからです。 会社の場合は、処理をした人によってさまざまな勘定科目が用いられないよう、ルールを定めて周知しておきましょう。

印鑑証明の消費税

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印鑑証明に消費税はかかりません。消費税法上では、消費税がかからない取引は2つあります。不課税と非課税です。 税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。ちなみに、消費税の課税対象にならないものは不課税取引といいます。市役所や法務局の印鑑証明の手数料は、市や法務局が対価を得て行なっているので、課税対象です。 しかし、これらの取引であっても、預貯金の利子など消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや、福祉に関する費用など社会政策的配慮から、課税しないものと定められています。具体的には、下記の17項目です。

(1) 土地の譲渡及び貸付け (2) 有価証券等の譲渡 (3) 支払手段の譲渡 (4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等 (5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡 (6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡 (7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供 (8) 外国為替業務に係る役務の提供 (9) 社会保険医療の給付等 (10) 介護保険サービスの提供 (11) 社会福祉事業等によるサービスの提供 (12) 助産 (13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供 (14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け (15) 学校教育 (16) 教科用図書の譲渡 (17) 住宅の貸付け 国税庁ホーム>タックスアンサー>No.6201 非課税となる取引

印鑑証明など行政手数料の消費税は非課税

このように、あらかじめ定められた17項目を非課税取引といいます。市役所や法務局が対価を得て行う印鑑証明や法人登記簿謄本などの発行に係る行政手数料はこのうちの(7)にあたるので、非課税となります。

印鑑証明の仕訳と勘定科目の事例

個人事業主の印鑑証明

例1:支払手数料で処理する場合 (支払手数料)350/(現金)350*消費税は非課税 例2:雑費で処理する場合 (雑費)350/(現金)350*消費税は非課税 例3:事業用の財布から事業に関係ない印鑑証明の手数料を払った時 (店主貸)350/(現金)350*店主勘定は費用科目ではないので消費税設定はない

法人の登記簿謄本

例1:支払手数料で処理する場合 (支払手数料)350/(現金)350*消費税は非課税 例2:雑費で処理する場合 (雑費)350/(現金)350*消費税は非課税

経理と消費税の知識を身につけて仕事に活かそう

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印鑑証明や法人登記簿謄本などの発行手数料は、個人事業主や法人の別なく支払手数料または雑費で処理します。ただし個人事業主の場合は、事業に関係のある印鑑証明の手数料のみを計上しましょう。 消費税については、支払手数料・雑費いずれの場合でも非課税となります。店主勘定での処理については、経費に計上しないため消費税と無関係になります。したがって、消費税の処理そのものが発生しません。 経理を知ることは、個人や会社の事業情報を正しく把握することにもつながります。消費税の知識の有無は、見積書や請求書を作成したり内容を説明する際の武器にもなります。基本的な知識をおさえて仕事に活かしましょう。

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