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毀損の読み方/意味/使い方・毀損か棄損か・毀損と破損の違い

更新日:2024年02月01日

言葉の違い

「毀損」という言葉、そういえば見たことがあるような聞いたことがあるようなとは思っても、その意味まではよく知らないという人も少なくないのではないでしょうか。やや堅苦しさの感じられるこの「毀損」という言葉の意味や類語、使い方などをご紹介します。

「器物を毀損する」

もっと簡単な表現に言い換えれば「物を壊す」ということです。ただ「物を壊す」と言うよりも「器物を毀損する」といった言い方をするほうがなんとなく本格的で、リーガルドラマ風とも感じられそうですが、他人の所有物を壊すという犯罪の名称は「器物損壊罪」であり「毀損」という語は使われないという点に留意しましょう。

「名誉を毀損する」

「毀損」といえば「名誉毀損」という熟語での使用例しか思い浮かばないという人も多いのではないかと考えられるほどに、「毀損」という言葉がもっともしっくりくる組み合わせの使い方であるといえるでしょう。 名誉のほかに体面や家名、名声、信用といった「汚点のないことに価値がある」類の人格的・社会的価値を損なうこと全般に用いることができるのが「毀損」という言葉の特徴です。

不動産売買契約書の「引渡し前の滅失・毀損」の条文の意味は?

不動産の売買時に交わされる不動産売買契約書には「引渡し前の滅失・毀損」というタイトルの条文が含まれています。これはどういった内容について定めるものなのでしょうか。 売買契約を結んでから引渡しを受けるまでの間に、天災などによりその不動産(住宅などの建物)が倒壊してしまうこともないとは言い切れません。売主と買主のどちらにも責任がない理由により建物がなくなったり(=滅失)壊れたり(=毀損)してしまった場合について定めているのが「引渡し前の滅失・毀損」の条文です。 内容としては、引渡し前に建物がなくなってしまった場合は契約を解除できます。毀損した場合は原則として売主が補修した上で買主に引き渡しますが、補修が現実的でない場合(補修しても使い物にならない、多大なコストがかかる)には売主が契約を解除できます。なお、いずれの場合も契約解除の際に違約金は発生せず、手付金も売主から買主へ返還されます。

金融用語の「バランスシートの毀損」の意味は?

「バランスシート(貸借対照表)の毀損」という言葉が金融用語としてありますが、これはどういった意味でしょうか。 企業のバランスシートは家庭における家計簿であるといえ、財政状況を「資産」と「負債・資本」に分類して一覧表示します。このバランスシートの示す財政状況が悪化し経済面でリスクを取りづらい状況に陥る(=経済的に余裕がなくなる)ことを「バランスシートの毀損」といいます。 借金をしてでも土地や株式などの資産を購入する場合がありますが、これはその購入する資産の価値の上昇を見込んでのことです。バランスシート上では資産と負債とが一旦は両方とも増加しますが、見込みどおりに資産価値が上昇すれば財政全体での負債の割合は相対的に減少し自由になるお金が増えます。 しかし、思惑が外れて資産価値が下がった場合、負債の割合は相対的に増加し自由になるお金が減ってしまいます。これが「バランスシートの毀損」です。

「毀損」という言葉の向こう側に垣間見えるものは

「毀損」という言葉の意味や使い方などについてご紹介しました。類似の意味を持つ言葉も複数ある中でこの「毀損」という言葉の特徴は、無形の価値あるもの(名誉・名声など)が損なわれることを指す際に使用可能であるといえるでしょう。 少し堅苦しいイメージのつきまとう「毀損」という言葉ですが、信用や人徳といった社会的価値に重きを置き、泥を塗って損なうことの決してないようにと心がけてきた人々の思いを浮かび上がらせる言葉でもあります。「毀損」という言葉について考えてみた今回、誠を尽くし必死に生きてきた人々がいてこの言葉があるということに少しだけ思いを馳せてみませんか。

初回公開日:2018年01月30日

記載されている内容は2018年01月30日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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