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伽の読み方/意味/漢字の成立ち・伽は子供の名前に適した漢字か

言葉の読み方

「伽」は梵語の「カ」「ガ」の読み方を表すのに使われました。また、「話し相手になって退屈を慰める」という意味があり、それが転じて現在では「夜の相手をする」という意味で使われています。そのため、人名に用いるには慎重に考えた方がいい漢字です。

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「伽」の読み方

「伽」の読み方

「伽」という漢字を見たことがありますか。あまり普段の生活では使用しない漢字です。主に仏教に関係した熟語などに使われていることが多い漢字です。今回は、この漢字の意味や成り立ちを紹介します。また、子供の名前につけるのに適した漢字かどうかも考えていきます。 一般的に、漢字の読み方を表記する際、音読みはかたかな、訓読みはひらがなで表記します。「伽」には、訓読みに「カ」「ガ」「キャ」、音読みに「とぎ」という四種類の読み方があります。なぜこのように読み方が複数あるのでしょうか。

音読みと訓読み

漢字に、音読みという読み方と訓読みという読み方があると習ったことがあるでしょう。では両者にはどのような違いがあるのでしょうか。 音読みとは、中国の発音をそのままその漢字の読み方として採用した読み方です。「伽」という漢字は、中国では「カ」「ガ」「キャ」と読まれていたのでそのままその読み方が日本に伝わりました。 対して訓読みは、その漢字の意味を日本語に置き換えた時の読み方です。例えば「来」という漢字は、音読みでは「ライ」です。昔の日本人が中国に渡った時に、「来」という漢字は日本語の「くる」という言葉と同じ意味だと学び、「来」の字を日本語として読むときは「く(る)」と読むことにしました。 このように、中国生まれの漢字に、日本語の意味をあてた読み方が訓読みです。

音読みの種類

「伽」の字の音読みには「カ」「ガ」「キャ」という読み方があります。なぜ音読みにも種類があるのでしょうか。 中国は広く、今もたくさんの民族が住み、それぞれの言葉を持っています。時代をさかのぼるにつれその傾向は強くなります。漢字の読み方も、地方によってばらばらでした。また、中国と日本の交流は古くからあります。長い時間の中で、中国国内でも漢字の読み方に変化が生まれました。それが、その時代それぞれの読み方で日本に伝わりました。 現在音読みには、「呉音(ごおん)」「漢音(かんおん)」「唐音(とうおん)」の三種類があります。「呉音」は、主に飛鳥時代までに伝えられた、中国南方系の読み方です。「漢音」は奈良から平安時代にかけて伝えられた、中国北方系の読み方です。「唐音」は鎌倉時代に伝えられた江南地方の読み方です。

「伽」の読み方1 「カ」

「伽」には「カ」という読み方があります。これは奈良から平安時代にかけて伝えられた漢音です。神様や仏様を祭っておく棚を「閼伽棚(あなだな)」などと表記する際などに使われています。

「伽」の読み方2 「ガ」

「伽」には「ガ」という読み方もあります。これは飛鳥時代までに伝わってきた呉音です。お寺の配置図を「伽藍(がらん)」といったり、、修行法の一つを「瑜伽(ゆが。今でいうヨガ)」と言ったりします。主に仏教用語で使われます。

「伽」の読み方3 「キャ」

また、音読みで呉音、漢音、唐音のどれにも当てはまらない慣用的な読み方で「キャ」という読み方があります。「伽羅(きゃら。お香の一種)」という用例があります。

「伽」の読み方4 「とぎ」

「伽」の訓読みとして、「とぎ」という読み方があります。これだけではあまり使われませんが、おとぎ話の「とぎ」はこの漢字を当てます。

「伽」の意味

梵語のカ、ガの音にあてた字

お経はインドの古い言葉である梵語で書かれています。昔の中国では、お経を中国語に訳す際、梵語を無理に中国語にせず、読み方の近い漢字をあててそのまま仏教の言葉として採用しています。 「曼荼羅(マンダラ)」「阿修羅(アシュラ)」などはもともと梵語で、その読みにあう音の漢字をあてました。そのような当て字の一種として、「伽」が「カ」「ガ」の読みにあてられました。「伽陀(カダ)」「僧伽(ソウカ)」などの例があります。

話し相手になること

話し相手になること

「伽」の基本的な意味として、話し相手になるということが挙げられます。歴史物語として有名な『増鏡』では、「ありつる人の帰り来ん程、御伽せんはいかが(さきほどの人が帰ってくるまで、話し相手になるのはどうですか)」という使い方がされています。

退屈を慰めること

退屈を慰めること

話し相手になるという意味から少し広がって、相手の退屈を慰めるという意味もあります。おとぎ話とは、退屈な時間をつぶすための面白いお話という意味です。また、夜伽という言葉もあります。夜のお相手をするという意味です。これも、夜の退屈な時間を慰めるというのが本来的な意味で、いつしか夜の相手をするという意味に変わりました。

病人の看護をする

病人の看護をするという意味も江戸時代くらいの文献には見ることができます。江戸時代の俳人である松尾芭蕉の看病を書いたものに、「其角が今宵のとぎに加はりけるも(其角が今夜の看病に加わったが)」という用例があります。

お通夜の意味

明治期の小説に「明くる日一晩おとぎして(次の日に一晩中お通夜をして)」という用例があります。今までの意味からすると少し飛躍している感じがしますが、「遺族などと一緒にいること」ととらえると、本来の意味である「話し相手になって退屈をまぎらわすこと」にも通じてきます。

「伽」の成り立ちと意味

「伽」のなりたち

「伽」は分解すると「人」と「加」に分けることができます。「加」はさらに「力」と「口」に分解できます。「力」は手で物理的な力を加える様子、「口」は呪文で霊的な力を加える様子を表します。もともとは「人」に何かの影響を「加」えるという意味であったのが転じて、話し相手になる、看病をするという意味になっていきました。 また、中国では主に梵語の「カ」の音を表すのに使われていたため、「伽藍」などの仏教用語に「伽」の話し相手になって退屈を慰めるという意味は関係ありません。

「伽」の意味

「伽」の意味

「伽」は前述したとおり、本来は話し相手になって退屈をなぐさめるという意味を持っていました。しかし、現在ではあまりこのような使われ方はしません。 「伽」の意味で残っている言葉として一番有名な言葉は「おとぎ話」です。退屈な時に聞く面白い話という意味です。現在では子供が読んでもらう不思議な話という意味が強いですが、室町時代に『御伽草子(おとぎぞうし)」という、不思議な面白い話を集めた短編集が発行されています。これは読み手は子供に限りませんでした。 また、今では「伽」は主に「夜伽(よとぎ)」の意味で使われています。夜の相手をするということです。「伽」にはもともとそういった意味はありませんでしたが、「夜」と合わさることでそういった性的な意味も帯びるようになり、今では主にその意味で使われています。

「伽」は子供の名前に適した漢字か

「伽」は子供の名前に適した漢字か

「夜伽」を連想させる

「伽」は子供の名前に付けるのに適した漢字なのでしょうか。 「話し相手になってい、退屈を慰める」という本来の意味から、「人のために尽くす」という意味にとれるため、この意味でこの漢字を名前に入れる人もいます。また仏教用語などで単に「カ」の音を表す漢字なので、問題ないと考える人もいるでしょう。 しかし、この漢字は現代では「夜伽」の意味で使われるため、この意味を連想する人も多くいます。特に女の子の名前にこの漢字をつけることをためらう人もいます。また、この字を名前に持つ方が、成長してこの漢字の意味を知りショックをうけることもあります。

見慣れない漢字

見慣れない漢字

いかがでしたでしょうか。普段はあまり使わない「伽」という漢字について解説してきました。常用漢字外なので、学校でも習いません。見たことがあるとしても、歴史の授業で「○○伽藍」などの形で出てくるので、どのような意味か考えることもあまりありません。 しかし、「おとぎ話」「夜伽」などの形で現在に残っている漢字でもあります。見慣れない漢字でも、意味を調べてみると、意外に現在にも残っている言葉のもとになっていたりします。そのような漢字をほかにも探してみると面白い発見があるでしょう。

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