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「ゆえ」の意味と使い方・漢字と文法の意味・品詞|それゆえ

更新日:2024年01月29日

言葉の意味・例文

「ゆえ」という語を使いこなせていますか?漢字で書くと「故」となり、目にする機会の多い漢字ですが、実際に「~ゆえ」と使うことは思いのほか難しいのではないでしょうか。「ゆえに」や「それゆえ」との違いも含めて「ゆえ」という言葉の使い方を一緒に見てみましょう。

主に古典の文中で用いられ、わけありげなふるまいをすることを表します。

故付く(ゆえづく)

「故立つ」と同様に古典の文中で用いられ、いかにもわけありげで立派な様子を表します。「故付く」には大きく分けて二とおりの意味があり、一つは由緒がありそうで趣がある場合、もう一つは風情があって奥ゆかしい場合に使われます。

故無い(ゆえない)

形容詞「ゆゑなし」から転じた言葉です。この言葉にも二とおりの意味があり、一つは「理由がない」「いわれがない」という意味、もう一つは「縁もゆかりもない」という意味で用いられます。

故ばむ(ゆえばむ)

この語も古典の文中で用いられることが多く、何かわけがありそうにもったいぶる様子を表す時に使われます。

故ぶ(ゆえぶ)

同じく古典の文中で、子細ありそうな様子を表す時に使われています。

故故し(ゆえゆえし)

何かいわれがありそうな様子やいかにも重々しい様子から、「たしなみ深い」「趣があり優れている」「奥ゆかしく品がある」という場合に用いられます。

故由(ゆえよし)

「いわれや由来、わけ」を表す場合と「趣があり奥ゆかしい様子」を表す時に用いられます。 「故」も「由」も共に理由を表す類語であることは既に見てきましたが、「故」は本質的な原因や理由を表すのに対し、「由」は物事のよりどころとしての理由を表すというように、若干のニュアンスの違いがあります。それは、「由」という語が「寄す」という動詞の名詞形から成っていて「寄す」という語自体が「物事の本質に寄せて関係づける」という意味を持つものであるからだと言えます。

さまざまな表現を使いこなしていきましょう

こうして見てくると「ゆえ」という語は、漢字本来の意味の多様性からさまざまな意味や表現方法が見られる語であることがわかります。しかし、どちらかと言えば文語的なイメージが強く、実際辞書に挙げられている文例のほとんどが『徒然草』や『源氏物語』、『宇治拾遺物語』といった古典の文中から抜粋された物です。 「ゆえ」という語にちなんだ「ゆえに」や類似表現の「よって」という語も、やはりどちらかと言えば文語的なイメージが強い言葉と言えますが、実際には数学の証明問題や論文、記事といった論拠を示す文章の中では今でも普通に使われている言葉でもあります。 「ゆえ」のように文語的なイメージの強い語は、使い方が難しいという考え方もありますが、このように語源やいろいろな類語を見ていくとさまざまな表現方法があり、とても奥深いものだと言えます。 「ゆえ」という語を使うことによって、雅やかで上品な言葉遣いと捉えられる場合もあるでしょう。場の状況に応じてさまざまに言い換えることができるように、語彙の引き出しをどんどん増やして一目置かれる社会人を目指しましょう。

初回公開日:2017年12月01日

記載されている内容は2017年12月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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