IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

「ゆえ」の意味と使い方・漢字と文法の意味・品詞|それゆえ

初回公開日:2017年11月30日

更新日:2020年05月14日

記載されている内容は2017年11月30日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

言葉の意味

「ゆえ」という語を使いこなせていますか?漢字で書くと「故」となり、目にする機会の多い漢字ですが、実際に「~ゆえ」と使うことは思いのほか難しいのではないでしょうか。「ゆえに」や「それゆえ」との違いも含めて「ゆえ」という言葉の使い方を一緒に見てみましょう。

「ゆえ」という語の意味と使い方

手紙や文書、最近ではメールといった文面の中で、「ゆえ」という語を目にしたことがありますか?場合によっては時代物のセリフや、由緒ある旧家の方へのインタビューといった文章中で目にすることもあるでしょう。 「ゆえ」は漢字で書くと「故」(「以」もあり)となりますが、漢字自体にさまざまな語義が備わっています。語義の変化に伴って「ゆえ」という語の意味も変わり、また前後の文脈や状況に応じて使われ方も変わります。 ここでは、状況次第で意味が変わってくる「ゆえ」という語について見ていきましょう。

理由・わけ・原因を表す場合

「ゆえ」という語を辞書で引くと初めに挙げられているのが、物事の本質的な原因や理由を表す使い方です。 (例 故あってふるさとを出る) この場合の「ゆえ」は、「ゆえ」の部分を「理由」や「わけ」と言い換えても意味が通じるようになっています。

由緒やいわれを表す場合

次に挙げられているのは、しかるべき由緒や来歴を示す使い方です。 (例「ゆえある遺品」「いかにもゆえありげなさま」) この場合の「ゆえ」は、どこから来たのかということや、どのように伝わってきたかという由来を表しています。

趣や風情・縁を表す場合

また、しっとりした情趣や風情を表したり、縁故やゆかりを表すために使われることもあります。 (例「賤しく小さき家なれどもゆえありて」「さるべきゆえありとも」) 「ゆえ」という語はもともと現代語というよりは文語的に使われることが多く、そうした使われ方の代表的なものとも言えます。

支障・事故・変事を表す場合

また、さしさわりや支障といった非常のできごとを表す場合にも使われます。 (例 ゆえもなく入り給ひにけり) このように見てみると、「ゆえ」という語は状況に応じてさまざまな使われ方があると言えます。

「ゆえ」という漢字の持つ意味と熟語

ここまでは「ゆえ」という語の意味を中心に見てきましたが、次に「ゆえ」という語に相当する漢字について詳しく見てみましょう。

「故」と書く場合

「ゆえ」と聞いて真っ先に思い浮かべる漢字は「故」でしょう。「故」という漢字は「コ/ゆえ」という音訓が常用の読み方となっていますが、漢字辞典で見ていくと他にも「こと、ことさらに、ふるい、もと、もとより、ゆえ(に)、わざ(と)」というように、さまざまな読み方が挙げられています。読み方の違いで意味もさまざまに変化し、いろいろな熟語を形作っています。例えば ・古い、昔のという意味(「故事」) ・元々という意味(「故郷」、「縁故」) ・特別なできごとや災いを表す場合(「事故」、「故障」) ・わざと、ことさらにという意味(「故意」) ・この世にいないことを表す場合(「故人」、「物故」) ・わけ(「何故」) このように、よく目にする熟語だけでもさまざまな意味があることから、「ゆえ」という語が使い方によって変化することは見て取ることができます。

「以」と書く場合も

また、「ゆえ」という語には「以」という漢字を充てる場合もあります。「故」と比べるとやや馴染みが薄く感じられますが、「(助字として)もって、もってする、もちいる、ひきいる、わけ・理由、おもう、~とともにする、~より・から(以上)、はなはだ・すでに」というように、「故」の場合と同様にさまざまな字義を持っています。 助字として使われる場合、主に「手段・方法・材料を表す使い方(~で、~を使って)、理由・条件を示す使い方(~によって、~のために)、接続を示す(そして)」というふうに「故」と共通する部分も多くなっています。

「ゆえ」の類語にはどんなものがあるのか?

ここで「ゆえ」という語の類語について少し見てみましょう。

訳(わけ)

「ゆえ」という語の類語で代表的な語は「訳(わけ)」です。「訳」は、ある自体を生じさせるもっともな背景となる事柄を表す場合に用いられます。 (例 そういう訳で今日は失礼します)

所以(ゆえん)

この語は「ゆえになり」という言葉の転じた「ゆえんなり」という言葉から生じた語であると言われています。物事が成立する十分なわけがある時に用いられます。 (例 不世出の人物と言う所以はここにある)

由(よし)

ある事柄が生じる背景となるようなわけを表す場合に使われます。(例 事の由を述べる)

理由

現代でも馴染みの深い語ですが、ある事態を生じさせるために必然的なことと考えられる根拠を示す場合に使われます。(例 そんなことは理由にならない)

事由(じゆう)

事柄の理由を表す時に使われます。(例 事由のいかんに関わらず途中退出は認めない)

事訳(ことわけ)

ある事柄が生じた背景となるようなわけを表す時に使われます。 (例 辞退した事訳を直接聞きたい)

謂れ(いわれ)

そのように言われる十分な理由を表す時に使われます。(例 非難される謂れはない)

筋合い(すじあい)

ある事態を生じさせる理由があることを示す場合に使われます。 (例 文句を言われる筋合いはない) このように「ゆえ」の類語は他にも数多くあり、それぞれ前後の文脈に応じて使い分けられています。

文法的に見た「ゆえ」という言葉

それでは、次に「ゆえ」という語を文法的に見るとどうなるのか見てみましょう。

「ゆえ」の品詞は?

「ゆえ」という語は、品詞で言えば名詞です。ところが、体言や活用語の連体形などに続く形式名詞として、接続助詞的に用いられる場合も多く見受けられます。(例 未熟者ゆえお許しください) また、こうした使われ方の場合は「ゆえに」という形で用いられることが多く見受けられます。「ゆえに」となった場合の品詞は接続詞です。接続詞「ゆえに」の意味合いは二とおりに分かれ、一つめは原因や理由を順接的に示す「~のため、~だから」という意味、二つめは前のことがらに対して逆説的な原因や理由を表す「~なのに、~であるが」という意味です。 この「ゆえに」という言葉は普段の会話の中ではあまり使われず、自分の考えを一方的に述べる演説や文章の中で用いられることが多くなっています。

「それゆえ」という語の意味と使い方

一方「ゆえ」という語に関連した「それゆえ」という言葉もあります。漢字で書くと「其故」となり、「それゆえ」の品詞は接続詞です。 「ゆえ」の場合と同様「それゆえに」という形で使われる場合も多く、「だから」「そのため」というように、主に前のことがらや事実が原因でその後の状況や結論が導き出される時に使われます。(例 これは単純な問題だとも言える。それゆえに奥が深い。) 「ゆえ」との違いを見てみると、「ゆえ」は前述のように前のことがらを理由とする順接的な意味と、前のことがらに対して全く反対となる逆説的な意味との両方を表すのに対し、「それゆえ」の場合は順接的な意味を表すことが多く、逆説的な意味で使われることはほとんどありません。そうした違いはあるものの、「それゆえ」も「ゆえ」と同様にやや文語的に感じられる表現だと言えます。

古語としての「ゆえ」の使い方

ここで、「ゆえ」という語の古語としての使い方を見てみましょう。 「ゆえ」は古語では「ゆゑ」と書きます。いろいろな事柄の根本的なものを表す語という性質から、現代語の「ゆえ」と同様に「原因・理由、由緒、風情、教養・たしなみ、支障」といったさまざまな意味で使われていることが文献から見て取ることができます。 前後の内容や使われている状況から意味合いを判断するという点では現代語の「ゆえ」とほぼ同じですが、古語の場合は「~ゆゑなむはべりし」というように、後続の語が連体形止めとなる「係り結び」という文法的な約束事が見られる場合もあります。

「ゆえ」を用いたさまざまな表現

では次に「ゆえ」という語が使われている主な表現を順に見てみましょう。

故無し(ゆえなし)としない

理由がないことではない。つまり、それなりの理由があるという時に使われます。

故を以て(ゆえをもって)

前の事柄を理由として後述の事柄が生じるという意味で「そういうわけで」となります。

故有りげ(ことありげ)

何らかの事情がありそうな様子を指し、「故有りげな表情」というように使われます。

故立つ(ゆえだつ)

主に古典の文中で用いられ、わけありげなふるまいをすることを表します。

故付く(ゆえづく)

「故立つ」と同様に古典の文中で用いられ、いかにもわけありげで立派な様子を表します。「故付く」には大きく分けて二とおりの意味があり、一つは由緒がありそうで趣がある場合、もう一つは風情があって奥ゆかしい場合に使われます。

故無い(ゆえない)

形容詞「ゆゑなし」から転じた言葉です。この言葉にも二とおりの意味があり、一つは「理由がない」「いわれがない」という意味、もう一つは「縁もゆかりもない」という意味で用いられます。

故ばむ(ゆえばむ)

この語も古典の文中で用いられることが多く、何かわけがありそうにもったいぶる様子を表す時に使われます。

故ぶ(ゆえぶ)

同じく古典の文中で、子細ありそうな様子を表す時に使われています。

故故し(ゆえゆえし)

何かいわれがありそうな様子やいかにも重々しい様子から、「たしなみ深い」「趣があり優れている」「奥ゆかしく品がある」という場合に用いられます。

故由(ゆえよし)

「いわれや由来、わけ」を表す場合と「趣があり奥ゆかしい様子」を表す時に用いられます。 「故」も「由」も共に理由を表す類語であることは既に見てきましたが、「故」は本質的な原因や理由を表すのに対し、「由」は物事のよりどころとしての理由を表すというように、若干のニュアンスの違いがあります。それは、「由」という語が「寄す」という動詞の名詞形から成っていて「寄す」という語自体が「物事の本質に寄せて関係づける」という意味を持つものであるからだと言えます。

さまざまな表現を使いこなしていきましょう

こうして見てくると「ゆえ」という語は、漢字本来の意味の多様性からさまざまな意味や表現方法が見られる語であることがわかります。しかし、どちらかと言えば文語的なイメージが強く、実際辞書に挙げられている文例のほとんどが『徒然草』や『源氏物語』、『宇治拾遺物語』といった古典の文中から抜粋された物です。 「ゆえ」という語にちなんだ「ゆえに」や類似表現の「よって」という語も、やはりどちらかと言えば文語的なイメージが強い言葉と言えますが、実際には数学の証明問題や論文、記事といった論拠を示す文章の中では今でも普通に使われている言葉でもあります。 「ゆえ」のように文語的なイメージの強い語は、使い方が難しいという考え方もありますが、このように語源やいろいろな類語を見ていくとさまざまな表現方法があり、とても奥深いものだと言えます。 「ゆえ」という語を使うことによって、雅やかで上品な言葉遣いと捉えられる場合もあるでしょう。場の状況に応じてさまざまに言い換えることができるように、語彙の引き出しをどんどん増やして一目置かれる社会人を目指しましょう。

関連タグ

アクセスランキング