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銀行振込での支払いに領収書の発行義務があるか・印紙は必要か

事務

銀行振込で代金を受け取った場合、領収書は発行すべきなのでしょうか。普通、領収書といえば現金手渡しのイメージがつきものです。また収入印紙は貼る必要があるのでしょうか。銀行振込や取引明細のこと、領収書の考え方、印紙税法など関連分野をまとめました。

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銀行振込での支払いには領収書は不要

銀行振込の振込明細書が領収書となる

会社活動での取引成立を記録する書類を「証憑」といいます。この取引とは、外部の会社とのやり取りから内部の指示書までを含む広い概念です。したがって、証憑にはさまざまな書類が含まれます。領収書や請求書、ATMから出る銀行振込の明細も同じ証憑です。「会社のお金が動いた書類」という視点でとらえると分かりやすいでしょう。 相手が銀行振込で料金を払った場合、支払側の手許には明細書が残ります。明細には受取側の会社名や口座番号なども記載されているので、どこにお金を動かしたか充分な証明になります。この観点からいえば、銀行振込で明細が出ているのに追加で領収書を発行する必要はないといえるでしょう。

銀行明細を証憑として見た場合の意味

証憑には会社の経費であることの証明と用途の説明との二つの役割があります。このうち銀行振込の明細は前者のニュアンスです。 たとえば個人事業をしていて、プライベートと仕事の通帳を一緒にしている場合を考えてみましょう。名義の使い分けで経費を区別している場合、通帳の記載だけでは判断ができません。銀行振込の明細は残しておく必要があります。 ただ、明細それだけでは銀行振込した経費がどのような用途だったかが分かりません。そこで説得力を増すために請求書や領収書といった説明資料とセットにすることが求められます。たとえば給与支払の場合であれば、賃金台帳や給料明細などが説明資料にあたります。

そもそも領収書とは

実は身近な証憑類

仕事に限らず、私達の日常には証憑があふれています。たとえばコンビニやスーパーのレシートも証憑です。クレジットカードや電気料金の請求書も証憑です。 証憑を判断する基準とは、領収書や請求書といったフォーマットや体裁ではありません。どこまでを会社活動の経費や取引と判断するかという裁量の問題に過ぎません。銀行振込の明細でも領収書代わりになるというイメージがよりお分かりいただけたでしょうか。

領収書をもらう意味

ここまでの内容を踏まえると、取引の形態を問わず領収書というシステム自体がはもはや不要に思えるでしょう。しかし領収書を作成することは大切です。というのも自分の手許にも控えが残るので、もし問題が起きた場合でも双方で確認ができるからです。 また逆の立場でも、領収書はもらっておいたほうが安全です。たとえば紙ベースで書類を管理している場合、決算などで資料を提出すると一時的に原本が手許にない状態になります。そうしたときに助成金や行政の委託案件の申請時期が重なると、売上や収支関係を証明する資料がなく困ったことになります。

振込人から領収書発行の請求があったら

領収書は発行するのが慣例

「領収書を発行する義務がある」というのは少し正確ではありません。というのも根拠となる民法468条には、支払い(弁済)をした側は受取相手に証明書を請求できる、という旨しか記載されいないからです。また銀行振込という支払方法を「自分と銀行、相手と銀行」という関係性で見た場合、そもそも弁済という概念を適用するかどうか解釈が変わるところがあります。 ただ、普通は銀行振込での代金支払いは相手との直接的な関係とみなされます。言われたらそのまま発行するというスタンスで構わないでしょう。ちなみに事前の取り決めをしておくことで、領収書は銀行振込の明細にかえて再発行しないという取り決めも可能です。

発行の際に注意するべきところ

会社さんの体制によっては領収書の発行がスムーズにいかないこともあります。今回の銀行振込で領収書発行を渋られた場合、担当の方は経費の二重計上を懸念している可能性もあります。 というのも支払いの時点で相手側には手許に銀行振込の明細が存在します。あとは先方で請求書とセットにすれば証憑になるので、内部処理の問題といえなくもありません。当方からの領収書も渡した場合、同じ取引の証憑は二つ存在することになります。 もちろん先に挙げたように助成金や補助金・委託業務などの関係で同じ資料を複数回、提出が必要なケースも考えられます。念のためですが、二重計上を防ぐ方法は次の章で確認していきましょう。

銀行振込での支払いの領収書を書く時のポイント

代金の支払い日を摘要に書いてしまう

そもそもなぜ二重計上が疑われるのでしょう。その原因は銀行振込で代金を受け取った日付と領収書の発行日付が一致していないことにあります。したがって一番確実な方法は、摘要に銀行振込の日付を書き込むことです。 たとえば公民館などのホール施設などの貸し出しの場合は、「施設利用代として(11/12日受取分)」というように書きます。それでも不安な場合は通帳のコピーでも添付しておけばよいでしょう。

領収書に銀行振込で支払いと明記する場合

とはいえ会社間での取引で銀行振込をする場合、代金の受取側つまり領収書の発行側の担当者が書きこむケースは一般的ではありません。請求や支払いを銀行振込で統一している場合もありますし、行政からの委託案件など特殊な事例では項目が指定されているからです。 逆に代金の支払い側、つまり領収書の受取側が領収書に書き込みをすることはありえます。というのも受け取った領収書は自社の内部資料となるからです。とはいえ摘要に書き込むと不正な操作を疑われます。余白であれば問題ありませんので「〇〇日☓☓銀行振込で支払済」のように書いておくと便利です。

5万円以上の領収書には印紙を貼る

所得税法の改正に伴い印紙税の非課税額が増えました。26年4月1日以降に作成された領収書については、5万円以上の場合印紙の添付が必要になります。銀行振込での取引にも適用されます。

領収書に貼る印紙税額種類

200円

5万円以上〜100万円未満の取引の場合に必要になります。

400円

100万円以上〜200万円未満の場合に必要になります。

600円

200万円以上〜300万円未満の場合に必要になります。

1000円

300万円以上〜500万円未満の場合に必要になります。

1000円を超える

これ以降も額面によって印紙の額は変わります。収入印紙の添付額の詳細は国税局のサイトを参考にしてください。また最寄りの税務署で手引きやガイドブックを受け取ることができます。

収入印紙を貼る書類

印紙税の適用基準

印紙税は「金銭又は有価証券の受取書」に適用されます。つまり領収書に限らず、お金を受け取りを証明する書類全般を指します。受取書やレシート、場合によっては請求書にも適用される広い概念です。 収入印紙を貼る基準は2つあり「取引額」と「その書類で取引が成立したかどうか」です。この点、見積書や納品書に添付の必要はありません。

文書の書類

銀行振込と代金受取という観点からは外れますが、収入印紙が必要な書類には契約書も含まれます。契約書内容ごとに課税文書としての種類があり、印紙の添付額も変化します。 代表的な基準としては、不動産(1号)などの「業種」、手形(3号)・株式(4号)などの「形態」で判断するものがあります。ただその一方で2号文書と7号文書のように、「業種」だけでは判断できない難しいものもあります。 そうしたものについては契約書をよく読み、額面の記載や納品のタイミング、継続性などの有無などからケース・バイ・ケースで判断していく必要があります。

電子データでのやり取りの場合

電子データで送る場合

近年、会計業務のクラウドサービスが普及し書類の電子化が進んでいます。こうしたサービスに登録すれば会社の文書関係をオンライン上で作成し、そのままメールで自動送信できるようになります。もしこうしたサービスで領収書を作成・送信した場合、取引が銀行振込か否かに関わらず、収入印紙の添付は必要ないのが現状です。 収入印紙は、課税文書を紙ベースで発行するための手数料という側面があります。原本が電子データの場合、文書の発行料自体がかからないという解釈です。領収書の場合、相手方に送る方を原本となるので、自社の控えとして紙に印刷し保存している分には印紙をはらなくてもよいという解釈が成り立ちます。

証憑で意識すべきステージ

印紙税や領収書を理解するためには、証憑の概念や関連の法律などを体系的に理解する必要があります。それはひいては会社全体の取引やシステムに目を配る意識につながります。事務・経理担当の方であれば、次なるステージへのステップアップにつながりますので、ぜひ勉強してみてください。

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