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想うと思うのそれぞれ違いと正しい使い分け|漢字/憶う/念う

初回公開日:2017年11月16日

更新日:2020年06月30日

記載されている内容は2017年11月16日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。

また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

言葉の使い方

よく間違われる「思う」と「想う」の違いについて、はじめはおおまかに、その後は具体的に例を用いながら説明しました。後半では、まれにみる「憶う」や「念う」の使い方も紹介しました。現代ではあまり使われなくても、文学的にとてもすてきな表現です。

「おもう」

「おもう」
※画像はイメージです
出典: https://www.pakutaso.com

突然ですが、みなさんは何かを「おもった」ことはありますか。もちろんあるはずですが笑、その「おもい」がどんな「おもい」か考えたことはありますか。ご家族や友人、恋人の「おもい」。今回はそんなみなさんの「おもい」を一緒に考えてみましょう。

想うと思うの違いは?

「思う」と「想う」

さて、まっさきに思いつくのは「思う」と「想う」がありますが、何がどう違うのでしょうか。三省堂大辞林で調べてみると次のように書かれています。 「おもい」 ①思うこと。思うところ。考え。思慮。 ②感じること。感じ。経験。 ③予想すること。もくろみ。推量。 ④あれこれ気にかけること。 ⑤気にかけること。心配すること。 ⑥希望すること。願い。 ⑦思いしたうこと。恋すること。恋心。 ⑧恨み。にくみ。 ⑨喪に服すこと。また、その期間。 予想以上にたくさんの「おもい」があるみたいです。では一体どれが「思うこと」でどれが「想うこと」なのでしょうか。 調べを進めていくと、こんな事実がわかりました。思う、とは、頭の中で記憶をたどっていく際に使われるそうです。

特別に「おもう」こと

私たち人間はみんな頭を使って思考するので、裏を返せばすべての「おもう」は「思う」と表せるということです。しかし、その中でも特別な「おもう」が存在します。 それが、「想う」です。想うこと、とは心の中で「おもう」ことなのだそうです。 つまり、AがBである、と事務的に思うことだけでなく、気持ちをこめて心の中で思うことが「想うこと」です。大切な人を「おもう」とき、大切に「おもう」ときには、ぜひ「想う」を使用してみましょう。

思うと想うの漢字で見る違い

思うと想うの大まかな違いは理解できましたので、今度は別の視点からアプローチしてみましょう。たとえば、漢字の成り立ちについて調べてみました。

田・相・心?

思、という漢字をよく見てみると、田と心という二つの部分に分解できます。田はもともと「脳」を表すのだそうです。つまり脳によって心を感じること、が「思う」ことです。これは最初の部分でも言及した人間は思考する生き物、という点がよく表しています。 一方で想、という漢字も二つの部分に分解できます。相と心です。つまり、相手をおもいやることと直結します。やはり、大切な人を「おもう」ときにぴったりの言葉です。

思うと想うの使い分けは?

これまで、思うと想うの一般的な違い、また漢字から見た違いを見てきました。 「思う」 一般的に思考されること。脳で思考すること。 「想う」 大切な人を想うこと。相手のことを想うこと。

使い分けポイント

みなさんは使い分ける際に、どのような点に注目しますか。実は注目すべきポイントは二つあります。それは、おもう対象物と、何をおもうか、です。 まずは、おもう対象物を考えてみましょう。おもう対象物がたとえば大切な人、好きな人の場合は「想う」です。「想う」には相手を大事に想う気持ちがもともと込められているので、対象物に感情移入できない場合はそもそも「想う」ことができないからです。 一方で何をおもうか、について考えてみるとこれも実は単純です。内容を伴っている「おもう」ならば、それは「思う」です。たとえ対象物が大切な人であっても、「綺麗だとおもう」「素敵だとおもう」には、主観的な意見が含まれているので、「思う」を使用するのが正しいです。 逆に言うと、「想う」は中身を伴わない「おもう」には適していません。先ほども書きましたが、「想う」にはもともと相手を想う、の意味を持つので、内容を伴った「おもう」とは矛盾します。 簡単なイメージですが、「思う」は事務的、「想う」は感情的、と覚えるといいでしょう。

思うと想うの正しい使い方

「思う」は事務的で「想う」は感情的だと簡単に紹介しました。このイメージを持って文章を書いていると想像がしやすいでしょう。 たとえば、「わたしはそれが素敵だとおもう」の「おもう」はどちらを使用しますか。「それが素敵」と一般的な見解を述べているので「思う」でしょうか。 では、「わたしは彼が素敵とおもう」の「おもう」はどうでしょうか。おもいを込めているので「想う」でしょうか。迷うところではありますが、正しくは「思う」です。

ほとんどの場合「思う」でOK

「思うと想うの使い分けは?」の部分でもご紹介しましたが、想う、は思うに比べてかなり意味が狭まっています。対象物を想う、と書いた場合それだけで意味が伝わりますが、対象物を思う、書くと何を思ったのか、内容が重視されるようになります。 また、想うの場合は、共にしようされる言葉もほとんど決まっています。「大切に想う」「心から想う」などです。なので、使用頻度で考えると、圧倒的に「思う」ことの方が多いでしょう。

思うと想うの使用例

では、いよいよ実戦です。次に出される例文中の「おもう」が一体どちらなのか考えてみてください。 目が覚めると、日は既に暮れていた。「しまった。寝すぎた」とおもったのも束の間、手元の携帯が鳴った。「彼は絶対に怒っているに違いない」。そうおもって恐る恐る電話に出ると、おもいの外、彼の口調はやさしかった。 「事故にでも遭ったのかとおもった」、彼はそう言って一息ついた。「怒らないの」と聞くと、「それよりもあなたの無事が優先。」と答えた。私は彼にこんなにもおもわれているのだとおもうと胸が熱くなった。 さて、どうでしたか。そんなに難しくないはずです。「おもう」を探す方が難しかったでしょうか。では答え合わせです。 目が覚めると、日は既に暮れていた。「しまった。寝すぎた」と思ったのも束の間、手元の携帯が鳴った。「彼は絶対に怒っているに違いない」。そう思って恐る恐る電話に出ると、思いの外、彼の口調はやさしかった。 「事故にでも遭ったのかと思った」、彼はそう言って一息ついた。「怒らないの」と聞くと、「それよりもあなたの無事が優先。」と答えた。私は彼にこんなにも想われているのだと思うと胸が熱くなった。 最後のが少しひっかけ問題でした。みなさんはすべて正解できましたか。

思うと想うと憶うこと

さて、思うと想うの違いは分かりましたが、なんと人の世にある「おもい」はこれだけではありません。 憶、という字を見たことはありませんか。憶測、などに使われます。実はこの字も「おもい」を表すことができます。 デジタル大辞泉によると、 「1、いろいろなことを思いやる。 2、心にとどめて忘れない。 3、おしはかる」 ことなのだそうです。 つまり憶うこと、とは強く心に刻むことです。そうして強く心に刻まれたことが、また新たな「おもい」を生産することになりますから「おしはかる」という意味もあるのでしょう。またそうして「記憶」していくということです。

思うと想うと憶うの使い分け

さて、思うと想うの使い分けはさほど難しくありませんでしたが、憶う、はどうでしょうか。実は今では億う、という用法はほとんどなされていません。逆に言えば、「憶う」を文中に使用すると一味違った文体になるので、どんどん使ってみましょう。 以下が使用例です。 あの日の出来事を憶う。 故郷の地平線を憶う。 どちらも「忘れないで思う」事柄です。

思うと想うと念うこと

ここまで思う、想う、憶う、をご紹介しましたが、「念う」という表現はご存知ですか。現代ではほとんど見られない使い方のように感じますが、「念う」は「念」という字を訓読みしています。 では「念」とはどのような場面で使用しますか。執念、畏敬の念、念のため、などがあります。これらはすべて強い感情を帯びています。 憎悪の念、というふうに聞くとものすごく強い怨恨を感じます。近年ではほとんど使われない「念う」ですが、強い「念」を表したいときに使ってみると効果的です。

「おもう」こと

さて、これまでいろんな「おもい」を見てきました。いかがだったでしょうか。 思い、想い、憶い、念い、など見慣れない「おもい」もありましたが、どれも深く「おもうこと」につながっています。一度、その言葉が持つ意味を見直してみると、より深く「おもう」ことができるでしょう。

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