IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

ヨハネスブルグの治安が最悪は本当か|危険度・理由・改善は?

更新日:2020年11月17日

おでかけ

南アフリカの都市であるヨハネスブルグの治安は、2010年のサッカーW杯開催地として、日本でも大きな話題となりました。W杯前後でヨハネスブルグの治安に変化はあったのか、ヨハネスブルグの治安が悪化した原因など、ヨハネスブルグの治安についてご紹介します。

エイズの蔓延による厭世観

南アフリカは、国内でのエイズ感染者数が世界最多で、大人の5人に1人が感染者といわれています。仮にHIVウイルスに感染しても、必要な治療を受ければエイズの発症が防げることは最早常識ですが、満足な教育の機会を与えられなかった被差別人種は、そもそもエイズに対する知識を持っていません。 そのため、エイズ患者との無防備な性的接触や性的暴行が繰り返されることで、爆発的に広がり続けています。支援により、治療薬は無料か安価で提供されているものの、副作用から生活に支障を来し治療を断念するケースもあり、成果を発揮するに至ってはいません。彼らに漂う閉塞感、厭世観が、犯罪へと駆り立てていることは想像に難くありません。

治安は回復してきている?

残念ながら、南アフリカ全体の犯罪件数も減少しているとは言えない状況です。このような状況では、治安が回復しているとはとても言えないでしょう。ヨハネスブルグの近隣に住む比較的治安が良い地域の住人でも、ヨハネスブルグにはなるべく近づかないと言います。旅行で訪れるような場合には、必ず現地ガイドを雇うなど安全に配慮する必要があるでしょう。

南アフリカの歴史に影を落とすアパルトヘイト

南アフリカではかつて、白人と黒人やインド系移民などの有色人種の間に、厳然たる差別が存在していました。政府が主導した政策、いわゆるアパルトヘイトです。有色人種は白人居住区への移動を制限され、白人の受け取る給料の何分の1かでこき使われました。十分な教育を与えられることもなく、人種ごとに住む地域も押し込められるように決められていたという歴史があります。 人種の異なる結婚も許されず、レストランやホテル、列車やバスなどの交通機関、映画館や公園、はては公衆トイレに至るまで、白人とそれ以外の人種に分けられていました。1948年から1994年に撤廃されるまで、アパルトヘイトは46年にわたって続きました。

白人居住区がスラム化

1994年にアパルトヘイトが撤廃されると、その反動のようにかつて白人居住区だった地域に、移動を制限されていた有色人種のみならず、南アフリカ周辺の貧困に喘ぐ国からの移民も、仕事を求め集まってくるようになりました。 しかし、ほとんど教育の機会がなかった有色人種が、白人同様の仕事にありつけるわけがありません。次第に仕事にあぶれた者たちが犯罪に手を染め始めます。これを恐れた白人たちはヨハネスブルグ近郊に居を移し、廃墟となったかつての白人居住区に侵入者たちが勝手に住みつき、麻薬や売春などが蔓延る犯罪の温床となっていったと言われています。

特に治安の悪い地区「ヒルブロウ」

アパルトヘイト時代、白人居住区として存在したヒルブロウは、ヨハネスブルグの中でも最も治安が悪い地域として知られています。周辺住民ですら近寄らない方がいいと警告するほどの危険区域です。 そのヒルブロウの中でも特に目立つポンテタワーは、54階建ての高層マンションで、かつては繁栄の象徴でした。しかし、差別政策が撤廃されると、治安の悪化により住民であった白人の代わりにギャングが住みつき、ポンテタワーは麻薬から売春まで、ありとあらゆる犯罪の巣窟へと変貌を遂げてしまいました。あまりの治安の悪さに、ポンテタワーを刑務所として利用する案が出たほどです。

サッカーW杯で心配されたヨハネスブルグの治安

南アフリカが2010年サッカーW杯の開催地として決定すると、世界中の関心が、ヨハネスブルグをはじめとする南アフリカの治安に集まりました。日本国内でも、試合会場付近の治安や、ホテルや空港の治安が当時大きな話題となり、開催直前には連日テレビで特集が組まれるほどでした。大勢のサポーターや観光客の訪れる大会前後で、ヨハネスブルグの治安に変化はあったのでしょうか。

南アフリカ政府の取った治安対策

W杯はかつて、治安への不安から開催地をコロンビアからメキシコに変更したことがあり、南アフリカ大会も治安に対する懸念から、直前まで開催が危ぶまれていました。南アフリカ政府は国の威信をかけ、W杯開催にあたって新型ヘリコプターや無人偵察機の導入をはじめとした安全対策に、およそ160億円もの大金を投入します。ヨハネスブルグ警察は、街中に24時間稼働の監視カメラを設置し、治安の改善に努めました。

W杯開催期間中の犯罪件数

開催前に散々問題視されたヨハネスブルグの治安は、セキュリティーの強化が功を奏し、大会期間中の犯罪件数は、全試合の観戦者数およそ308万人のうち、0.03%にあたる994件に留まりました。スリや置き引き、サポーター同士の小競り合いはありましたが、殺害を伴う凶悪事件は発生しなかったため、警察当局は「この数字は素晴らしいものだ」とのコメントを発表しています。

W杯後の治安は?

在南アフリカ共和国日本国大使館の作成した、「南アフリカ滞在安全の手引き」によると、2017年現在、殺人、殺人未遂、武装強盗、侵入窃盗、暴行などが前回調査時よりも増加しています。W杯のため街中の治安を良くしようとした結果、郊外で犯罪を起こす者が増えたともいいます。 残念ながら、ヨハネスブルグの治安は改善されたとはいえません。しかし、W杯開催期間中に多くのサポーターや観光客がしたように、気を抜かず、常に警戒することで犯罪に巻き込まれる確率を下げることができます。

次のページ:外務省からの情報は?
初回公開日:2017年12月12日

記載されている内容は2017年12月12日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連タグ

アクセスランキング