IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

ヨハネスブルグの治安が最悪は本当か|危険度・理由・改善は?

おでかけ

南アフリカの都市であるヨハネスブルグの治安は、2010年のサッカーW杯開催地として、日本でも大きな話題となりました。W杯前後でヨハネスブルグの治安に変化はあったのか、ヨハネスブルグの治安が悪化した原因など、ヨハネスブルグの治安についてご紹介します。

更新日時:

ヨハネスブルグの治安が悪いって本当?

私たちの暮らす日本は、世界一治安がいいとされています。一部地域を除けば、夜間でも安心して出歩くことができるため、よほど心配性でない限り、わざわざ持ち物を盗まれたり、いきなり殺されることを想定して出かけていくことなどありません。 しかし、世界には信じられないほど危険で、犯罪に巻き込まれることを常に警戒し続けなければならないほど、治安の悪い地域があります。アフリカ大陸の南部に位置する南アフリカの都市、ヨハネスブルグもそのうちの一つです。この記事では、世界一の犯罪都市として名高い、ヨハネスブルグの治安についてご紹介します。

ヨハネスブルグの危険度は?

主な犯罪の年間発生件数(1日当たりの発生件数を( )内に表示)については,以下のとおりです。 ○ 殺人    17,805件(48.8件) ○ 重傷害   182,556件(500.2件) ○ 強盗    129,045件(353.5件) ○ 侵入窃盗  253,716件(695.1件) ○ 車上ねらい 145,358件(398.2件) ○ 薬物関連  256,902件(731.2件) ○ 誘拐     4,252件(11.6件) ○ 性犯罪    53,617件(146.9件)

南アフリカの人口が約5000万人であることを考えると、この犯罪発生件数は驚くばかりです。外務省の危険情報によると、ヨハネスブルグは危険度レベル1「十分注意してください。」の対象になっています。南アフリカで危険度レベル1なのはヨハネスブルグの他、ケープタウン、プレトリア、ダーバンとなっています。ヨハネスブルグは確かに治安が悪いと言えるでしょう。

ヨハネスブルグの治安の悪さを示す具体例

ここで、ヨハネスブルグの治安の悪さを伝えるために、ヨハネスブルグがどれだけ危険かを示す、いくつかの具体的な犯罪例をご紹介します。

赤信号で停まらない!

赤信号で停止するというのは、自動車を運転する人にとっては基本中の基本です。運転する人に限らず、子供でも知っている常識です。しかし、治安の悪いヨハネスブルグでは、赤信号で停止する人はいません。これは決して運転のマナーが悪いわけではなく、赤信号で停止したわずかな隙に、植え込みや建物の陰に隠れ、待ち伏せをしていた強盗に襲われる危険があるからです。 実際に、現地で日本人が自動車で移動中、赤信号で停止した瞬間に助手席の窓ガラスを割られ、荷物を奪われる被害に遭っています。治安の悪いヨハネスブルグでは、赤信号で停止しないことが身を守る手段になっています。

高速道路上で自動車が故障したら終わり

日本でも近年、高速道路上で自動車が不具合を起こし、道路脇に停車したところを後続車に追突されたり、車外に出て撥ねられる事故が報道されています。ヨハネスブルグにおいても、高速道路は危険な場所になっているようなのですが、日本とは事情が異なります。ヨハネスブルグの場合は、赤信号の場合と同じく、そもそも停車すること自体が危険です。 あるケースでは、路肩に停めたところをギャングに襲われ、殺害される結果となりました。走行できる状態であるなら、安全なところまで何としても停車せず走り続けなければなりません。走行中に異変を察知したら、停車する前に救助を要請する必要があります。それが無理なら、最悪の結果も覚悟しなければなりません。

警察官が信用できない

本来であれば、犯罪を取り締まるべき存在が警察官です。しかし日本とは違い、腐敗により犯罪に手を染めている場合があります。特にタンボ空港周辺は悪徳警察官の温床となっており、自動車のスピード違反を取り締まるふりをしてありもしない罪を押し付けてきたり言いがかりをつけてわいろを要求したり、などの犯罪が発生しています。 また、警察官に見せかけたニセ警察官も横行しているため、被害に遭わないためには人を見た目や職業で判断しないことが肝心です。警察官の氏名や所属を確認しましょう。違反チケットを発行するように求めることも効果があります。賄賂を払ってしまうことは、あまりおすすめできません。

なぜヨハネスブルグの治安は悪いのか

アフリカ最大の証券取引所、JSEの所在地であるヨハネスブルグは、決して発展が遅れているわけでもなければ、南アフリカという国自体が貧しいわけでもありません。2017年にアメリカのシンクタンクが発表した、世界128都市をビジネス活動、人的資本など5つの項目から評価した総合的な世界都市ランキングでは、53位にランクインしています。 貧富の差はあるにせよ、観光客のみならず、地元住民ですら命の心配をしなければならない状況は、はっきりいって異常です。なぜ、ヨハネスブルグの治安はこれほど悪化してしまったのでしょうか。

恐ろしいほどの銃社会

銃社会として認知されているアメリカでは、銃を使用した凶悪事件が発生する度に、銃規制が論じられます。しかし、アメリカ以上にヨハネスブルグは深刻な銃社会であり、治安の悪さと銃の存在は切っても切れない関係です。 当然、銃の所持には審査が必要ですが、簡単に合格できる内容であり、また驚くべきことに、銃の入手場所が食料品や日用品を購入するスーパーであることから、誰もが1万円から2万円ほどの金額ですぐに銃を所持することが可能になってしまっています。簡単に銃が手に入るとなれば、よからぬことを企む者が出てくるのも、ごく自然な流れといえるでしょう。

エイズの蔓延による厭世観

南アフリカは、国内でのエイズ感染者数が世界最多で、大人の5人に1人が感染者といわれています。仮にHIVウイルスに感染しても、必要な治療を受ければエイズの発症が防げることは最早常識ですが、満足な教育の機会を与えられなかった被差別人種は、そもそもエイズに対する知識を持っていません。 そのため、エイズ患者との無防備な性的接触や性的暴行が繰り返されることで、爆発的に広がり続けています。支援により、治療薬は無料か安価で提供されているものの、副作用から生活に支障を来し治療を断念するケースもあり、成果を発揮するに至ってはいません。彼らに漂う閉塞感、厭世観が、犯罪へと駆り立てていることは想像に難くありません。

治安は回復してきている?

残念ながら、南アフリカ全体の犯罪件数も減少しているとは言えない状況です。このような状況では、治安が回復しているとはとても言えないでしょう。ヨハネスブルグの近隣に住む比較的治安が良い地域の住人でも、ヨハネスブルグにはなるべく近づかないと言います。旅行で訪れるような場合には、必ず現地ガイドを雇うなど安全に配慮する必要があるでしょう。

南アフリカの歴史に影を落とすアパルトヘイト

南アフリカではかつて、白人と黒人やインド系移民などの有色人種の間に、厳然たる差別が存在していました。政府が主導した政策、いわゆるアパルトヘイトです。有色人種は白人居住区への移動を制限され、白人の受け取る給料の何分の1かでこき使われました。十分な教育を与えられることもなく、人種ごとに住む地域も押し込められるように決められていたという歴史があります。 人種の異なる結婚も許されず、レストランやホテル、列車やバスなどの交通機関、映画館や公園、はては公衆トイレに至るまで、白人とそれ以外の人種に分けられていました。1948年から1994年に撤廃されるまで、アパルトヘイトは46年にわたって続きました。

白人居住区がスラム化

1994年にアパルトヘイトが撤廃されると、その反動のようにかつて白人居住区だった地域に、移動を制限されていた有色人種のみならず、南アフリカ周辺の貧困に喘ぐ国からの移民も、仕事を求め集まってくるようになりました。 しかし、ほとんど教育の機会がなかった有色人種が、白人同様の仕事にありつけるわけがありません。次第に仕事にあぶれた者たちが犯罪に手を染め始めます。これを恐れた白人たちはヨハネスブルグ近郊に居を移し、廃墟となったかつての白人居住区に侵入者たちが勝手に住みつき、麻薬や売春などが蔓延る犯罪の温床となっていったと言われています。

特に治安の悪い地区「ヒルブロウ」

アパルトヘイト時代、白人居住区として存在したヒルブロウは、ヨハネスブルグの中でも最も治安が悪い地域として知られています。周辺住民ですら近寄らない方がいいと警告するほどの危険区域です。 そのヒルブロウの中でも特に目立つポンテタワーは、54階建ての高層マンションで、かつては繁栄の象徴でした。しかし、差別政策が撤廃されると、治安の悪化により住民であった白人の代わりにギャングが住みつき、ポンテタワーは麻薬から売春まで、ありとあらゆる犯罪の巣窟へと変貌を遂げてしまいました。あまりの治安の悪さに、ポンテタワーを刑務所として利用する案が出たほどです。

サッカーW杯で心配されたヨハネスブルグの治安

南アフリカが2010年サッカーW杯の開催地として決定すると、世界中の関心が、ヨハネスブルグをはじめとする南アフリカの治安に集まりました。日本国内でも、試合会場付近の治安や、ホテルや空港の治安が当時大きな話題となり、開催直前には連日テレビで特集が組まれるほどでした。大勢のサポーターや観光客の訪れる大会前後で、ヨハネスブルグの治安に変化はあったのでしょうか。

南アフリカ政府の取った治安対策

W杯はかつて、治安への不安から開催地をコロンビアからメキシコに変更したことがあり、南アフリカ大会も治安に対する懸念から、直前まで開催が危ぶまれていました。南アフリカ政府は国の威信をかけ、W杯開催にあたって新型ヘリコプターや無人偵察機の導入をはじめとした安全対策に、およそ160億円もの大金を投入します。ヨハネスブルグ警察は、街中に24時間稼働の監視カメラを設置し、治安の改善に努めました。

W杯開催期間中の犯罪件数

開催前に散々問題視されたヨハネスブルグの治安は、セキュリティーの強化が功を奏し、大会期間中の犯罪件数は、全試合の観戦者数およそ308万人のうち、0.03%にあたる994件に留まりました。スリや置き引き、サポーター同士の小競り合いはありましたが、殺害を伴う凶悪事件は発生しなかったため、警察当局は「この数字は素晴らしいものだ」とのコメントを発表しています。

W杯後の治安は?

在南アフリカ共和国日本国大使館の作成した、「南アフリカ滞在安全の手引き」によると、2017年現在、殺人、殺人未遂、武装強盗、侵入窃盗、暴行などが前回調査時よりも増加しています。W杯のため街中の治安を良くしようとした結果、郊外で犯罪を起こす者が増えたともいいます。 残念ながら、ヨハネスブルグの治安は改善されたとはいえません。しかし、W杯開催期間中に多くのサポーターや観光客がしたように、気を抜かず、常に警戒することで犯罪に巻き込まれる確率を下げることができます。

外務省からの情報は?

外務省の運営する海外安全ホームページでは、南アフリカおよびヨハネスブルグへの渡航に関する注意喚起は4段階中の1であり、渡航に関する制限などは出されていません。これを低いとみるか高いとみるかは個人の判断によりますが、紛争地域でないのに警告がされるヨハネスブルグの治安状況は、決して良好とはいえないでしょう。 南アフリカへ渡航予定のある方は、上記の外務省のホームページから、渡航先や渡航日程、連絡先を登録しておくことで、有事の際に緊急情報が受け取れ、緊急連絡をしてもらえる「たびレジ」に登録しておくことをおすすめします。

ヨハネスブルグを観光できる?

ヨハネスブルグにはアパルトヘイト博物館や、ソウェト地区のマンデラハウス、スタークフォンテーン洞窟などの観光に人気のスポットがあります。外務省も渡航禁止などの制限を出していないので、観光に行くことはできます。ただ、いつもの海外旅行よりもさらに注意する必要がある、ということは心にとめておいた方がよいでしょう。

ライオンと散歩できる?

一部インターネットで話題になったのが、ヨハネスブルグの街中を闊歩するライオンです。車にじゃれ付き、うろうろと歩くライオンの姿に、世界中が騒然となりました。しかし、これは撮影のために用意されたライオンで、撮影に必要な許可が取られていなかったために、厳重注意を受けることとなりました。 ライオンが街にいる、というのも治安の悪いヨハネスブルグならさもありなん、という感じですが、さすがにそこまでの状況ではないのでしょう。

一度行ったらまた行きたくなる?魅力的なヨハネスブルグ

確かに治安の悪いヨハネスブルグですが、住んだことのある駐在員や、ボランティアで現地の人々と実際に接した人たちは、ヨハネスブルグの魅力の虜となり、口々にまた行きたいと願うといいます。ヨハネスブルグの人々は人懐っこく、優しさにあふれているそうです。ヨハネスブルグの治安の悪さに最も心を痛めているのは、ヨハネスブルグに住む彼ら自身に違いありません。 1994年に差別政策が撤廃されてから、わずか20年と少ししか経っていません。南アフリカという国はまだ、過渡期にあります。彼らを取り巻く問題がひとつひとつ解決され、いつか日本人がこぞって出かける観光地となることを、願ってやみません。

関連タグ

アクセスランキング