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司法書士と行政書士の違い・状況別の選び方・司法書士と行政書士の兼業は可能か

職種研究

法律に則った書類の作成、および提出の代行業である、司法書士と行政書士のそれぞれの業務内容の違いや資格試験内容、年収について受験希望者に即した内容と、実際に起こりうる例に基づき、司法書士と行政書士のどちらを利用すべきかについての解説です。

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司法書士と行政書士の違い

町を歩いているとよく見かける「行政書士○○事務所」や「司法書士○○事務所」などといった文字が記載されている看板などをよく見かけます。このような事務所を構えている司法書士や行政書士とは、一体どんな業務内容の職業なのでしょうか?

資格の違い

司法書士と行政書士は、どちらも○○書士とつくところから、法律に則った書類の作成および提出の代行を主な業務としていますが、実は作成提出できる書類の範囲に違いがあります。 司法書士は、法人登記や不動産登記、供託手続き、裁判訴訟手続き、成年後見人や多重債務の整理などに関連する書類を作成し、その提出先は裁判所や検察庁、法務局など法務省管轄下の機関です。 一方行政書士は、遺言書や財産調査など相続に関するものや、建設業や飲食業などの営業許可申請、自動車登録などの書類を作成し、その提出先は市役所などの自治体や、警察署など総務省管轄下の機関となります。受験資格に制限はありませんが、どちらも年1回実施される「司法書士試験」や「行政書士試験」に合格すれば資格取得となります。 司法書士の場合は、資格試験合格後に研修を受ける必要があります。また、検察事務官や裁判所事務菅の業務を10年以上経験し、法務大臣の認可を得た場合は、無試験で司法書士資格が取得出来ます。行政書士の場合、国家公務員や地方公務員として17~20年以上の行政事務経験のある場合は、無試験で資格を取得することが出来ます。 弁護士、弁理士、税理士、公認会計士の資格を所持している場合も、同様に資格試験の受験をしなくても資格取得となります。なお業務を行いたい場合は、司法書士・行政書士のどちらも全国にある「司法書士会」あるいは「行政書士会」への登録や入会が必要です。

試験の内容、難易度

司法書士試験は、筆記試験と口述試験の2つの形式で行われ、口述試験は筆記試験合格者のみが受験できます。筆記試験の出題範囲は、民法・憲法・商法・民事訴訟法・不動産登記法・等11科目あり、午前午後と併せて5時間の長丁場となります。 回答形式も多肢択一式の選択問題から、実地を想定したものと思われる記述問題まであり、筆記試験の総合点が基準点に達していない場合は不合格となります。尚、この基準点は毎年変わります。 一方の行政書士試験ですが、筆記試験のみが行われ、行政法・民法・地方自治法・憲法・地方自治法等7科目と一般知識(政治経済や社会情勢から文章理解といったあたり)が出題範囲となり、その合格点は満点の60%と司法書士試験に比べると合格の可能性はやや広がります。 一般的に合格するために必要な勉強時間は、司法書士の場合5000時間(2~3年)、行政書士の場合1000時間(半年~1年)とされています。合格率は司法書士試験は2~3%、行政書士試験は5~6%とされています。

収入年収

司法書士の場合、独立開業以外にも企業や、別の司法書士事務所に雇われて従事する勤務司法書士という働き方を選択する方も存在します。但し、司法書士事務所に雇われる場合、給料は月20万円前後というところが多く、実際に勤務する人も給料より経験を積むことに重きを置く傾向が多いです。 独立開業後は更に個人によって差があり、1000万円以上(わずかながら5000万円)という方から、司法書士としての収入だけでは食べていけないのでアルバイトをしながら、という方まで様々です。 行政書士の場合は、企業に雇われて行政書士の仕事をするということはほとんどなく、他の行政書士事務所や法律事務所等に雇われ2~3年間の実務経験を積んでから独立・開業というパターンが殆どです。給料よりも実務経験という考え方は、司法書士同様で、雇われている時は月給20万円前後というのが目安です。 独立開業後の年収は、稼ぐ行政書士で1000万ともいわれていますが、こちらも司法書士同様の個人差があります。いずれの資格の場合も、独立開業してからの個人の営業力であるとか、事務所としての特色や「売り」となる特化した何か等、他の競合事務所と差を付けることや営業力、あるいは安定した顧客の獲得などが必要とされています。

状況別司法書士と行政書士の選び方

離婚

離婚の際の権利や義務に関する書類を作成する場合や、双方が離婚に合意している場合にその同意に基づいて離婚協議書を作る場合などは、行政書士を利用できます。離婚時の権利義務に関する書類の作成や、裁判所への提出書類の作成、登記に関する業務、あるいは紛争でも140万円以下のものまでについては、司法書士への相談が可能となります。 離婚紛争でも140万円を超えるものになる場合は、弁護士の管轄下となりますので、慰謝料を多く勝ち取りたい場合などは弁護士への相談がベストとなります。

相続

一部の業務は、税理士や弁護士が補助出来得る場合がありますが、ほとんどが司法書士の管轄下となります。 司法書士が行う主な相続に関するものとしては、相続される不動産の名義変更、生命保険で完済した場合の抵当権の抹消、銀行口座や証券などの各種財産の継承手続き、遺言書の作成(不動産に関する内容が含まれる場合)や遺言書の確認および遺言の執行といった遺言に関する事、相続手続きといった内容となります。 戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍・住民票と言った書類の取り寄せや遺産分割協議書の作成と言ったことでしたら行政書士への依頼でも対応できますが、そのいずれも司法書士でも出来ることなので、わざわざ別々に依頼する必要もありません。

公正証書

公正証書遺言、特に不動産に絡んだ公正証書遺言書を作成する場合は、司法書士へ依頼した方が確実です。当然ながら、司法書士よりも権限の強い弁護士へ依頼する方がより確実ですが、費用の面や信頼できる人が司法書士だった場合などは、司法書士へ依頼してもいいでしょう。 行政書士は、役所等へ提出する書類の代筆業的なイメージがあるためか、公正証書の依頼先としては不向きとされて来ましたが、最近では、離婚協議書の作成などの依頼内容を追加している事務所も増えてきました。そういった場合も、信頼できる相手が行政書士であるのなら、依頼することも一つの方法です。

内容証明

内容証明郵便については、その内容により変わってきます。内容証明郵便の発送だけで事件の解決が容易な場合や、内容証明郵便を出して先ず相手の出方を伺いたい場合などは、行政書士への依頼で良いでしょう。弁護士に頼むほどのことではない場合などでもいいでしょう。 ただし、行政書士は代理人になれませんし、相手との交渉や裁判手続きは出来ないので、紛争性が高い場合や、内容証明郵便だけでは解決が難しい場合など、相手との交渉や裁判手続きの必要が予想される場合は司法書士へ依頼した方が確実です。

不動産登記

不動産登記の書類は、市役所等に提出する書類にあたるため、行政書士へ依頼するものと思われている方も多いでしょうが、実際には司法書士へ依頼するものになります。正確に言えば、不動産登記の権利部を作成したり、変更したりすることが司法書士の範疇になります。因みに、不動産の登記記録の表題部を作成したり、変更したりするのは土地家屋調査士の範疇になります。

司法書士と行政書士の兼業の可能性について

司法書士と行政書士は、作成する書類やその提出先に違いがあるため、独立開業する場合はダブルスタンダードでの開業を考えているなど、2つの資格を取得する人も多く、実際に看板などに「司法書士 行政書士 ○○事務所」と表記している事務所も少なくありません。 また、先に比較的合格率が高めの行政書士試験をパスしてから、司法書士試験を受験するという考え方の人も少なくありません。独立開業した時に多くの案件に対応できる上に、利用するお客様が1つの事務所に依頼するだけで済むという考え方なのですが、逆に両方の看板を掲げる形になりますので、会費もそれだけ高くなります。 そう考えると、経費を掛けるほど余裕があり、稼げるという計算があれば問題ないでしょう。しかし、本業がわからなくなる、経費の面で問題が生じるといった場合は避けた方が無難でしょう。

まとめ

司法書士と行政書士のそれぞれの業務内容や資格試験の難易度や勉強法、あるいは実際に業務を依頼する場合について記述してきました。これから資格取得を考えている場合は、資格取得がゴールではなく、資格取得してからどうするのかを考え、企業勤めでいくのか独立開業の道を進むのかを考えましょう。 事務所を利用する場合は、どういった内容なのかを踏まえた上で、適切な利用をすることがポイントです。少しでも「難しい案件だな」と感じたら利用することも考えましょう。

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