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音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

更新日:2024年04月17日

自己啓発

音読は脳のどこに効果があるのか、音読することによってどんな効果がもたらされるのかについて紹介しています。そのなかで、日本人と音読のかかわりやデジタル認知症、小学生と音読の話題にもふれてみました。前頭葉の衰えに危機感を覚える人は必見です。

前頭前野をよく働かせることは、人間として生き生きとした生活を送るための基本であることをご説明しました。実はそれを知っておかないと取り返しのつかないことになる落とし穴がわたしたちの身近にはあります。 現代は情報化社会と言われ、IT機器なしには生活が不自由に感じられるほどです。毎日多くの情報に接し、次から次へと身の回りの環境が変化するスピードも速いです。ひょっとしたら、PCやスマホがなかった昔より今のほうが頭脳を使っていると思いこんでいませんか。ところがIT機器を使いこなし生活が便利で楽しく楽になればなるほどわたしたちの脳は活性化しなくなります。

若い人ほど危ない

一時期「ゲーム脳」という言葉がよく聞かれましたが、ゲームに限ったことではありません。スマホでSNSやゲームをやりすぎる生活を続けていると記憶障害や思考力が低下する症状があらわれます。これは「デジタル認知症」と言われます。 前頭前野が働かなくなって認知機能が低下し、ひどくなると幻覚をみたりします。デジタル認知症患者の脳波は、前頭前野の活動が著しく低下している高齢者の認知症患者と同じパターンを示します。 デジタル認知症の怖いところは、本人も周囲も気づかないうちに症状がすすみ、場合によっては本当に認知症になってしまうところです。前頭前野は20歳ごろまで発達を続けます。デジタル認知症はまだ脳の成長段階にある若い人ほど深刻な症状に陥りがちといわれます。ネットに接続できないと不安を感じる人は要注意です。

どんなことをすると前頭前野は活性化するの?

ではどんなことが前頭前野の活性化に効果があるのでしょうか。 前頭前野は無意識な状態では働きません。あまりにも簡単で楽なことをしていても活性化しません。覚醒した状態で少し面倒なことを行っているとき活性化することがわかっています。代表例として、有酸素運動、家事、ワーキングメモリ(作業記憶)を使う作業、そして音読の4つをご紹介します。なかでも音読は老若男女問わず今すぐにはじめられ、しかも短期間のうちに効果があらわれる方法です。

有酸素運動

継続的な有酸素運動は認知症予防の基本中の基本です。MCI(認知症の前段階、軽度認知障害)の人も軽い有酸素運動を1年間続けただけで認知能力が正常まで回復した例が知られています。 ウォーキング、ジョギングなどの軽い有酸素運動をすると血流が良くなることはもちろんのこと、運動後に脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されます。これが脳の神経細胞を増やしたり神経ネットワークの修復を促します。また、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった思考に関わる神経伝達物質の分泌も運動後に促されます。1日20~30分程度、週に3、4日と無理のない範囲で続けます。

家事

家事には前頭前野を活性化させるのに適した要素が数々含まれています。料理、片づけ、掃除、洗濯などの作業は「選択と判断」の連続作業です。手順を考えたり、複数の仕事を同時並行してすすめるために段取りを考えたりします。特に料理では五感も使います。家事が嫌われる原因のひとつは能動的に頭を使って考える必要があるからでしょう。 しかし家事に代表される細かな雑事をひとつひとつこなしていくことで、感情に流されやすい原始的な脳の支配から逃れるための基礎力をつけることができます。

ワーキングメモリを使う作業

ワーキングメモリ(作業記憶)とは、今やっている作業についての記憶を一時保管できる能力です。日常会話や読み書き計算の基礎となる重要な力です。ワーキングメモリが大きいほどたくさん記憶できることになります。 ワーキングメモリを使う作業に、人との会話、トランプの神経衰弱などちょっとした暗記を伴うゲーム、暗算、買い物メモを持たないで行う買い物などがあげられます。ワーキングメモリを使う作業は有酸素運動や次にご説明する音読ほど活性化の効果はないといいます。衰えを予防する程度です。

音読

音読は目で文章を追うだけでなく、口も耳も使います。音読を始めると脳にとっては多くの作業が必要になり、前頭前野をはじめ脳のいろいろな場所で血流量が増え活発に働き始めます。 するとこれまで持っていた情報と新しく入った情報を結び付けるための新しい神経ネットワークが作られ、その結果記憶力が向上したり記憶の出し入れがしやすくなったりします。たった2分間音読するだけで記憶力がアップすることがわかっています。

セロトニンの効果

音読をすると、「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質が脳内で盛んに分泌されるようになります。「セロトニン」は別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、メンタルヘルスの向上に関係の深い物質です。脳内の「セロトニン」には以下の5つの効果があります。 1、興奮しすぎでもなくぼーっとしすぎでもない、脳を最適な覚醒状態に保つ。 2、集中力をアップさせ、平常心を保つ。心の乱れを改善し安定した心理状態にする。 3、自律神経のバランスを整える。 4、痛みの刺激を脳へ伝える際、ある程度調整(抑制)して伝える役割、すなわち鎮痛剤の役割をする。 5、良い姿勢を保つことに影響している(脳でセロトニンが多く分泌されると姿勢がよく保たれ、顔つきもしまってくることが多い)。 脳内で「セロトニン」を分泌するセロトニン神経はとても繊細で、ストレスによってすぐに弱ってしまいます。「セロトニン」の分泌が弱まると、心身共に弱り、生活に支障がでてきます。 「セロトニン」は夜間になると「メラトニン」という物質に変化します。「メラトニン」は入眠作用と熟睡を促す効果があります。夜間にぐっすり眠ることができると、心身の疲れがとれ、気分も明るくなります。つまり、「セロトニン」には間接的に安眠効果があるのです。

音読はコミュニケーション能力をアップさせる

音読の効果として特筆すべき意外な点は、人とのコミュニケーション能力をアップさせる効果があることでしょう。あなたは何と声をかければいいか、何を話してよいかわからないと言葉に迷い、結局人と会話するのをあきらめてしまうことはありませんか。音読は人の社会性をつくっている前頭前野を中心に脳を活性化させます。そのため音読を続けていくと、人と会話するのに必要な能力をアップさせる効果が期待できます。

人としゃべるのが楽しくなる

音読をやり始めると頭の回転が速くなる効果をまず実感します。会話を先回りして考えたり会話のタイミングが理解でき、言葉がパッとでてきます。ここぞという時に気の利いたことが言えるので、「ああいえば良かった」と後悔することが減ります。 音読を繰り返すことは、脳内の神経ネットワークを強くし記憶力を向上させる効果があります。その結果人と会話した内容をよく記憶できます。また、音読によって文章表現がよく頭にはいっているため、語彙力が増えて言葉がすらすら出てくる効果を実感します。長文を書くことへの苦手意識がなくなる効果を実感する人もいます。 人と会話しないとどんどん滑舌が悪くなり、大事な時に言葉を噛んでしまったりして雰囲気を壊してしまうこともあります。しかし毎日音読していると確実に滑舌が良くなる効果があらわれます。相手に聞き取りやすい声で会話がスムーズに運びます。 吃音などが原因で人としゃべることを必要以上に恐れる方がいます。セロトニンには精神を安定させる効果があり、音読でセロトニンの分泌がさかんになることで恐怖心が和らぎます。 また、行動する意欲も湧きます。すると会話する前から怖気づいてあれこれと悩むことがなくなり、人としゃべる勇気が出てきます。レストランで注文することができなかった人が、1、2週間音読を続けただけで苦痛に感じることなく注文できるようになった例もあります。

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初回公開日:2017年10月27日

記載されている内容は2017年10月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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