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音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

自己啓発

音読は脳のどこに効果があるのか、音読することによってどんな効果がもたらされるのかについて紹介しています。そのなかで、日本人と音読のかかわりやデジタル認知症、小学生と音読の話題にもふれてみました。前頭葉の衰えに危機感を覚える人は必見です。

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音読って何?

あなたはこんな自覚症状がありますか。 最近妙に涙もろくなった、覚えが悪くて仕事ができない(勉強ができない)、ピントがずれてるとよく言われる、頑固で融通がきかない、自己中と言われる(我慢ができない)、すぐイライラしたりカッとなって腹が立つ、優柔不断であれこれ悩んでばかり、人とお喋りするのが苦手、名前がパッと出てこない、頭がぼーっとする、集中力が続かない、気が利かないと言われる、やればすぐできることでも面倒になって先延ばししてしまう、人から命令されなければ動かない、ついだらだらと時間をすごしてしまう、SNSに振り回されているけれどやめられない、などです。 こんな症状に悩んでいらっしゃる方、仕方がないとあきらめている方に朗報です。話題の脳トレ「音読」には症状を短期間で劇的に改善する効果があります。そればかりでなく心身の健康増進、学力アップや語学の習得にも大変効果があると音読の有効性が再認識されています。しかも子供からお年寄りまで、誰でも今すぐ始められます。 音読とは、とにかく「書いてあるものを声に出して読む」ことです。ただそれだけで変化が起こります。声をだして読むだけで、なぜ悩みや症状の改善に効果があったり成績アップに効果があるのでしょうか。その理由についてご説明します。また音読の効果的な方法やトラブルシューティングについてもかんたんにご紹介します。

本はもともと音読するものだった?

歴史を振り返ると、音読が実は古くて新しい読書法だということがわかります。 日常、本を読むときは黙って読む、すなわち黙読をします。しかし明治の始め頃まで「本を読むことイコール音読」が普通でした。子供が寺子屋や藩校で背筋を伸ばして音読する様子を何かの絵でご覧になったことがあるでしょう。本は高価で貴重なもの、そして声に出して読まれることが前提でした。古代ローマやギリシアでも、本は高らかに声を上げて読むのが普通のあり方でした。 本の黙読は日本でも外国でも大変珍しく、奇異な目で見られることだったといいます。印刷技術がすすみ本が一般に普及するにしたがって、読み方の主流は音読から黙って静かに読む「黙読」へと大きく転換し今日に至ります。かつては音読に励んでいた日本人ですが、「考える力につながらない」「昔の学習方法」と教育現場では軽視されはじめました。 忘れ去られて久しかった音読ですが、日本ではここ20年ほど前から脳科学によって裏付けられた根拠をもとに「音読は脳を活性化させる効果がある」と再び脚光を浴びています。 脳を活性化させる効果というと高齢者の認知症予防が浮かびますが、そればかりではありません。成績アップに効果がある、英語の習得に効果があると教育界でも音読の効果は再評価され、もはや常識化しつつあります。音読を教育に取り入れることのメリットに気付き、現在多くの小学校が音読教育に積極的です。

音読ブームの火付け役

しかし実はブームになるずっと以前から、音読が語学の習得や暗記の定着、頭脳の開発に効果的なことをわたしたちは日常経験的に、あるいは知識として知っています。小学校の算数で九九を暗記するとき黙って覚えず声に出して覚えます。 トロイ遺跡の発掘で有名な19世紀ドイツの考古学者シュリーマンの有名な著書「古代への情熱」の中に、徹底した音読学習で18か国語をマスターしたことが書かれてあるのを読んだ方は多いでしょう。また、幼いころからタルムードやトーラーといった聖典をひたすら音読しながら覚えこむ習慣のあるユダヤ民族の中から、なぜかノーベル賞受賞者が多く輩出されている事実もよく報道されます。 近年、日本で音読が再認識されるきっかけを作った立役者は東北大学教授の川島隆太です。彼はその著書の中で音読の効果に科学的な根拠を示したため、教育熱心な日本の親たちに支持され爆発的な音読ブームを巻き起こしました。子供用TV番組「にほんごであそぼ」の監修や「声に出して読みたい日本語」で知られる齊藤孝や右脳教育で有名な七田眞も続々と音読関連書籍を出しています。

記憶力がアップするだけじゃない!うれしい音読効果

音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

もし今お手元に新聞か雑誌、本があったら、声に出して数分間読んでみてください。眠気が吹っ飛び、少し頭の中がすっきりした感じになりませんか。音読している時、頭の中では一体何が起こっているのでしょうか。

音読の幅広い効果

声に出して読むと脳の前頭葉にある「前頭前野」と呼ばれる部分を中心に脳全体が活発に働きだすことが、先の川崎隆太教授によって明らかにされました。読書することは脳にとって良いことです。しかし、黙読よりも音読のほうが圧倒的に脳の活動量が増えます。 考え事をしている時、頭の中は活発に動いているかに見えますが、実際はさほど活動していません。多くの情報が流れているTVを見ている時も実はほとんど脳は活動していません。視覚を使うゲームでさえも脳の活動量は音読の3分の1以下です。 音読を毎日続けると、頭の回転が良くなる、コミュニケーション能力が高まる、記憶力が良くなる、不安感やストレスが緩和される、安眠できる、集中力がアップする、行動力が湧いてくる、自制心が働くなどの生活の質を向上させる効果がどんどん出てきます。 前頭前野が活性化されると、なぜこんなに幅広い効果が生まれてくるのでしょうか。

前頭前野とは?

音読によって活性化する場所、大脳の前頭葉「前頭前野」はちょうどわたしたちの額の後ろ側にあります。 脳は大脳、小脳、脳幹と大きく3つに分けられます。大脳は頭蓋骨のすぐ下、脳の一番外側の部分にあたります。人間の大脳は他の動物と比較してとても大きく発達しているのが特徴です。さらに大脳は機能別に「後頭葉」「頭頂葉」「側頭葉」「前頭葉」の4つに分けられます。 大脳と前頭前野を模式図でご紹介します。

前頭前野は、大脳の他の3つの部分が受け取った情報をもとに、感情をコントロールし、論理的な判断を下したり、将来の予測をしたり、行動計画を組み立てたり、それを実行するか否かを決定したり評価したりする仕事をしています。現状を的確に認識して行動をおこす、いわば司令塔の役割を果たしています。オーケストラの指揮者にもたとえられます。 人間を人間らしくしている場所、その人の人格を作ったり社会性を作ったりしている場所とも言い換えられるでしょう。この前頭前野の発達は20歳ごろまで続くと言われます。 また脳の奥深くには恐怖や悲しみ、不安などの情動を起こす扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる部分があります。前頭前野はこの扁桃体の暴走を抑え、際限なくネガティブな感情にとらわれるのを防ぐ役割もしています。

前頭前野が働かないとどうなる?

音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

人を、社会性のある人間らしく行動させようとコントロールするのが前頭前野です。そのための意欲や創造力、自制心も前頭前野から湧きおこってきます。前頭前野がうまく働かないと人間はどうなるでしょうか。 わがままになる、我慢ができない、約束が守れない、同じ行動を繰り返す、集中力がなくなる、自発性がなくなる、人の行動を真似したがる、言葉が出てこない、反社会的になる、人格変化する、協調性がなくなるなど、社会の中で生きていくことが困難になります。 そこまでいかなくても、前頭前野が活発に働かず意欲が低下すると感情的で衝動的な行動に走ったり惰性に流されたりしがちになります。キレる、取り掛かるべき仕事があるのに億劫になってやらない、人から命令されなければ動かない、だらだら時間を過ごす、面倒なことはなるべく人任せにしたくなります。前頭前野がうまく機能しないまま長期間放置すれば、社会的に負のスパイラルに陥っていく危険性が高いです。

デジタル認知症の脅威

前頭前野をよく働かせることは、人間として生き生きとした生活を送るための基本であることをご説明しました。実はそれを知っておかないと取り返しのつかないことになる落とし穴がわたしたちの身近にはあります。 現代は情報化社会と言われ、IT機器なしには生活が不自由に感じられるほどです。毎日多くの情報に接し、次から次へと身の回りの環境が変化するスピードも速いです。ひょっとしたら、PCやスマホがなかった昔より今のほうが頭脳を使っていると思いこんでいませんか。ところがIT機器を使いこなし生活が便利で楽しく楽になればなるほどわたしたちの脳は活性化しなくなります。

若い人ほど危ない

一時期「ゲーム脳」という言葉がよく聞かれましたが、ゲームに限ったことではありません。スマホでSNSやゲームをやりすぎる生活を続けていると記憶障害や思考力が低下する症状があらわれます。これは「デジタル認知症」と言われます。 前頭前野が働かなくなって認知機能が低下し、ひどくなると幻覚をみたりします。デジタル認知症患者の脳波は、前頭前野の活動が著しく低下している高齢者の認知症患者と同じパターンを示します。 デジタル認知症の怖いところは、本人も周囲も気づかないうちに症状がすすみ、場合によっては本当に認知症になってしまうところです。前頭前野は20歳ごろまで発達を続けます。デジタル認知症はまだ脳の成長段階にある若い人ほど深刻な症状に陥りがちといわれます。ネットに接続できないと不安を感じる人は要注意です。

どんなことをすると前頭前野は活性化するの?

ではどんなことが前頭前野の活性化に効果があるのでしょうか。 前頭前野は無意識な状態では働きません。あまりにも簡単で楽なことをしていても活性化しません。覚醒した状態で少し面倒なことを行っているとき活性化することがわかっています。代表例として、有酸素運動、家事、ワーキングメモリ(作業記憶)を使う作業、そして音読の4つをご紹介します。なかでも音読は老若男女問わず今すぐにはじめられ、しかも短期間のうちに効果があらわれる方法です。

有酸素運動

継続的な有酸素運動は認知症予防の基本中の基本です。MCI(認知症の前段階、軽度認知障害)の人も軽い有酸素運動を1年間続けただけで認知能力が正常まで回復した例が知られています。 ウォーキング、ジョギングなどの軽い有酸素運動をすると血流が良くなることはもちろんのこと、運動後に脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されます。これが脳の神経細胞を増やしたり神経ネットワークの修復を促します。また、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった思考に関わる神経伝達物質の分泌も運動後に促されます。1日20~30分程度、週に3、4日と無理のない範囲で続けます。

家事

家事には前頭前野を活性化させるのに適した要素が数々含まれています。料理、片づけ、掃除、洗濯などの作業は「選択と判断」の連続作業です。手順を考えたり、複数の仕事を同時並行してすすめるために段取りを考えたりします。特に料理では五感も使います。家事が嫌われる原因のひとつは能動的に頭を使って考える必要があるからでしょう。 しかし家事に代表される細かな雑事をひとつひとつこなしていくことで、感情に流されやすい原始的な脳の支配から逃れるための基礎力をつけることができます。

ワーキングメモリを使う作業

ワーキングメモリ(作業記憶)とは、今やっている作業についての記憶を一時保管できる能力です。日常会話や読み書き計算の基礎となる重要な力です。ワーキングメモリが大きいほどたくさん記憶できることになります。 ワーキングメモリを使う作業に、人との会話、トランプの神経衰弱などちょっとした暗記を伴うゲーム、暗算、買い物メモを持たないで行う買い物などがあげられます。ワーキングメモリを使う作業は有酸素運動や次にご説明する音読ほど活性化の効果はないといいます。衰えを予防する程度です。

音読

音読は目で文章を追うだけでなく、口も耳も使います。音読を始めると脳にとっては多くの作業が必要になり、前頭前野をはじめ脳のいろいろな場所で血流量が増え活発に働き始めます。 するとこれまで持っていた情報と新しく入った情報を結び付けるための新しい神経ネットワークが作られ、その結果記憶力が向上したり記憶の出し入れがしやすくなったりします。たった2分間音読するだけで記憶力がアップすることがわかっています。

セロトニンの効果

また音読をするとセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が脳内で盛んに分泌されます。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれることもあるほどわたしたちのメンタルヘルスの向上に関係の深い物質です。脳内のセロトニンには以下の5つの効果があります。 ①興奮しすぎでもなくぼーっとしすぎでもない、脳を最適な覚醒状態に保つ。 ②集中力をアップさせ、平常心を保つ。心の乱れを改善し安定した心理状態にする。 ③自律神経のバランスを整える。 ④痛みの刺激を脳へ伝える際、ある程度調整(抑制)して伝える役割、すなわち鎮痛剤の役割をする。 ⑤良い姿勢を保つことに影響している(脳でセロトニンが多く分泌されると姿勢がよく保たれ、顔つきもしまってくることが多い)。 脳内でセロトニンを分泌するセロトニン神経はとても繊細で、ストレスによってすぐ弱ってしまいます。脳内でセロトニンの分泌が弱まると心身共に弱り生活に支障をきたします。また、セロトニンは夜間になるとメラトニンという物質に変化します。 メラトニンには入眠作用と熟睡を促す効果があります。夜間にぐっすり眠ることができると心身の疲れがとれ気分も明るくなります。つまりセロトニンには間接的に安眠効果があります。

音読はコミュニケーション能力をアップさせる

音読の効果として特筆すべき意外な点は、人とのコミュニケーション能力をアップさせる効果があることでしょう。あなたは何と声をかければいいか、何を話してよいかわからないと言葉に迷い、結局人と会話するのをあきらめてしまうことはありませんか。音読は人の社会性をつくっている前頭前野を中心に脳を活性化させます。そのため音読を続けていくと、人と会話するのに必要な能力をアップさせる効果が期待できます。

人としゃべるのが楽しくなる

音読をやり始めると頭の回転が速くなる効果をまず実感します。会話を先回りして考えたり会話のタイミングが理解でき、言葉がパッとでてきます。ここぞという時に気の利いたことが言えるので、「ああいえば良かった」と後悔することが減ります。 音読を繰り返すことは、脳内の神経ネットワークを強くし記憶力を向上させる効果があります。その結果人と会話した内容をよく記憶できます。また、音読によって文章表現がよく頭にはいっているため、語彙力が増えて言葉がすらすら出てくる効果を実感します。長文を書くことへの苦手意識がなくなる効果を実感する人もいます。 人と会話しないとどんどん滑舌が悪くなり、大事な時に言葉を噛んでしまったりして雰囲気を壊してしまうこともあります。しかし毎日音読していると確実に滑舌が良くなる効果があらわれます。相手に聞き取りやすい声で会話がスムーズに運びます。 吃音などが原因で人としゃべることを必要以上に恐れる方がいます。セロトニンには精神を安定させる効果があり、音読でセロトニンの分泌がさかんになることで恐怖心が和らぎます。 また、行動する意欲も湧きます。すると会話する前から怖気づいてあれこれと悩むことがなくなり、人としゃべる勇気が出てきます。レストランで注文することができなかった人が、1、2週間音読を続けただけで苦痛に感じることなく注文できるようになった例もあります。

相乗効果

人と話していると、気分が明るくなったり良いアイデアがどんどん浮かんできたことがありませんか。 人と対面で会話することは多くの人が普段何気なく行っていることですが、実は脳の広い領域を同時に使う複雑な作業です。人の話を聞く、理解する、記憶と経験をもとにじぶんの意見をまとめる、相手に伝える、相手の感情を推測する、という作業をわたしたちは脳の中でほぼ同時に行っています。 それ以外にも相手の表情、身振り手振り、視線、声のトーン、服装、距離感など言語外の情報量を多くうけとり、脳が広範囲で刺激を受け活性化される効果があります。 このように人と直接コミュニケーションすることは脳の活性化に効果があり、さらにもっとすすみ相手との信頼関係が構築されると、お互いリラックスしたストレスフリーな状態となって脳内でセロトニンが分泌されやすくなります。つまり人とコミュニケーションをとることによって脳が活性化し、良い関係を築かれるとお互いの脳を活性化しあう相乗効果が生まれます。

小学生にとって音読の効果とは?

どうやら音読で頭が良くなるのは本当らしい、となれば我が子も音読してほしいと願う親は多いでしょう。小学生が音読に励むと具体的にどんな効果が出てくるのでしょうか。また問題点はないのでしょうか。

なぜ小学生に音読させるの?

音読には記憶力がアップする効果のほかにも意欲や行動力が増してこどもが元気になる効果があります。また勉強が苦手なこどもや落ち着きのないこどもは、音読が上手になっていくと自信をもち精神が安定してきます。 その結果、人の話を集中してよく聞くようになり学級全体の学習態度が向上する効果もあります。現在の日本の小学校では音読を積極的に取り入れています。音読が毎日の宿題となっている小学校もあります。 多くの小学校で音読は国語教育の一環として取り入れられています。それは、国語の学力が他の教科の学力を上げるための基礎となる、つまり国語力が学力の基本だからです。国語力が低下すると、他の教科を理解する能力の低下に直結します。音読によって国語力を上げることは総合的な学力の向上に効果があります。 また、国語の成績の良い子というのはおしなべてすらすら音読をする、それとは逆にとつとつとしか音読できない子は国語の成績が悪い、だからすらすら音読できるようになることは国語の成績をあげるための最低条件だ、という見方の進学塾の講師もいます。

やりかたは?

国語の教科書に載っている文章を繰り返し何十回と声に出して読む練習をするだけで国語の成績アップに効果があります。繰り返し音読するうちに、漢字や文章のいいまわし、どこに何が書かれてあったかまでこどもはすべて覚えてしまいます。文章がすっかり頭にはいっているため精神的に余裕をもって授業にのぞむことができ理解度が高まります。 教科書の文章を音読するだけといっても、声にだしてスラスラ読めないこどもはたくさんいます。そんな時には、一文ずつ練習する方法が効果があります。はじめに大人が読んでやり、そのあとに続いてこどもが同じ文を読みます。一文が長ければ区切って練習します。最初の一文を暗唱して言えるくらい完璧に読めるようになったら、次の一文に進みます。このように少しづつ読める文章を増やしていきます。 読めないこどもにとって読めるようになることは大きな喜びです。親子で根気よく繰り返し、成功体験を積み重ねましょう。

問題点は?

教育のためにこどもに音読をさせる時、気をつけなければならない点があります。国語がどうしても嫌いなこどもには好きな科目の教科書を音読することで良しとするなど、教材に固執せずこどもに応じて臨機応変にやることです。こどもの興味や好奇心、向上心の芽を摘んでしまわないこと、楽しみながらやることが一番大切です。音読がストレスの原因となってしまっては音読の効果どころではありません。

スパルタ式はトラウマを生み逆効果

よく知られた幕末、明治の偉人や文豪をはじめ、日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹も幼少の頃から四書五経などの漢籍を、言葉の意味の理解を伴わない「素読(そどく)」で音読と暗唱を繰り返していました。意味は分からなくても語呂のいいリズム感のある文章は聞いていても心地よく、日本語の感性を育てることにつながります。 意味もわからず覚えてしまった数々の文章でも何年か経つとその意味をはっきりと体得できる瞬間がやってくる、心に刻み込まれた名文は知性や教養の源になるともよく言われます。 しかしこれらの偉人や文豪達の多くが後に、眠い早朝から大人の前で正座をさせられ意味のわからない言葉を大きな声でひたすら音読させられたことを「つらかった」「いやだった」と正直に書き残していることはもっと知られるべきでしょう。こどもにとって、やりたくもないことをひたすら強要されることは苦痛でしかないからです。 かの福沢諭吉は当時、日常生活にすぐに役立たない漢学をこどもに学ばせることへの嫌悪感を示しています。「昔の学習方法」と音読が一時期すたれた原因はこういうところに一因があるのでしょう。

大人にとって音読の効果とは?

音読にはこどもの成績をあげる効果が期待されることをご説明しました。一方、大人にとって音読は生活にどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか。 大人が七夕の短冊に書く願い事ベスト3は①お金や仕事のこと、②健康に関すること、③家族や恋愛のことです。音読が前頭前野を中心に脳全体を活性化する効果のあることをおもいだしていただくと、これら3つに関する願い事に音読が大変効果を発揮することがわかります。 記憶力、集中力、行動力や意欲がアップする効果によって仕事や勉強が効率よく進みます。創造力、発想力アップ効果で斬新なアイデアがひらめき収入が増えることもあるでしょう。自制心が保たれる効果で暴飲暴食にブレーキがかけられます。安眠効果でぐっすり眠ることができるので毎日の疲れやストレスをためることがなくなり朝すっきりと起きられます。 コミュニケーション能力向上効果で家族や仕事仲間、恋人との関係が円満でリラックスしたものとなり、毎日が楽しくなります。 音読によっていきなり夢物語のような奇跡が訪れるかどうかはともかく、なんとなく調子が良くなった、気持ちが若々しくなったと良い感触を感じはじめただけでも生活に張り合いが出てきます。

音読の効果的な方法とは?

音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

音読は目、口、耳と3つの器官を使い脳を活性化しますが、工夫を加えることでさらに音読の効果は高められると言います。そんな方法をご紹介しましょう。

高速音読とは?

音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

高速音読とは、普通の音読よりもはやい速度で読むことです。 ゆっくり読むことは誰にでもできます。速く読むことは脳に負担をかけることです。筋トレと同じで、脳にも負担をかけていかないと発達していきません。脳は限界に挑戦し続けているといつの間にか限界を超えることができますが、挑戦しないままでいればいつまでも限界をこえることはできません。そこでできる限り速いスピードで音読に挑戦するという次のステップが生まれます。 高速音読は、読みながら頭の中でその内容をイメージしながら行います。イメージする訓練を重ねることによって、脳内のワーキングメモリの容量を大きくすることができます。ワーキングメモリが大きくなると頭の回転が速くなります。つまり、イメージしながら高速音読に挑戦し続けるとどんどん頭の回転が速くなる、ということです。 普通の音読で効果が確認されてきたら、高速音読にチャレンジしてみてください。さらに能力アップの効果が期待できます。

歩きながら高速音読

立って高速音読する、歩きながら高速音読するのも脳への負荷が増し音読の効果を高めます。ただし外でやるのは危ないので部屋のなかで行います。

音読に効果的な時間帯は?

音読をするのは朝が一番効果的です。朝音読して脳を活性化させ、セロトニンを分泌させると頭がすっきり冴えた状態になって1日をスタートさせることができます。

音読はどれくらいの期間やれば効果がでるの?

効果の感じられ方は個人差がありますので何分という明確な基準はありませんが、東北大の川島隆太教授によると1日20分程度だそうです。1回やっただけで効果を自覚する人もいます。1、2週間続けるうちに誰でも自覚できるほどの効果が感じられます。効果が自覚できるとさらに続けていく意欲も湧いてくるでしょう。

英語速読に効果がある英語の音読

音読は日本語だけに効果があるわけではありません。考古学者シュリーマンが18か国語をマスターした例があるように、わたしたちが学校で習う英語の習得にも音読は効果を発揮します。 英語の長文問題の読解が苦手な方は多いです。テストで長文が出ると手こずって時間が足らなくなってしまうこともあるでしょう。英語の長文をはやく読めるようになるための近道は英文を徹底して音読することです。しかし、音読のやり方を間違えるといつまでたっても効果はあがりません。なんでもいいから声を出して読めばいい、というわけではないです。

英文速読が苦手な原因

わたしたちが日本語を読むとき、1文ごとにとまって文章の構造を考えながら理解して読むことはしません。しかし英語の文章になると日本語の文章とは語順が違うため、1文ごとに集中して文の構造を考え頭の中で日本語に変換してしまう癖があります。 つまり1文をさっと1回読んだだけでは理解できず、後ろから前に行ったり来たりして考えながら読まないと理解できないので遅くなってしまいます。これが長文の速読が苦手になる原因です。

英語音読の方法

1文ごとにとまっては、あれこれ文法を思いだしながら訳していたのでは非効率です。英語圏の人たちはそんな読み方をしなくても読めます。頭の中を英語圏の人と同じ思考回路にして英文を頭から読んで理解できるようにする訓練、つまり英文を英文のまま理解する訓練に効果的な方法が英語の音読です。英文の音読について専門的で詳しいサイトがありますのでひとつご紹介しましょう。

音読は効果がない?

音読をやりはじめたけれどイマイチ効果が感じられない、そんなときはこんなことを試してみると良いでしょう。

声を大きくしてみる

ある程度はっきりした声のほうが聴覚を刺激して良いでしょう。大きな声で音読するのは疲れますが、多少スピードが落ちてもはっきり聞こえる声で読んだほうが頭に入る場合があります。

体を使いながらやってみる

ユダヤ人は幼いころから聖典を音読し暗唱します。その時に体を折り曲げたり、揺すったり、絶えず体を動かしながら音読しているのをご存知でしょうか。何も知らないと奇妙な光景に見えますが、体を使いながら読むほうが脳の活性化には効果があります。じっと座って音読しているよりも、立ったり歩いたりしながら音読する方法を試してみると効果があらわれる場合があります。

高速音読に挑戦する

大きな声でゆっくり朗々と読み上げていませんか。自分の声に酔っている状態です。せっかく音読していても脳が活性化せずなんの効果も発揮しません。自分の朗読に酔わないよう、脳に負荷をかける高速音読をすると効果があらわれてくるでしょう。

もう少し時間を長くしてみる

人によって音読の効果があらわれるのに最適な時間は異なります。もし20分より短い時間しか行っていなかったらせめて20分まで時間をのばしてやってみましょう。音読は他の方法よりも効果があらわれるのがはやいことが知られています。毎日2、30分程度を1、2週間続ければ必ず効果を実感できる時がきますのであきらめないで続けましょう。

栄養が足りない?

脳も体の一部です。栄養状態が悪いと働きは鈍り、頑張って音読しても効果はあらわれません。極端なダイエットは脳の活動にも影響します。音読すると脳内でセロトニンが分泌されます。セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られます。 トリプトファンはたんぱく質を多く含む食品、肉や魚などに含まれています。通常の食生活をしていれば欠乏することはありません。極端な食生活をせず、バランスの良い食事を心がけましょう。

軽い有酸素運動を続けてみる

音読を続けることが自分に合っていない、と思われる方はぜひ有酸素運動を続けるようにしてください。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は天候や体調にも左右されるため音読をするよりもハードルの高い行為ですが、脳細胞を増やし脳を活性化する効果があることは何十年も前から実証されています。

音読を始めてみましょう!

音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

日本人と音読とのかかわりについて、音読することによって脳の前頭前野が活性化されること、活性化されることでどんな効果があるのかなどについてご説明させていただきました。 そのなかで、IT機器が発達し社会が複雑化するのとは逆行するかのように、人間の脳が退化していく危機にあることも少し感じ取っていただけたでしょう。コミュニケーションツールだったはずのスマホが、脳を怠けさせ、他者と上手にかかわることを難しくしているのはたいへん皮肉なことです。 しかし、音読という手軽に始められる方法で、脳を鍛え退化を食い止められます。毎日できる新聞音読のやりかたをご紹介しますので、今日から音読を始めてみましょう。

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