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音読の効果・音読の効果を高める方法・効果ないは本当か

更新日:2024年10月02日

自己啓発

音読は脳のどこに効果があるのか、音読することによってどんな効果がもたらされるのかについて紹介しています。そのなかで、日本人と音読のかかわりやデジタル認知症、小学生と音読の話題にもふれてみました。前頭葉の衰えに危機感を覚える人は必見です。

音読って何?

あなたはこんな自覚症状がありますか。 最近妙に涙もろくなった、覚えが悪くて仕事ができない(勉強ができない)、ピントがずれてるとよく言われる、頑固で融通がきかない、自己中と言われる(我慢ができない)、すぐイライラしたりカッとなって腹が立つ、優柔不断であれこれ悩んでばかり、人とお喋りするのが苦手、名前がパッと出てこない、頭がぼーっとする、集中力が続かない、気が利かないと言われる、やればすぐできることでも面倒になって先延ばししてしまう、人から命令されなければ動かない、ついだらだらと時間をすごしてしまう、SNSに振り回されているけれどやめられない、などです。 こんな症状に悩んでいらっしゃる方、仕方がないとあきらめている方に朗報です。話題の脳トレ「音読」には症状を短期間で劇的に改善する効果があります。そればかりでなく心身の健康増進、学力アップや語学の習得にも大変効果があると音読の有効性が再認識されています。しかも子供からお年寄りまで、誰でも今すぐ始められます。 音読とは、とにかく「書いてあるものを声に出して読む」ことです。ただそれだけで変化が起こります。声をだして読むだけで、なぜ悩みや症状の改善に効果があったり成績アップに効果があるのでしょうか。その理由についてご説明します。また音読の効果的な方法やトラブルシューティングについてもかんたんにご紹介します。

本はもともと音読するものだった?

歴史を振り返ると、音読が実は古くて新しい読書法だということがわかります。 日常、本を読むときは黙って読む、すなわち黙読をします。しかし明治の始め頃まで「本を読むことイコール音読」が普通でした。子供が寺子屋や藩校で背筋を伸ばして音読する様子を何かの絵でご覧になったことがあるでしょう。本は高価で貴重なもの、そして声に出して読まれることが前提でした。古代ローマやギリシアでも、本は高らかに声を上げて読むのが普通のあり方でした。 本の黙読は日本でも外国でも大変珍しく、奇異な目で見られることだったといいます。印刷技術がすすみ本が一般に普及するにしたがって、読み方の主流は音読から黙って静かに読む「黙読」へと大きく転換し今日に至ります。かつては音読に励んでいた日本人ですが、「考える力につながらない」「昔の学習方法」と教育現場では軽視されはじめました。 忘れ去られて久しかった音読ですが、日本ではここ20年ほど前から脳科学によって裏付けられた根拠をもとに「音読は脳を活性化させる効果がある」と再び脚光を浴びています。 脳を活性化させる効果というと高齢者の認知症予防が浮かびますが、そればかりではありません。成績アップに効果がある、英語の習得に効果があると教育界でも音読の効果は再評価され、もはや常識化しつつあります。音読を教育に取り入れることのメリットに気付き、現在多くの小学校が音読教育に積極的です。

音読ブームの火付け役

しかし実はブームになるずっと以前から、音読が語学の習得や暗記の定着、頭脳の開発に効果的なことをわたしたちは日常経験的に、あるいは知識として知っています。小学校の算数で九九を暗記するとき黙って覚えず声に出して覚えます。 トロイ遺跡の発掘で有名な19世紀ドイツの考古学者シュリーマンの有名な著書「古代への情熱」の中に、徹底した音読学習で18か国語をマスターしたことが書かれてあるのを読んだ方は多いでしょう。また、幼いころからタルムードやトーラーといった聖典をひたすら音読しながら覚えこむ習慣のあるユダヤ民族の中から、なぜかノーベル賞受賞者が多く輩出されている事実もよく報道されます。 近年、日本で音読が再認識されるきっかけを作った立役者は東北大学教授の川島隆太です。彼はその著書の中で音読の効果に科学的な根拠を示したため、教育熱心な日本の親たちに支持され爆発的な音読ブームを巻き起こしました。子供用TV番組「にほんごであそぼ」の監修や「声に出して読みたい日本語」で知られる齊藤孝や右脳教育で有名な七田眞も続々と音読関連書籍を出しています。

記憶力がアップするだけじゃない!うれしい音読効果

もし今お手元に新聞か雑誌、本があったら、声に出して数分間読んでみてください。眠気が吹っ飛び、少し頭の中がすっきりした感じになりませんか。音読している時、頭の中では一体何が起こっているのでしょうか。

音読の幅広い効果

声に出して読むと脳の前頭葉にある「前頭前野」と呼ばれる部分を中心に、脳全体が活発に働きだすことが、川崎隆太教授によって明らかにされました。読書することは脳にとって良いことで、黙読よりも音読のほうが脳の活動量が増えるのです。 考え事をしている時や多くの情報が流れているTVを見ている時は、脳が活発に動いているように見えますが、実際はほとんど活動していません。視覚を使うゲームでさえも脳の活動量は音読の3分の1以下なのです。 音読を毎日続けると、頭の回転が良くなったり、コミュニケーション能力が高まり、記憶力が良くなったりしまう。他にも不安感やストレスが緩和される、安眠できる、集中力がアップする、行動力が出てくる、自制心が働くなどの生活の質を向上させる効果が出てきます。

前頭前野とは?

音読によって活性化する場所、大脳の前頭葉「前頭前野」はちょうどわたしたちの額の後ろ側にあります。 脳は大脳、小脳、脳幹と大きく3つに分けられます。大脳は頭蓋骨のすぐ下、脳の一番外側の部分にあたります。人間の大脳は他の動物と比較してとても大きく発達しているのが特徴です。さらに大脳は機能別に「後頭葉」「頭頂葉」「側頭葉」「前頭葉」の4つに分けられます。 大脳と前頭前野を模式図でご紹介します。

前頭前野は、大脳の他の3つの部分が受け取った情報をもとに、感情をコントロールし、論理的な判断を下したり、将来の予測をしたり、行動計画を組み立てたり、それを実行するか否かを決定したり評価したりする仕事をしています。現状を的確に認識して行動をおこす、いわば司令塔の役割を果たしています。オーケストラの指揮者にもたとえられます。 人間を人間らしくしている場所、その人の人格を作ったり社会性を作ったりしている場所とも言い換えられるでしょう。この前頭前野の発達は20歳ごろまで続くと言われます。 また脳の奥深くには恐怖や悲しみ、不安などの情動を起こす扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる部分があります。前頭前野はこの扁桃体の暴走を抑え、際限なくネガティブな感情にとらわれるのを防ぐ役割もしています。

前頭前野が働かないとどうなる?

人を、社会性のある人間らしく行動させようとコントロールするのが前頭前野です。そのための意欲や創造力、自制心も前頭前野から湧きおこってきます。前頭前野がうまく働かないと人間はどうなるでしょうか。 わがままになる、我慢ができない、約束が守れない、同じ行動を繰り返す、集中力がなくなる、自発性がなくなる、人の行動を真似したがる、言葉が出てこない、反社会的になる、人格変化する、協調性がなくなるなど、社会の中で生きていくことが困難になります。 そこまでいかなくても、前頭前野が活発に働かず意欲が低下すると感情的で衝動的な行動に走ったり惰性に流されたりしがちになります。キレる、取り掛かるべき仕事があるのに億劫になってやらない、人から命令されなければ動かない、だらだら時間を過ごす、面倒なことはなるべく人任せにしたくなります。前頭前野がうまく機能しないまま長期間放置すれば、社会的に負のスパイラルに陥っていく危険性が高いです。

デジタル認知症の脅威

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初回公開日:2017年10月27日

記載されている内容は2017年10月27日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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