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フレックスタイム制とはどんな制度なのか?従業員のメリットを解説

更新日:2024年10月08日

社会人常識

「フレックスタイム制」についてご存じでしょうか。本記事では、フレックスタイム制の概要やフレックスタイム制のある企業で働くことのメリット・デメリットなどについて紹介しています。フレックスタイム制のある企業への就職や導入を考えている場合はぜひご覧ください。

「フレックスタイム制はどんな制度なの?」 「フレックスタイム制のメリットはある?」 フレックスタイム制の内容について詳しくないという人も多いでしょう。 本記事ではフレックスタイム制の概要や導入率、どんな業界で導入されているのか、フレックスタイム制のメリット・デメリットについて紹介しています。 この記事を読むことでフレックスタイム制について詳しくなれるだけでなく、企業選びの際にも役立つでしょう。

フレックスタイム制とはどんな制度なのか?

フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた総労働時間の中で従業員が自分でいつ始業し終業するのか決められる制度のことです。この、あらかじめ定められた総労働時間は、1か月以内の一定期間(清算期間)のことを指します。 企業で働く場合、従来の働き方では多くの人が同じ時間に出社して始業し、同じ時間に終業し退社することが一般的でした。フレックスタイム制では、従業員が自分自身で出社する時間や退社する時間を決めるため、始業時間も終業時間も従業員によってまちまちです。 ただ、フレックスタイム制で従業員に多くの裁量が任されているとは言え、「フレキシブルタイム」や「コアタイム」が設けられている場合もあります。 フレックスタイム制は現代の従業員の価値観に合わせて、2019年4月に法改正が施行されたものです。歴史はまだ浅いですが、現代の従業員の仕事やプライベートに対する価値観と合うことから、徐々に広まってきています。 ここからは、フレックスタイム制の詳しい内容について見て行きましょう。 出典・参照: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入手引き|厚生労働省

フレキシブルタイム

「フレキシブルタイム」は、その時間帯はいつ出社してもいつ退社しても構わない、とされている時間帯のことです。 たとえば、フレックスタイム制を採用している企業で朝の8時~10時までがフレキシブルタイムに定められていた場合、従業員は朝8時~10時までの間であればいつ出社しても構わない、ということになります。 フレキシブルタイムはコアタイムと一緒に運用されることが多いですが、基本的にはフレキシブルタイムのみでの運用も可能です。たとえば朝8時~18時までをフレキシブルタイムとした場合、従業員はその時間帯であればいつでも出社・退社できます。 コアタイムがなくフレキシブルタイムだけの場合、従業員にとってはかなり自由な働き方が可能になるでしょう。 ただし、フレキシブルタイムが極端に短い場合は、フレックスタイム制とは見なされないことがあります。これは、フレキシブルタイムが短すぎて従業員に始業時間や終業時間の裁量がほとんどなく、フレックスタイム制とは言えないと判断されることが理由です。 出典・参照: 1 フレックスタイム制とは|厚生労働省

コアタイム

「コアタイム」は、必ず働いていなければならない時間のことを指します。 フレックスタイム制では始業時間や終業時間、働く時間をいつにするかは従業員の裁量に任されていますが、コアタイムの時間帯には必ず仕事をしている必要があります。 そのため、コアタイムはフレキシブルタイムと一緒に運用されていることが多いです。 たとえば朝8時~10時がフレキシブルタイムで11時~15時までがコアタイム、15時~18時までがフレキシブルタイムになっていた場合は、10時に出社して15時まで働いて退社するという働き方も可能ということです。 フレキシブルタイムのみのフレックスタイム制にしてしまった場合は、従業員と連絡を取り合うのが難しくなってしまう場合があります。ある人は出社しているけれどある人はまだ出社していない、あるいはもう退社してしまった、といったことが起こるためです。 このようなすれ違いを避けるためや、忙しい時間帯には必ず出社していて欲しいといった企業側の事情から、フレキシブルタイムとコアタイムの両方が定められていることが多いでしょう。 出典・参照: 1 フレックスタイム制とは|厚生労働省

総労働時間

フレックスタイム制の「総労働時間」は、従業員との労働契約上により清算期間の中で労働しなければならない、と定められている時間のことです。総労働時間は、所定労働時間とも呼ばれます。 清算期間内の総労働時間は1週間で40時間以内となっており、特例措置対象事業場の場合は44時間です。特例措置対象事業場には、従業員が常時10人未満の商業・映画・演劇業・保健衛生業・接客娯楽業があたります。 そのため、清算期間における週の法定労働時間数は、週40時間以内の場合に清算期間28日で160時間、29日で165.7時間、30日で171.4時間、31日で177.1時間となっています。 清算期間内における総労働時間の決め方には、2つの決め方があります。各清算期間を通じて一律で、1か月160時間というように定める方法と、清算期間中の所定労働日を定めて所定労働日1日あたりで〇時間と定める方法です。 また、フレックスタイム制を導入した企業であっても、時間外労働が発生することもあります。清算期間中に総労働時間を超えて働く必要があった場合は、その総労働時間を超えた時間が時間外労働となります。 出典・参照: フレックスタイム制の適正な導入のために|厚生労働省

精算期間

「清算期間」は、フレックスタイム制で従業員が労働しなければならないと定めた期間のことです。 清算期間は基本的に1か月以内と決まっています。1か月以内であれば何日でも構いませんが、給与計算の関係から1か月単位で運用されていることがほとんどでしょう。 ただ、3ヶ月以内であれば清算期間の延長も可能です。その場合は管轄の労働基準監督署へ「労使協定の届け出」が必要になりますので、注意してください。 清算期間を3か月に延長することは、企業側と従業員側のそれぞれにメリットがあります。 たとえば清算期間を1か月に設定していた場合、その月に時間外労働が発生すれば時間外労働分の割増賃金を従業員に支払わなければなりません。しかし清算期間を3か月に延長していた場合は、3か月平均の法廷労働時間内であれば、割増賃金を支払う必要がなくなります。 また、従来は法廷労働時間に不足があった場合は、欠勤扱いとなっていました。精算期間が3か月であれば他の月に働いた分を不足している月に振り替えられるため、欠勤扱いにはなりません。 出典・参照: フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入手引き|厚生労働省

日本におけるフレックスタイム制の導入率

日本のフレックスタイム制の導入率は、厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査の概況」によると、6.5%となっています。 かなり低い数値のように見えますが、「令和2年就労条件総合調査の概況」では6.1%だったものが1年で6.5%になっているため、増えつつあることが分かるでしょう。 また、全企業を対象とした調査結果では6.5%であるものの、従業員が1,000人以上の企業のフレックスタイム制の導入率は28.7%と、高い導入率となっています。 従業員の数が300人~999人で15.6%、100人~299人では8.7%、30人~99人の企業では4.1%となっていることからも、企業の規模が大きくなればなるほどフレックスタイム制の導入率は高くなるということが分かるでしょう。 出典・参照: 令和3年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

日本でフレックスタイム制を導入している企業が多い業界

日本でフレックスタイム制を導入している企業が多い業界は、政府統計の総合窓口(e-Stat)の「就労条件総合調査(令和2年)」によると、情報通信業の30.0%、金融・保険の14.4%、電気・ガス・熱供給・水道業の14.2%となっています。 情報通信業には、「マスコミ業界」「IT業界」「通信業界」「インターネット業界」などがあたります。これらの業界には、フレックスタイム制を導入しやすい職種が多いことが理由と考えられています。 フレックスタイム制を導入しやすい職種は、たとえば「エンジニア」や「プログラマー」、「デザイナー」や「コンサルタント」、「設計士」などです。 上記職種は単独で仕事を進められる職種でもあるため、フレックスタイム制を導入しやすいのでしょう。 ただし、フレックスタイム制は企業全体で導入しなければならないものではありません。特定の部署ごとに導入していることもあるため、フレックスタイム制の多い業界に就職しても、フレックスタイム制の対象にならない場合もあるでしょう。 フレックスタイム制での勤務を希望する場合は、業界だけでなく職種のことも考えて選ぶ必要があります。 出典・参照: 就労条件総合調査(令和2年)|政府統計の総合窓口(e-Stat)

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初回公開日:2023年05月23日

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