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更新日:2024年06月04日
菓子ほど日本らしさが表れた産業はありません。商品は安くて小さいですが、高い将来性と大きな可能性を秘めています。国内限定のガラパゴス製品のように見えて、世界のどこにでも輸出できるグローバル製品であったりもします。
全日本菓子協会によると、2015年の小売金額をベースとした国内菓子市場は前年比2.5%増の3兆3,339億円でした。
アベノミクス効果の浸透によって国内景気の回復が進んだこと、夏の気温が比較的低温で推移したこと、訪日外国人の増加がインバウンド需要につながったことの3点が堅調に推移したことの要因とされています。
国内市場に占める品目別シェアでは、 1位:チョコレート(構成比15.1%、前年比3.7%増) 2位:和生菓子(構成比14.2%、前年比1.1%増) 3位:スナック菓子(構成比12.9%、前年比1.7%増) 4位:洋生菓子(構成比12.5%、前年比1.2%減) 5位:ビスケット(構成比11.1%、前年比7.5%増) となっています。
これまでは、菓子業界の海外進出と言えば大手が中心でしたが、最近は中堅メーカーの進出も多くなっています。
山芳製菓は2015年以降、主力製品のポテトチップス「わさビーフ」を米国や欧州、台湾で発売しました。わさビーフの売上は年間10億円程度と毎年2ケタの勢いで伸びていますが、売上はそろそろ頭打ちになるとみられています。
海外市場の場合、一度受け入れられれば安定した売上が見込めると言われていますが、さらなる底上げができるかどうかが大きな課題となっています。
訪日外国人によるインバウンド需要が増加していることに間違いはありませんが、訪日外国人といっても、国や宗教等によってニーズは異なります。
たとえば、北海道を訪れる訪日外国人には「北海道」を意識させる商品が受けています。また、イスラム世界から来た観光客に商品を勧めるのであればイスラム教に則った基準をクリアする必要があります。そして、とうぜんですが、この問題は国内だけではなく海外進出にも大きく関係します。
菓子業界の話ではありませんが、香港では即席麺市場の約6割を日清食品の「出前一丁」が占めているとのことです。香港のスーパーの棚には出前一丁が所狭しと並び、麻油味・黒蒜油豬骨湯味・辛辣XO醤海鮮味など、日本では発売されていない味が販売されています。
つまり、マーケティングが大切になります。出前一丁が国や地域の食文化に合わせて味を開発したように、菓子業界もニーズに合わせて対応できるようにならなければいけません。
菓子は年間500品もの新商品が発売されていますが、ヒットして定番となるのはごくわずかです。
定番商品を作るためにも、これまで以上にマーケティングおよび商品開発に取り組まなければいけません。そして、インターネットやSNSを活用して商品販促を行なっていくことも大切です。
長く続く経済不況や消費税率の引き上げにより、消費者は価格に対して敏感になっています。菓子という商品は、生きるために必要な商品ではないということもあるかもしれません。
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