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エントリーシートに「ゼミの研究内容」を書く時の書き方・例文

更新日:2024年04月23日

書類選考・ES

就活の際に、多くの企業がエントリーシートの提出を求めてきますが、その中に、大学のゼミでの研究内容について書かせる欄を設けている企業も多数見受けられます。このような時に、多くの学生は迷ってしまいがちです。

しかし、「就活のエントリーシートとしては少々難しい」と思う採用担当者もいることでしょう。なぜでしょうか。その理由は後でまとめてご紹介しますが、まずは同じテーマについて、エントリーシートの模範解答例をご紹介しましょう。

模範解答例 『私は法学部の刑法研究室で、“道義的責任論と社会的責任論”というテーマをこの3年間研究してきました。この研究テーマは、法学においては非常に意義深く難しいテーマであり、簡単にいえば“法が犯罪者を犯罪者として処罰できるのは、犯罪者の道徳心を非難するからか、それとも反社会性を非難するからか?”という疑問に答えるための研究です。

私は、人を裁くという重い決断を迫られる時に、公平性や一貫性を可能な限り担保するためには、この論争がキーとなるため、ここを深く考えることで、刑法をより深く理解することができると考え、ゼミの研究室内での課題や議論に終始するだけにとどまらず、積極的な情報収集を実施致しました。

ゼミの担当教授にこのテーマの第一人者として、書籍なども出版されている他大学の教授をご紹介頂き、研究室に同じゼミの仲間も誘ってインタビューに伺い、アカデミックな有識者の見解を伺い、法実務に現職で従事していらっしゃる弁護士や検察官の方々もゼミの仲間に紹介してもらい、実務の観点からの見解も伺うことができました。さらに、現職の裁判官はこのテーマをどう考えるのか、という点も把握したいと考え、裁判の傍聴も複数件行い、判例集には掲載されない生の臨場感ある裁定の様子を垣間見ることもできました。

3年間の研究を通して、“一般的にはこう言われている”という常識にとらわれることなく、情報を多面的な観点から収集・分析することで自らの見解を導くことが研究においても、今後の社会人生活の中でも重要なことであること、そして、積極的に仲間と協業し、人に会い、頭だけではなく体をも使ってアクションを起こすことで、よりクリアに物事の本質が見えてくる、ということを学ぶことができました。

近く行われる他大学との共同の論文発表会では、最終的に自分の見解として、道義的責任論を採用した経緯を発表する予定でおりますが、発表会において、他大学の学生とも積極的に意見交換をし、さらに学びを深めていきたいと考えております。』

最初の書き方例と比較して、こちらの方がずっとすっきりと、そして、あなたの人柄や物事に取り組む姿勢がクリアに見えるような気がしませんか?では、エントリーシートでゼミの研究内容を書きなさい、と言われた時の注意点を、この事例にしたがって解説していきましょう。

エントリーシートにゼミの研究内容を書く時の注意点

文字量のバランスを考え、簡潔・明快に書く

エントリーシートの記入欄は予め決まっています。企業にとっては、「こんなに広い欄に何をどうかけばいいの?」とビックリしてしまうほど、「自由記入欄」としてA4一枚レベルの空欄を与えるところもあるようですが、この場合も、記入欄と文字量のバランス、そして、何文字書こうと、可能な限り簡潔でわかりやすく書くことが重要です。

最初の書き方例(悪い例)を改めて振り返ってみて下さい。

「道義的責任論とは、犯罪の行為者が、道義的な規範意識に背いて犯罪を行ったことに対する応報が、刑法の処罰であるという考え方に基づく考え方です。一方、社会的責任論とは、犯罪の行為者の道義的自由意思という概念自体に真っ向から反する主張であり・・・」としています。

このテーマを徹底的に研究しているあなたが書いているので、全て正しいことなのでしょう。しかし、学術的で難解な専門用語が多いうえに、このテーマが何かについて説明するパートが全体の5~6割を占めていることが分かり、やや冗長です。採用側は刑法の専門家ではないので、この部分の正しさは判断できませんし、採用側が知りたい情報ではありません。

エントリーシートにゼミの研究内容を書くときに、多くの就活性がついついやってしまうことは、自分がいかにその分野のスペシャリストであるかを知らない間にアピール材料としてしまい、肝心のアピールポイントが薄くなってしまうことです。

この事例では、応募する企業が法律事務所であるとか、それか、職種が法務であるなどのスペシフィックな事情がなければ、深い法学の知見があることはそれほど重要なことではないのです。

一方で、模範解答例の書き方では、この部分が抑えられ、かつ、「簡単にいえば“法が犯罪者を犯罪者として処罰できるのは、犯罪者の道徳心を非難するからか、それとも反社会性を非難するからか?”という疑問に答えるための研究」のように、初心者にとっても可能な限り簡潔で分かりやすく研究テーマを要約しています。

社会人になり、企業で仕事をしていく中では、情報を的確に頭の中で整理し、そしてアウトプットに表していくというプロセスが仕事の出来を大きく左右します。その意味で、難解で専門家にしか分からないように見える事柄を、素人にも分かるように整理して、平易な言葉で表現できれば、研究内容のところで十分エントリーシート内で仕事能力のポテンシャルをアピールしていけるでしょう。

アクションと成果の因果関係を明確に書く

この事例の中では、あなたが研究テーマを追究するにあたり、自分自身の考えで有識者にインタビューをして情報を収集した、というアクションが書かれていますが、この部分こそがエントリーシートにおけるアピールポイントです。

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