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更新日:2024年06月29日
労働集約型の産業とはどういったものでしょうか。社会情勢や経済環境の変化に伴い産業の構造はどのように変わっていくのでしょうか。かつては中心だった労働集約型からの脱却をいかに進めていくかがこれからの働き方を考える上でとても重要になってきます。
目次
サービス業の中でも特に飲食業は労働集約的です。日本のサービスに対する考え方もその要因の一つです。とにかく完璧なサービスの提供を目指す日本人にとっては、行き届いたサービスのためにはある程度の人員をかける必要が生じるのです。 料理の提供で客を待たせないためにスタッフを配置する必要があります。厨房のみならずホールでも常に余裕を持った人員配置が求められます。 サービスは無料という客側の考えも、こうした飲食業の過剰な人員配置の原因の一つです。ゆったりと食事を楽しむという感覚も必要だといえるでしょう。
介護業界はまず、法律上受け入れ人数に対して配置をしなければならない人員というものが定められています。そのため完全な機械化・無人化というのは限界があります。 また人を扱う仕事ということもあり、どうしても一定数の労働力が必要とされます。受け入れる介護者の数を増やそうと思ったらその分の人手が必要になります。
タクシー1台につき1組の客を運びますので、より多くの顧客を得ようと考えた場合はその分タクシー台数を増やさなければなりません。物理的な拘束があることがタクシー業界が労働集約型から抜け出せない要因になっています。 今後方向が同じ複数組の顧客を乗せる相乗りなどの工夫で1台で多くの客を運べるようにしていくことも考えられます。また自動運転の技術が本格的に実用化されれば資本集約型への転換がなされることも考えられます。
インターネットにより人々の生活は大きく変わりました。ネット通販で家にいながらにして買い物ができるようになったことは非常に生活を便利にしました。しかしその分モノの輸送が増えました。これらのモノを運ぶ方法については、飛行機や列車などを利用すれば一度に大量に運べます。しかしこのような方法はコストがかかるため、トラックによる物流がいまもメインです。 かつては稼ぎが良いため人も集めることができましたが、昨今では低賃金であることが多く労働集約型ではあるものの人集めに苦労している現状があります。
物流センターには大量の荷物がひっきりなしに運び込まれます。そのため物流センターは24時間体制で荷物をさばいています。当然多くの人手が必要とされます。荷下ろし、仕分け、積み込みなどセクションごとに人員が配置されています。 物流センターも機械化により省力化を行なっていますが、まだまだ労働集約的な面が色濃く残っています。そのため常に大量に募集採用をおこなっています。今後も完全にオートメーション化されるのではなく労働集約型の産業として存在していくと考えられています。
労働集約型の産業には雇用を大量に生み出すというメリットがあります。また単純労働であることがほとんどなので、経験のない人間でも雇用されることができます。しかし反面デメリットもあります。
多くの労働者を必要とすることから、収益に対する労務比率はどうしても高くなります。人を大量に確保する必要があるため、必然的に一人当たりに支払われる賃金は低いものになります。 日本の労働環境では最低賃金は上昇を続けていますので、人件費をどのように吸収するかは労働集約型産業の今後の大きな課題となっています。また低賃金で、かつ重労働であることが多いため募集をかけても思うように人が集まらないという悩みもあります。
人海戦術という言葉に代表されるように労働集約型では効率性が後回しになっている現状があります。人をたくさん投入すればするほど作業が早く終わるというのが労働集約型における効率化の意味です。 そのため効率化とはいかに人を集めるか、ということにとらわれるきらいがあります。大規模に資本を投入して設備投資ができれば効率化への道筋も見えますが、そうでない中規模以下の会社にとっては設備投資して長期的に回収を考えるよりは目先の人海戦術による効率化に目がいくのも仕方のない面があります。
一つの製品やサービスを生み出すのにかかる工数や人数はどうしても資本集約型に比べて多くなります。そのため生産性という点については低いのが労働集約型産業の特徴です。 どれだけの労力でどれだけ生産できたかというよりは、長時間の拘束の結果一定の生産ができれば良いという面があることは否めません。 生産効率を上げるよりは絶対的な生産数をあげることが利益につながるといった産業構造だともいえるでしょう。
記載されている内容は2018年02月08日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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