「且つ」の読み方・意味と類語・使い方・「及び」との違い

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「且」は訓読みで「か(つ)」、音読みで「ショ」あるいは「ソ」と読みます。「且」と言う漢字は、同じ物を幾つか重ね合わせた様子から生まれた象形文字です。物が重なる意味を持つことから、「且つ」は二つの文節を接続する副詞や接続詞として用いられます。

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「且つ」には大きく分けて２つの意味があります。それぞれの意味と同義語について解説します。

「且つ」は、二つの行為や事柄が並行して行われることを表す副詞です。下に挙げた例文のような使い方をします。 1.昨日は大いに酒を飲み且つ騒いだ。 2.チームの勝利を望み且つ信じる。 例文1と2は、それぞれ「飲むと騒ぐ」「望むと信じる」といった行為や事柄が並行して行われていることを意味しています。これらの文は、下のように二つの文章に置き換えて表現することもできます。 1’.「昨日は大いに酒を飲んだ」+「昨日は騒いだ」 2’.「チームの勝利を望んでいる」+「チームの勝利を信じている」 １’も２’も前後の文章は互いに内容が矛盾せず、同時に成立します。「且つ」で２つの文章をつなぐことで、同時に成り立つ二つの事柄を一つの文章にまとめていることがわかります。

「且つ」の類義語に「一方では」という接続詞があります。どちらも二つの行為や事柄が並行してあるいは同時に行われていることを表していますが、若干意味合いが違います。「且つ」で接続される二つの文節の内容が互いに並立しているのに対して、「一方では」は「～する反面××である」という逆接的な意味でも使われます。例えば、下の例文のような使い方です。 a．チームの勝利を願う一方では、負けるのではないかという不安が拭えない。 aの例文の前半の文節は「「且つ」の意味その1」で挙げた例文2と全く同じ内容ですが、後半の文節の内容は正反対です。aの例文で使われている「一方では」を「且つ」に置き換えると文章として成り立たなくなってしまいます。

反面、「一方では」と「且つ」どちらを使用しても違和感のない内容の文章もあります。 ｂ．よく笑う一方でよく泣く赤ちゃんだ。 ｃ．一方では学び、その一方で遊ぶ。 例文ｂとｃの「一方では」を「且つ」に置き換えてみます。 ｂ’．よく笑い且つよく泣く赤ちゃんだ。 ｃ’．且つ学び、且つ遊ぶ。 ａの例文とは違い、「一方では」と「且つ」のどちらを使っても違和感なく文章が成立しています。前後の文節の内容が並立する場合には「且つ」と「一方では」のどちらを使っても大丈夫ですが、内容が逆接的な意味を持つ場合には「且つ」は使えないことを覚えておきましょう。

接続詞としての「且つ」は、ある事柄にほかの事柄が加わることを意味します。この意味で使われている「且つ」の例文を二つ挙げます。 3．正確に作業し、且つ時間内に仕事を終えねばならない。 4．狭く且つ険しい道を進む。 3の例文では、「正確に作業しなければならない」という事柄に加えて「時間内に仕事を終えねばならない」という事柄を接続する意味で「且つ」が使われています。4の例文でも同様に、「狭い」という形容詞に加えて「険しい」という形容詞を接続するために「且つ」が使われています。

「それに加えて」という接続詞は、「且つ」の類義語です。やはりある事柄にほかの事柄が加わることを意味しています。「それに加えて」を使った例文を挙げます。 d．正確に作業する必要があり、それに加えて時間内に仕事を終えねばならない。 e．この道は狭く、それに加えて険しい。 例文ｄとｅはそれぞれ、「それに加えて」を「且つ」に置き換えても文章が成り立ちます。

同じく「且つ」の類義語に、「同時に」があります。「且つ」が接続する文節の内容が、同時に行われる二つの事柄を表す時には、「且つ」を「同時に」と言い換えても文章が成り立ちます。例えば、以下のような「且つ」の使い方をする場合です。 5．海は深く且つ広い。 6．素材の強靱さは長所であり且つ加工がしにくいという点で短所でもある。 例文5と6は、それぞれ「且つ」を「同時に」と言い換えても文章が成り立ちます。