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更新日:2024年08月12日
「あいわかった」という言葉を聞いたことがありますか?「あい」じゃなくて「はい」じゃないの?と思った方は、その認識を誰かに披露する前にぜひこの記事をご覧ください。今回は「あいわかった」の意味や言葉の歴史についてご紹介いたします。
目次
候文(そうろうぶん)は、鎌倉時代に確立された文章の形式の一つで、後に文語文として使われました。文語文とは、文章を書くときに用いられる話し言葉ではない書き方のことです。平安時代から鎌倉時代までは話し言葉として、私的な手紙などの文章に使われていましたが、江戸時代になってからは公的な場や書簡などに用いられるようになりました。 候文の特徴として有名なのは、文末に「候」とつけることです。これは元々「さぶらふ」という動詞で、「伺う」や「お仕えする」という意味です。これが転じて謙譲語となり、「あります」や「おります」の丁寧語で「ございます」という意味でも使われていました。 候文にはいくつかの特殊な言葉が使われますが、その中に「相」の字が見られます。
相成候 相成り候 なります、なりました 丁寧語 相成申候 相成り申し候 なります、なりました 謙譲語
左から、候文、読み方、意味、種別です。どちらも「なる」や「なった」の丁寧語と謙譲語です。動詞の前に使われているのがさかります。
可相成候 相成るべく候 なるでしょう 丁寧語 相願候 願い候 願います 丁寧語
また、こちらは「なるでしょう」といった予感や、「願います」といった願望の丁寧語です。これらも動詞の前に「相」が使われています。 この他にも、「確かに弁える」または「確かに弁償(返済)する」という意味の「相弁候(あいわきまえそうろう)」や「しっかりと軍勢を集める」または「しっかりと執り行う」という意味の「相催候(あいうながしそうろう)」という言葉がありますが、いずれも動詞の前に置かれることで語調を整えたり、意味を強調させるために使われています。 候文はこのようにして主に武士階級の者が使っていましたが、時が経ってまた平安時代のような私的な文章への使用が、第二次大戦が終わる頃まで続きました。戦時中は家族や知り合いへの手紙を候文で書いていました。
候文の形式自体は文語ですが、そこに使われる言葉は武士の間の共通言語として使われました。堅苦しい語感が武士の権威を表し、そして威厳を醸し出すのに一役買っていました。そして「あい」は江戸時代よりも昔の言葉ですが、武士の言葉として取り入れられました。 「あいわかった」の「あい」はサムライ言葉だと言えますが、「わかった」はとくにサムライ言葉とは言いません。サムライ言葉にすると「わかり申した」が適切です。よって「あいわかり申した」とするとより完璧なサムライ言葉になります。
「あいわかった」は実際にどうのように使うのでしょう。実例をご紹介いたします。
「すまぬ、あいわかった」は謝罪や労いと感謝を表現しています。「すまない、よくわかった」という意味です。
「あいわかった、お任せあれ」は頼まれごとを了承した際に使います。「よくわかった、任せてくれ」という意味です。
「あいわかった、良きに計らえ」は報告に納得して、都合よく処理しておくように指示する際に使います。「よくわかった、いいように処理しておいてくれ」という意味です。
「あい」は「あいわかった」の他にもあらゆる動詞の前に付けることができます。その中から代表的なものをご紹介いたします。
記載されている内容は2017年11月29日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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