IT人材のためのキャリアライフスタイルマガジン

ビジネスでの「思われます」の正しい使い方|存じますとの使い分け

更新日:2024年08月29日

敬語表現

相手に何かを伝えるときに「~だと思われます」という言い方をしたことは誰でもあると思いますが、実際にこの「思われます」という言葉の正しい使い方を知っているでしょうか。ここでは、ビジネスシーンで使う正しい「思われます」の使い方について、ご紹介します。

「思われます」の動詞である「思う」は、敬語にすると以下のようになります。 ◆丁寧語…思います ◆尊敬語:相手をたてる表現…思われる、お思いになる、思し召す(おぼしめす→文語表現で今ではほとんど使いません) ◆謙譲語:自分がへりくだる表現…存ずる、存じ上げる 「思われます」は、動詞「思う」の尊敬語に「ます」をつけた丁寧な表現でもあります。

思われます以外の思うの敬語

「思われます」を使う時には、敬語のように丁寧な表現で自分の考えを伝えたいがために使うことがほとんどです。自分の考えを目上の人に丁寧に伝えたい時の敬語は、話し手は「思う」の尊敬語の「思われます」のつもりで使いますが、受け手は「思う」+助動詞「れる」の自発活用と混同されて誤解が生まれることもあります。それゆえに、特にビジネスシーンでは、自分の考えを伝えたい時の「思う」の敬語は、謙譲語=自分がへりくだり相手を高める表現「存ずる」に丁寧語の「ます」をつけた「存じます」にするのがスマートです。

「存じます」が適切な理由

「存じます」であれば、「思う」の敬語なので動作の主は話し手であるのがはっきりしていて、自分の発言に責任を持っている印象になります。ビジネスでのコミュニケーションスキルのひとつとして、I(アイ)メッセージという考えがあります。I=自分を主語にした表現、「私は~だと思います」「私は~と考えます」「私は~と感じます」などを積極的に使うコミュニケーションです。 主語をはっきりさせることで、その発言の責任のありかもはっきりして相手の心にメッセージの内容が伝わります。また、はっきりとした意思表示は、論議の場面でも有効な手法です。日本語独特のぼやけた表現は、ビジネスシーンには向いていないこともあります。社会人として発言に責任を持つのは当たり前のことですし、自発の意味で「思われます」を使っただけで意図はなかったとしても、言葉で責任を持つ覚悟を表現しなければ、できていないと同じことになってしまいます。

「存じます」との使い分け

思われますではなく、存じます

自分の考えを丁寧に伝える場合には、「思われます」ではなく「存じます」とするのがビジネスシーンでは適切です。先に挙げた例文は、以下のように言い換えることができます。 ×:こちらの苦情は、明らかにお客様ご自身の間違いなので、お詫びをするべきではないと思われます。 ↓ 〇:こちらの苦情は、明らかにお客様ご自身の間違いなので、お詫びをするべきではないと存じます。 主語をはっきりさせて責任ある発言をすることに重きを置くのであえば、「~と思います」「~と考えます」などでも充分に丁寧な表現でビジネスシーンでも通用します。 〇:こちらの苦情は、明らかにお客様ご自身の間違いなので、お詫びをするべきではないと思います。

他の「存じます」の例文

・ご親切に指導いただき、身に余る光栄と存じます。 ・この度のお心遣い、まことにありがたく存じます。 ・大変不躾かとは存じますが、ご検討いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

尋ねる時の敬語表現で思われますを使う

ビジネスメールなどの文章でも会話でも、「思われます」を使うのに適切な場面があります。それは、相手に尋ねる場合です。「どう思われますか?」は、動詞「思う」に助動詞「れる」、動作の主は相手になるので、この場合には「尊敬」の意味合いで使っていて、ビジネスシーンでも適切です。 ・こちらについて、○○様はどう思われますか? ・課長はどう思われますか?

自分の考えは「~と存じます」で伝え、「どう思われますか?」と尋ねる

日本語は、様々な国の言葉の中でも、表現の多様性があることで知られています。しかし、その多様性が誤解を生んでしまう可能性もあります。ビジネスシーンでは、小さな誤解が大きなトラブルのきっかけになったり、信頼関係が壊れてしまうこともあります。「思われます」は頻繁に耳にするので、あまり考えずに使っている人も多いはずです。しかし、ひとつの言葉に4つの意味がある、実は注意が必要な言葉でありながら、基本的な日本語です。基本的な言葉遣いが当たり前のビジネスシーンで、恥ずかしい間違いをしないように語彙力を鍛えましょう。

初回公開日:2017年05月01日

記載されている内容は2017年05月01日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

関連タグ

アクセスランキング