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ビジネスでの「思われます」の正しい使い方|存じますとの使い分け

更新日:2024年03月14日

敬語表現

相手に何かを伝えるときに「~だと思われます」という言い方をしたことは誰でもあると思いますが、実際にこの「思われます」という言葉の正しい使い方を知っているでしょうか。ここでは、ビジネスシーンで使う正しい「思われます」の使い方について、ご紹介します。

「思われます」の構造

思われますは『思う』の活用形

「思われます」は、動詞「思う」の活用形です。分解すると、「思う」の未然形である「思わ」に、受け身の助動詞である「れる」、丁寧な表現の「ます」がついた言葉です。

助動詞『れる』の意味

助動詞は、動詞などさまざまな語の後ろについて、その語とセットとして述語をつくります。打ち消しや過去、可能や未来など、助動詞はセットになった語のもともとの意味に別な意味を付け加える働きがあります。ひとつの助動詞が2つ以上の意味をもつ場合も少なくなく、助動詞はセットになる語とともに、文脈により助動詞が付け加える意味の解釈が変わることがほとんどです。

「思われる」の4つの使い方例文

「思われる」の助動詞「れる」自体には、「受身」「尊敬」「可能」「自発」と4つもの意味があります。 「れる」の4つの意味の違いがわかるように、「思う」+「れる」=「思われる」の形で例文にします。 ◆「受身」…他人の動作を受けること ・部下から厳しい上司だと思われる。 ◆「尊敬」…他人の動作をたてて敬う ・社長はこちらの案がいいと思われました。 ◆「可能」…~することができるの意味 ・今ならまだ間に合うと思われる。 ◆「自発」…話し手の動作が自然とおきること ・これを見ると、子供の頃のことが思われる。

ビジネスで思われますを使う場合

ビジネスシーンで気をつけたい使い方

ビジネスシーンでは、特に気をつけたい「思われます」の使い方があります。 例えば、 「こちらの苦情は、明らかにお客様ご自身の間違いなので、お詫びをするべきではないと思われます。」この場合の「思われます」は、「思う」の未然形「思わ」に、助動詞の「れる」、丁寧な表現の「ます」が続いており、助動詞「れる」は先述の4つ目の意味『自発』=自然にそうなるとの意味で使われています。

「思われます」の自発の意味と印象

助動詞の自発の用法は、日本独特の言葉の使い方です。「思われます」は、実際に自分の中に自然と思う、思った心象を表現しています。しかし、動詞「思う」に助動詞「れる」の意味を付け加える用法なので、「思う」のが誰なのかがはっきり示されていません。話し手は、「お詫びをするべきではないと(私は)思う」と個人的な主観に基づいたしっかりした意見を持っているのが「~べきではない」との表現からわかります。しかし、「お詫びをするべきではないと思われます」と言い換えることによって、「一般的に考えれば」「誰がどう考えてもと」と、客観的な意見を基に結果を出したように語られています。意図的か、無意識なのかまでは判断できませんが、動作の主をぼかしていると言えます。 聞き手にとっては、回りくどい言い方で自己保身をしている=逃げの印象が残ります。もしくは、自然とそうなるとの自発の意味から、「一般的にはそうなので、~して当然!」という断定と言い切りの印象を受ける人もいて、聞き手によっては失礼にあたる場合もあります。

思われますの使い方の注意

ビジネスシーンにおいて、「思われます」を自発の意味で使う時には、話し手の動作に対して使うと、先の例のように無責任な印象を免れないので、基本的に自然現象に対して使うのみにするのが無難でしょう。 ・明日は雨になると思われます。 ・これだけの雨量だと、川が氾濫する危険があると思われます。 自分の動作に対して「思われます」を使う場合には、「思う」に至った根拠を示して、そこから結論、結果を出したと言い添えれば問題や誤解がないでしょう。

敬語

思われますは「思う」の尊敬語でもある

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初回公開日:2017年05月01日

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