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更新日:2024年11月19日
残業は会社によって色々なシステムがとられていますが、従業員が申請して管理職が承認するという手順が多いと思われます。申請は申請書やメール、イントラネットなどが使われていますが、記録に残すということも大切なことです。残業に関わるその他の事項も含めて紹介します。
目次
残業というと、一般的に会社の決められた就業時間を超えて働くことを言いますね。ただ会社にいたというだけでは必要な条件を満たしません。会社が認める業務の遂行を伴うものでなければなりません。
残業に関わる法律の基本になるものが労働基準法です。労働基準法では、「労働者を1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて働かせてはならない。」と定めています。これを「法定労働時間」といいます。 この法定労働時間を超えて働くことが、労働基準法上の残業ということになって、会社は従業員に残業代を支払わなければなりません。 これに対して、会社が契約や就業規則で定めた労働時間を「所定労働時間」といいます。それでは「朝9時から夕方5時まで働いて、休憩時間が1時間」と定められた会社で、朝9時から、夕方6時まで働いた場合はどうなるでしょうか?所定労働時間は休憩時間を除くので7時間です。1時間多く仕事をしたのですから実際に働いたのは8時間になります。 この場合、法定労働時間1日8時間を超えていませんから、労働基準法での残業にはならないので会社は残業代を支払う義務は法的にはありません。法的に残業代を支払う義務がなくても、会社は就業規則の残業適用条件と照らし合わせて残業代支払いの判断をします。なかには、支払わないという会社があるかもしれませんが、そのこと自体は違法ではありません。
残業するときの手続きなどは会社によって様々だと思います。特に手続きとか許可などは必要なく好きなだけ残業ができる会社もあれば、事前に所属長、管理職に申請して許可が必要だったり、所属長の命令があったときだけ残業できるなど、色々な会社があると思います。
長時間の残業は健康的にも注意が必要で、過労死などの問題も話題になりました。「労働者を1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて働かせてはならない。」と労働基準法では定めていますが、これでは会社の運営に支障をきたしてしまうこともありますので、労働基準法では第36条に「会社は、臨時的に仕事が忙しい事態に対応する必要がある。」と、残業などについての例外条項が設けられています。 この第36条の規定によって、会社と従業員の労使の間で時間外労働・休日労働協定を締結し、労働基準監督署に届けることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日における休日労働、いわゆる残業を認めています。この労働協定のことを「36協定(サブロク協定)」と言います。労働基準法の36条に定められた協定なのでサブロク協定と言われています。
36協定で定める労働時間の延長の限度などについての基準が「時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)」です。 一般の労働者の場合、以下の限度時間を超えないものとされています。 1週間 15時間 2週間 27時間 4週間 43時間 1か月 45時間 2か月 81時間 3か月 120時間 1年間 360時間 さらに、この限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き36協定」を結ぶことによって、限度時間を超える時間を延長時間とすることはできます。 また、この限度時間が適用されない事業・業務もあります。 ・工作物の建設等の事業 ・自動車の運転の業務 ・新技術、新商品等の研究開発の業務 ・厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務 これらのことも就業規則などに反映されるべきものでしょう。
36協定のほかに、会社が従業員に残業させるためには就業規則が必要になります。就業規則はその会社で働く従業員たちが守らなければならない規則が定められているものです。そのなかに、残業についての規定が定められていなければなりません。「会社は業務上の都合により、労使協定の範囲内で、時間外労働を命じることがある。」のように、36協定の位置づけや申請や命令、承認の手順などが定められます。
労使間での36協定が締結されていない状態で残業させた場合には、法律違反になりますので罰則があります。「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。金額的には大きいものではないと思われるかもしれませんが、違法残業発覚ということになれば、対象者に対して過去2年間分の残業代を支払わなければなりませんし、制裁の意味で付加金を支払わなければならない場合もあります。 大企業の場合であれば、何億という金額になることもあるでしょうし、中小企業には経営の危機につながる金額になることもありえます。それとは別に、違法の事実が新聞などで報道されたりすれば、会社の信用がなくなり大きなイメージダウンにつながります。企業活動に重大な影響を与えることにもなりかねず、お金よりも大切なものを失うことになるかもしれません。
会社の残業に関する手続きなどは就業規則に定められていますが、多くの会社では所属長の命令の他は、残業の申請、承認という手順をとっていると思われます。残業を申請し、承認する方式での手順や問題点などをみてみましょう。
残業の申請書の書式にはいろいろあるでしょうが、残業の業務内容や予定する残業時間の記載欄は必須でしょう。業務内容は、それが会社が認める業務なのかの判断になりますし、予定する残業時間は36協定で定める労働時間などと照らし合わせる材料になります。 申請欄には申請者本人と係長などの確認欄があり、承認欄には所属長の課長や部長などの管理職欄が並びます。承認の決済が課長なのか部長なのかなどは、その会社の規定によりますが、時間数や休日出勤の場合などにより上級の管理職の承認が求められるでしょう。また、係単位、課単位で一覧表のような書式で申請することも多いように思われます。夕方近くになると職場内での残業情報の整理や申告、申請が始まります。 残業の申請は、通常は就業時間の何時間前までとかの規則が定められています。2時間前ぐらいまででしょうか。この期限に間に合わなかった場合でも、業務の停滞を回避するためのメールなどでの申請や、事後承認などの手立てが多くの場合残されているものと思います。
残業というのは所属長、上司の指示、命令で行なうというのが、本来の形態だったのかもしれません。業務の内容やその達成すべき使命を把握しているのは会社の中枢に近い管理職ですから、それらの業務の進捗管理は管理職の重要な役割です。所属長など上司からの適切な残業指示、命令は、一般の従業員にも理解、納得できるものが多いのではないでしょうか。 所属長、上司からの指示、命令で残業を行なう場合も、残業の申請書は必ず提出することを忘れないようにしましょう。このような書類、記録が、労働基準法などの法律を順守していることの証明にもなりますし、正当な残業時間申請の記録にもなります。
記載されている内容は2017年04月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。
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