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更新日:2024年05月27日
2016年は、映画業界にとってエポックメイキングとも言える1年になりました。
このマルチユース市場が、毎年少しずつですが拡大しています。2008年のマルチユース率(市場規模における第2ウィンドウ以降の収益の割合)は18.9%でしたが、2012年には20.3%になっています。
ロケ地を観光資源として広くPRすることによって、観光客の誘致を図ろうとする動きが盛んになっています。
これは、2003年の「観光立国行動計画」のなかで、「観光立国」と「1地域1観光」に向けて、地域の魅力あるコンテンツを生み出す活動の振興とその活用が掲げられたことに端を発しています。
映画の製作者に地域のロケ情報を流したり、ロケの実施を支援する組織として、フィルムコミッションを設立する地域も増えています。そして、シネマツーリズムという、映画やアニメの舞台となったロケ地や、原作の舞台をめぐる旅も活発化しています。
映画業界は、1960年以降、長期にわたって低迷が続き、斜陽産業と呼ばれていましたが、現在では経営革新も進み、産業全体として復調の兆しを見せています。
とくに、1つの施設に複数のスクリーンを有するシネマコンプレックス(シネコン)の普及とともに映画の公開本数が増えたことが大きな要因となっています。シネコンの数は、2001年には1100館前後だったのが2015年には約2900館にまで増加し、公開本数も800本弱から約1200本と数字を伸ばしています。
興行収入もそれにともない、2010年に2207億円となるなど、戦後で最大のピークを迎えました。2011年は震災の影響もあり数字を落としましたが、その後は緩やかながらも上昇曲線を描き、2014年には興行収入が2070億円となって4年ぶりに2000億円台を超えました。
近年の映画業界は、製作委員会方式が採用されることが多いと前述しましたが、実際の現場では、映画会社やテレビ局、広告代理店を頂点に、その下に数多くの下請け会社がピラミッド状に組織されて制作が進行します。
ただし、製作委員会方式でも予算には限界があるので、下請け会社にとっては厳しい経営状態になることが多いようです。そのため、ゲーム業界といった他産業への人材流失や、制作拠点の海外移転なども続いています。
映画業界としてさらなる市場規模拡大のためには、人材を確保しながら、人材を育成していくシステム作りが急務と言えるでしょう。
国が人材育成や資金提供などで支援を強化してきた背景には、日本のアニメが海外から高い評価を受けて、その市場が拡大したことがあります。
ただし、そのアニメ業界でも、これまでは日本の下請け的な役割を担っていた韓国が、国を挙げてアニメ産業の振興を打ち出すなど、国際競争がより激しくなっています。
日本のアニメプロダクションでも、これまでの下請け依存を改めて、制作工程を一貫して自社内で管理し、高品質な作品を作ろうとする会社も出てくるようになりましたが、ビジネスとして確立することが難しく、大きな流れとはなっていないのが現状です。
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