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【業界研究】パン業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年10月07日

業界・企業研究

成城石井が2016年の食のキーワードとして取り上げたのが「さらなる健康志向」というフレーズでしたが、消費者にとっても2016年はまさにそうした意識が定着した1年になりました。

パン業界においては老舗ともいえる浅野屋が、シンガポールに海外店「ブランジェ浅野屋」を開業しています。

店内で調理したパン約60種類を提供しており、日本で人気となっている量り売りパン「軽井沢ブレッド」はグリーンティ、ブルーベリー、レーズンの3種類が用意されています。また、イートインコーナーも設けており、コーヒーなどの飲み物の他、スープやサラダなどの軽食メニューも揃っています。

現在、シンガポールの「ブランジェ浅野屋」は3店舗に拡大し、今後はシンガポール向けに開発した商品をさらに取り扱っていくとのことです。

市場動向

国内パン市場規模

矢野経済研究所によると、2014年の国内パン市場規模は、前年比0.2%増の1兆4,042億円でした。市場の3割を占める菓子パンは同1.4%減の4,492億円でした。一方、食パンは同4.0%増の2,855億円でした。

パン業界全体での、高価格帯商品の開発・発売が市場拡大につながったものと考えられています。

業界の課題

原料原産地表示問題

加工食品で使われている原料の原産地表示が義務付けられていますが、日本パン工業会は、中間加工品である小麦粉の原料原産地表示は実行不可能であることを、農林水産省をはじめ各方面に訴えてきました。

結果、小麦粉等の中間加工原材料は米国産であっても製造が国内であれば「国内製造」等の製造地表示をすることで決定し、日本パン工業会の訴えが認められた形となりました。

工場ではどこの小麦粉を使っているかを完全に把握できないため、今回はこの現実的な決定になりましたが、今後は、消費者に誤解がないようにパン業界全体で原産地表示の対応をしていかなくてはなりません。

TPPの行方

2015年10月に12ヶ国による交渉が大筋合意に達した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が振り出しに戻りました。

トランプ次期大統領(当時)は2016年11月に、オバマ政権が推進したTPPについて、「就任初日に離脱を通告する」と明言。そして、2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に正式に就任した直後にホワイトハウスのホームページで公式にTPPからの離脱を表明しました。

第45代大統領は、日米自由貿易協定(FTA)など2国間での通商協定を目指す可能性を示してはいるものの、これにより、大筋合意した関税撤廃はゼロに戻り、輸入小麦の動向は不透明なものとなりました。

パン業界としても、依然として先の見えない状態が続いています。

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