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【業界研究】靴業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年11月11日

業界・企業研究

近年、靴における消費者のニーズは大きく変わりつつあります。TPOにより靴を履き替える習慣が定着し、ファッション性に加えて機能美も求められるようになりました。そして、健康ブームを反映して、スポーツシューズやランニングシューズも売上を伸ばしています。

また、スーツのカジュアル化にともない、ビジネスシューズの色も多色化されました。さらには、女性用に外反母趾対応の靴も出回っており、外反母趾に悩む女性に支持を集めているようです。

このような、デザイン性を重視しながら、履き心地や通気性などの機能を改善しようとする取り組みは、紳士靴、婦人靴、子供靴ともに見られる傾向です。

市場動向

靴・履物小売市場は1兆4,040億円

2014年度の国内靴・履物小売市場は前年度比2.1%増の1兆4,040億円となり、3期連続の増加となりました。スポーツシューズが好調なことが靴業界の市場拡大の主な要因で、依然としてスニーカーブームが続いていること、訪日外国人客も積極的にスニーカーを購入していることが挙げられます。

靴の年間支出金額

総務省「家計調査年報」によると、履物の1世帯当たりの年間支出金額は1万7,355円で、前年比1.1%の減少となりました。小売市場が増加しているのに対して、1世帯当たりの消費が減少している背景には、訪日外国人による国内産ブランドシューズの購入が影響していると考えられています。

業界の課題

エービーシー・マートの残業問題

東京労働局は、2014年に労働基準法違反容疑でエービーシー・マートを書類送検しました。これは同社が、労使協定で定めた上限を超える残業を従業員にさせたためです。

賃金は適正に払われていたとのことですが、人材を確保するのは靴業界だけではなく、どの業界も難しくなっているようです。同社では、労務管理システムを改良して定められた残業時間の遵守に取り組んでいます。

コストの上昇

靴の生産はそのほとんどを中国等のアジアで行なっていますが、生産国での牛革の使用増加や、アメリカでの肉食減少による牛革不足などで、牛革のコストが上昇しています。

また、安価とされていたアジア各国の人件費においても高騰していることから、靴の仕入原価が上昇しています。

靴小売店の苦戦続く

現在、靴小売業は大きな曲がり角に立たされています。大型チェーン店の進出による上位集中傾向、インターネットでの販売の増加、低価格店の台頭もあり、従来の履物店の経営は非常に厳しいものになっています。

今後は、シューズショップのイメージアップを図るとともに、既存店舗の見直しや、不採算店舗の再構築が必要となるでしょう。

業界の今後の将来性

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