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更新日:2024年07月10日
オフィス文具市場での企業の経費削減、またはデジタル機器の普及による紙離れといった不況のなか、アイデア勝負の新商品をたくさん送り出して市場を切り開き、健闘を続けてきたのが文具業界です。
文具業界はもともと、ヨーロッパを中心に海外開拓が進んでいる業界です。とくに人気が高いのが筆記具で、「フリクション」のパイロットは売上の海外比率が65%、「ジェットストリーム」の三菱鉛筆も同46.5%と、両社とも海外での売上が大きくなっています。
コクヨはアジア各地に合弁会社や現地法人を立ち上げ、新興国市場での業績を拡大しようとしています。
2014年度の国内文具・事務用品の市場規模は前年比0.6%減の4,662億円となりました。オフィス文具市場における企業の経費削減がマイナス成長の要因とされていますが、パーソナルユーズでは筆記具を中心に販売が好調で、縮小傾向の市場に持ち直しの兆しを見せています。
経済産業省「繊維生活用品統計」から主な筆記具の売上をみてみると、鉛筆が前年比15.0%増、シャープペンシルが同16.9%増、ボールペンが同4.3%増、マーキングペンが同10.2%増と、筆記具の主力商品はすべてプラスとなっており、筆記具市場は今後も伸びていくと予測されています。
企業の経費節減により、オフィス文具市場は縮小しています。文具は経費削減のターゲットになりやすいことと、IT化で筆記具を使う機会が減っていることが大きな要因となっています。
ただし、そうはいっても、文具はビジネスの必需品であり、一定消費量が確実に見込まれる分野でもあるので、文具業界としてはそろそろ打開策を見つけなくてはなりません。
文具市場全体が伸び悩んでいる背景には、人口縮小やデジタル機器の普及といった問題がありますが、文具業界はいまだその解決策を見つけることができていません。
もちろん、国内市場が飽和しているのであれば、海外での事業を拡大すればいいというのは正論です。アジアを中心とした新興国市場というものも確かに存在していますし、新興国市場規模はこれからさらに拡大していくでしょう。
しかし、新興国市場は常に難しい問題を孕んでいることも事実です。クオリティを重視すればコストが高くなって新興国市場では受けにくくなりますし、コストを下げれば新興国のメーカーとの過当競争に陥る可能性も出てきます。つまり、ただ海外に展開すればいいというわけではなく、どのように海外展開をするのかが重要になってくるのです。現時点では、日本のどのメーカーも、コストとクオリティのバランスに苦戦しているようです。
パソコンやスマートフォンといったデジタル機器の普及により、文具はさらに厳しい立場に追いやられてしまっています。
以前は、文具が業務効率化のツールでしたが、今は、パソコンやスマートフォンがそれに取って代わりました。パソコンやスマホを主役とすれば、文具は完全に脇役です。つまり、文具の立ち位置が変わったということであり、それに合わせてやり方を変えていかなければいけないということです。
これからは、パソコンやスマホの長所を踏まえた上で、文具の、単純で簡単に使えるという利点を生かす商品づくりが求められるでしょう。
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