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【業界研究】文具業界の現状・動向・課題について

更新日:2024年07月10日

業界・企業研究

オフィス文具市場での企業の経費削減、またはデジタル機器の普及による紙離れといった不況のなか、アイデア勝負の新商品をたくさん送り出して市場を切り開き、健闘を続けてきたのが文具業界です。

文房具メーカーの仕事は、大きく分けると「企画」「生産」「営業」に分かれます。製品の企画からスタートして、仕様やデザインを決定し、工場で生産するというのが、おおまかな仕事の流れです。

そして、一般的な文具メーカーの場合、メーカー・流通卸・小売店といったルートで商品を販売するので、流通卸や小売店への営業も大切な仕事になります。

業界シェア上位3社

①:コクヨ:2,880億円 ②:アスクル:2,534億円 ③:岡村製作所:2,113億円

平均年収上位3社

①:三菱鉛筆:741万円 ②:マックス:711万円 ③:コクヨ:708万円

業界の動向

リヒトラブの「ツイストノート」

リヒトラブが開発した「ツイストノート」シリーズが、年間約2億円を売り上げるヒット商品になっています。ツイストノートとは、とじ具が開いてリーフが交換できるノートです。

ダブルリングノートのようにかさばることなく、360度折り返して使うことができ、しかも、バインダーのように中のページを自由に抜き差しできるというのが特徴です。

ただし、このノート、最初から順風満帆だったわけではありません。リーフを日本の規格であるJIS規格ではなく、国際標準のISO規格にしたことから、小売店に取り扱ってもらえず、流通させることすら困難をきわめました。

潮目が変わったのは、カラフルな10色のツイストノート「AQUA DROPs」シリーズがきっかけです。ネットで消費者に注目されはじめ、「あのノートが欲しい」という消費者の声に促されるような形で、取扱店が増え、今ではリヒトラブを代表するヒット商品となったのです。

フリクションの独走続く

パイロットコーポレーションの消せるボールペン「フリクション」が世界販売数15億本を突破しました。フリクションは、熱を加えると透明になるインクを使用しているため、ペン軸後部のラバーで擦れば摩擦熱で文字が消えるという仕組みになっています。

ヨーロッパでは小学校からボールペンや万年筆を使用するため、書き損じても簡単に書き直すことができるフリクションは欧州の子どもたちのニーズにフィットし、この好結果につながりました。

消せるボールペン市場では、このフリクション技術の壁は大きく、競合企業はいまだ表れていません。文具店のボールペン売り場も、依然としてフリクションの独断場となっています。

シャープペンシルは高機能品に売れ筋がシフト

シャープペンシルは少子化の影響もあり長いあいだ販売本数が低迷していましたが、ここ数年の高機能化が支持を受け、販売額が増加しています。ゼブラが2014年に発売した「デルガード」も高機能タイプの商品です。

最大の売りは、「芯が折れない」ことで、「デルガードシステム」と呼ぶ新開発の機能が、垂直と斜めの両方の力に対応し、折れにくさを実現させています。「どれだけ力を込めても芯が折れない世界初のシャープペンシル」とアピールしていることからも、ゼブラ社の自信の程がうかがえる商品となっています。

海外比率はさらに高まる傾向

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