ファシズムの意味・簡単にわかりやすく言うと・似た思想

ナチズムとファシズムはその意味において類似した思想です。しかし、決定的な違いは、ナチズムが反ユダヤ主義にもとづく独特の民族主義を掲げていた点にあります。 ヒトラーとナチ党は、人種間には優劣があると考えていました。このような考えを民族主義と言います。 ナチズムの民族主義とは、ドイツ民族は世界で優秀な人種（アーリア人種）であり、他の劣った人種を支配する権利と義務があるという考えのことを意味します。 劣った人種とされた中でもとりわけユダヤ人は「劣等人種」というレッテルが貼られ、優秀なドイツ身姻族を唆して退廃させる諸悪の根源とされました。 それまではユダヤ人とは、ユダヤ教の信徒を意味していましたが、ナチ党台頭以降は、ユダヤ人は血統によって決まる「人種」であると定義されるようになりました。

ナチ党は反ユダヤ主義にもとづき、ユダヤ人種を社会から隔離・排除するための法律を合法していきます。まず、ドイツ人とユダヤ人との結婚や交際が禁止されました。 ユダヤ人との子供が生まれれば、優秀なドイツ民族の血が「穢れる」と考えられたからです。ナチズムにとって混血は、アーリア人種に対する脅威を意味しました。 また、ユダヤ人は公職から追放され、選挙権・財産権・市民権などありとあらゆる権利を剥奪されました。さらに、ドイツ社会からユダヤ人を排除するため、彼らをゲットーと呼ばれる地区に強制移住させ、そこでも非人道的な迫害を行いました。

当初ヒトラーは、ユダヤ人をドイツ国内から追放し、侵略した外国に強制移住させることを計画していました。しかし追放先の候補として想定していたソ連との戦争が劣勢に立たされたことにより、ユダヤ人を国外追放するという方針を撤回します。そして、ユダヤ人問題の「最終的解決策」の実施を決定しました。 これは、ユダヤ人の追放ではなく、彼らを絶滅させることでユダヤ人問題を根本的に解決することを意味していました。その結果、ドイツ国内やドイツが侵略した各地で、ナチス・ドイツによるユダヤ人の組織的な大量虐殺（ホロコースト）が行われるようになっていきます。

出典: Free vector graphic: Capitalism, Fascism, Hate - Free Ima...

今回はファシズムをテーマに、その意味や特徴などをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 ファシズムとは、多くの人々の人権を踏みにじり、尊い命を奪った思想のことを意味します。ファシズムとは何か、その意味を知ることで、20世紀に起きた負の歴史を学ぶきっかけになるでしょう。 悲惨な歴史を学ぶのはつらいことですが、どうして不幸な歴史が起きてしまったのかを知ることで、悲劇を繰り返さないようにすることができます。再びファシズムが台頭することがないように、過去の歴史から学びましょう。