ファシズムの意味・簡単にわかりやすく言うと・似た思想

ファシスト党の政治体制・思想、すなわちファシズムの特徴の一つが、自由主義と共産主義を否定し、それらを暴力で弾圧したという点です。 ファシズムの考えでは、自由主義はファシズムの独裁体制と正反対に位置するものであり、体制を脅かすものと意味されました。また、共産主義はイタリアの愛国心の敵だと考えられていました。 共産主義の思想では、労働者（プロレタリアート）が国境を越えて団結し、搾取のない平等な世界を構築すべきだというインタナショナリズムという考えが提唱されています。 そのため、愛国心やナショナリズムは共産主義のイデオロギーの妨げになるものとして下位に置かれていました。 このような思想をもつ共産主義者は、イタリア民族の優越を説き、国民に強い愛国心を求めるムッソリーニとファシスト党の考えから逸脱した存在とみなされ、弾圧を受けることになります。

ムッソリーニは、自らの政治思想とは異なる人々や政治勢力、異端者を弾圧していきます。ファシスト党の私兵組織として「黒シャツ隊」を立ち上げ、共産主義者や自由主義者、ファシスト党への反対者などを暴力でもって制圧していきました。 ファシズムの特徴の一つは、このような暴力が国家権力によって合法化・正統化されるという点にあります。このことは、反対意見が出なくなり、政治システムにおいても社会的な領域や生活空間においても、一元的な意思決定が貫徹することを意味します。 これがムッソリーニを独裁者たらしめる基盤となりました。ムッソリーニは暴力を使って権力基盤を固めていき、1926年には野党を廃止してファシスト党の一党独裁体制を確立します。 独裁者ムッソリーニのもと、こうしてイタリアは完全なる独裁国家体制へと移行することになりました。

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子供に「ファシズムの意味ってなに？」と聞かれた時、何と答えるでしょうか。その意味を分かりやすく言うと、20世紀初めにヨーロッパで生まれた政治の考え方・あり方のことだと表現できます。 その基本的な考えは、「自分の国や民族が一番すごい」「自分の国のためなら他の国を侵略してもいい」という意味もので、国を豊かにするために侵略戦争を肯定します。 また、ファシズムは民主主義を否定します。ファシズムに反対したり、積極的に協力しない人は、逮捕されたり暴力にさらされます。国が「従わない人には暴力をふるってもいい」と暴力を正当化するからです。 こうすることでごく一握りの人たちが権力を握り、国の政策全てを決定します。そこに話し合いは存在しません。これは、色々な考えをもつ人々が議会で話し合う機会そのものがなくることを意味します。 その結果、独裁者が支配する国、独裁国家が誕生します。これがファシズムです。

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ファシズムと似た思想としてどのようなものがあるでしょうか。ファシズムが誕生したのとほぼ同じ時期、20世紀中頃にドイツで生まれたナチズムが、ファシズムと類似した思想として挙げることができます。 以下では、ナチズムの意味やその特徴をご紹介していきます。

ドイツのナチズム（nazism）とは、独裁者アドルフ・ヒトラー（Adolf Hitler）や彼が率いたナチ党に由来する言葉です。 ナチ党とは、「国家社会主義ドイツ労働者党」を意味する略称です。政党名の最初にくる「国家（ナツィオナール）」から、「ナチ」という略称ができました。 ナチス（Nazis）やナチ党の党員や支持者のことを意味し、ナチズム（Nazism）はナチ党の思想や政策、イデオロギーのことを意味します。

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ナチズムの生みの親はアドルフ・ヒトラーです。オーストリアに生まれたヒトラーは絵描きを目指していましたが挫折し、鬱屈した青年時代を過ごしていました。 第一次世界大戦が勃発するとドイツ軍に入隊し、兵士として戦争を経験します。ヒトラーが政治に関わっるようになったのは終戦直後のことでした。青年期と従軍経験を通じて培った民族主義と反ユダヤ主義にもとづき、ヒトラーは極右の政治活動に傾倒していきます。 類まれな弁舌の才能と政治の腕力によって、ヒトラーは一気に政治の表舞台に躍り出ます。1920年のナチ党設立に関わり、1921年には32歳の若さでナチ党党首に就任します。このことは、ヒトラーが政治家としての才能をもっていたことを意味します。

当初ナチ党は極右の弱小政党として目立った存在ではありませんでした。しかし、ヒトラーの巧みなプロパガンダによって労働者・農民層を中心に支持を拡大していき、1933年の総選挙で合法的に第一党の座を獲得します。 ナチ党の台頭と政権奪取を支えたのは、ファシズムと同じく暴力でした。ヒトラーとナチ党は、私兵として親衛隊と突撃隊という軍事組織を抱えていました。 これらの私兵は共産主義者や自由主義者、ナチ党を批判する人々などを暴力によって弾圧する役割が与えられており、多くの人々がその犠牲になりました。

ヒトラーとナチ党は、第一次世界大戦の敗戦国となったドイツを再び偉大な国にすることを掲げました。また、ドイツが置かれた悲惨な状況は、ドイツ国内に存在する異端分子であるユダヤ人が仕組んだことだというユダヤ人陰謀説をつくりあげました。 このような主張は、戦勝国からドイツに一方的に課せられた多額の賠償金に恨みを募らせていた市民たちの間で支持を得ることに成功します。 またヒトラーは、戦後の国際秩序ではドイツが不当な地位に置かれていると主張し、その体制の打破に乗り出します。加えて、ドイツ民族を増やして強いドイツを創ることを掲げ、増えたドイツ民族のための新たな定住地（生存圏）を東欧などに求めました。 このことは、ナチス・ドイツが力で既存の国際秩序を破壊し、また積極的に侵略戦争を行うこと意味します。このようにしてヒトラーは対外侵略を正当化し、それが第二次世界大戦を招くことになります。